「安全性を確保できれば認めてもいいのではないかという意見が出れば、検討したい」
これは、先日の大分・大分高校の女子マネージャーが甲子園練習補助でグラウンドに入ったことへ注意したことに対して、練習参加を禁止することに批判的な意見が相次いだことで、日本高野連の事務局長は「検討したい」と毎日新聞の取材に話しました。私の予想を上回る早い対応です。
私もちょっと書きましたが、練習補助ではありませんが、ノッカーとボールガールを許可した高野連があります。
マネージャーではなく、選手として普段の練習をする女子「部員」に限り、
東京都 外野ノックをするノッカー
兵庫県 ボールガール
埼玉県 ボールガール
として、少なくとも3つの連盟が、公式戦での参加を認めています。
埼玉県高野連は女子の参加を認めた理由について「ノック中は球が何個も飛び交い危険です。でも、試合中は1個だけで危険は低くなる。普段、練習を頑張っている女子部員なので、なんとか参加させてあげたいんです」と言っています。
私はそのとおりだと思います。球場にもよりますが、グラウンドの中にボールボーイがいるのは案外少ないと思います。金網などで仕切られたスペースが確保できるのであれば、安全確保の意味からしても許可してもいいのではないのでしょうか。ただ、阪神甲子園球場には、そのようなスペースがないためベンチ横に座っています。でも、防球ネットを準備すればいいだけのことだと思います。そもそも、よそ見をしていれば男子だって危ないのですからね。
福井県福井市の羽水(うすい)高校野球部に三年生の女子マネージャーがいました。実はマネージャーだけではなく、守備練習の球を打つノッカーでもありました。
彼女は小学一年生で学童野球を始め、中学では軟式野球部のエースでした。卒業後もソフトボールなど女子が選手となれる競技ではなく、野球に関わりたいと思っていた。学校見学で訪れた羽水高にノックを打つ女子マネジャーがいたため、「私もノックさせてもらえますか?」と監督に聞き、「いいぞ、来い来い」と言われ、すぐに進学を決めました。
使うのは硬球であり、打ち損じると手がしびれ、打球も飛んでいかない。それでも、朝練習や居残り練習を重ね、外野の頭を越す打球を飛ばせるようになりました。
実は昨年夏の福井大会では試合前の守備練習でグラウンドに立ちました。ノックを終えると先輩から「うまくなったなあ」と声を掛けられ「それが本当にうれしくて」と思いました。
「今年も、もう一度、あの舞台でノックを打ちたい」と夢を持っていました。
日本高野連の規定で「選手は男子」とあるだけで、選手以外についてのルールは明文化されていないからでした。
しかし、昨年の兵庫県大会で女子生徒が新しいボールを球審に渡したりする「ボールガール」を務めて話題となり、これをきっかけに女子生徒が試合中やノック中にグラウンド内に入ることを認めるかで議論になり、日本高野連は判断を都道府県の各高野連に委ねました。
その結果、福井県高野連は「女子生徒がノックに関わるのは体力面から考えて危ない。ホームベース付近は返球が集まり、けがをする危険性を見過ごせない」とのことで、今年は禁止されました。
一方、東京都は女子ノッカーを認め、埼玉県と兵庫県はボールガールを導入しています。
この女子マネージャーはショックで、一週間近く泣きはらしたそうですが、それでもバットを置かず、「途中でやめるべきじゃない。みんなに頑張ってほしいから」とチームを支え続けました。
なお、北信越五県の高野連が今春から公式戦で女子生徒がグラウンドに入ることを認めないと決めています。
問題と対策は明白。要は「安全対策」だけなのですから。
実は今回の大分高の例を見て「注意は仕方がないなあ」と思ったことが1点ありました。せめて、ヘルメットをかぶっていて欲しかったです。
もしかして、高野連さんはヘルメットへの注意だった、というオチにしておきませんか・・・
高校野球の根本が教育であるならば、頑張れば夢が叶えられるという仕組みと平等なチャンスを、学校の部活動である野球部に参加している生徒に与えることを考えて欲しいですよね。