日本プロ野球機構(NPB)の選手表彰の一つ。シーズンをとおしてそれぞれのポジションで最も守備力に卓越した選手をプロ野球記者による投票を行い得票数のいちばん多かった者が受賞となります。連盟の公式的な表彰ではありませんが、特別賞と位置付けられているものです。
昔は「ダイヤモンドグラブ賞」呼ばれ1972年に創設。1986年より、三井住友銀行ではなく、MS&ADインシュアランスグループホールディングスでもなく、三井物産スポーツ用品販売の協賛によって現在の三井ゴールデン・グラブ賞となっています。
2023年度の表彰選手は次のとおり(11月10日発表)。
セントラル・リーグ
投手:東克樹(横浜DeNAベイスターズ) / 初受賞
捕手:坂本誠志郎(阪神タイガース) / 初受賞
一塁手:大山悠輔(阪神タイガース) / 初受賞
二塁手:中野拓夢(阪神タイガース) / 初受賞
三塁手:宮﨑敏郎(横浜DeNAベイスターズ) / 5年ぶり2度目
遊撃手:木浪聖也(阪神タイガース) / 初受賞
外野手:近本光司(阪神タイガース) / 3年連続3度目
外野手:岡林勇希(中日ドラゴンズ) / 2年連続2度目
外野手:桑原将志(横浜DeNAベイスターズ) / 6年ぶり2度目
パシフィック・リーグ
投手:山本由伸(オリックス・バファローズ) / 3年連続3度目
捕手:若月健矢(オリックス・バファローズ) / 初受賞
一塁手:中村晃(福岡ソフトバンクホークス) / 4年連続4度目
二塁手:中村奨吾(千葉ロッテマリーンズ) / 2年ぶり3度目
三塁手:宗佑磨(オリックス・バファローズ) / 3年連続3度目
遊撃手:源田壮亮(埼玉西武ライオンズ) / 6年連続6度目
外野手:辰己涼介(東北楽天イーグルス) / 3年連続3度目
外野手:万波中正(北海道日本ハムファイターズ) / 初受賞
外野手:近藤健介(福岡ソフトバンクホークス) / 初受賞
選出される有資格者
投手:規定投球回数以上の投球、またはチーム試合数の1/3以上に登板
捕手:チーム試合数の1/2以上で捕手として出場
内野手:チーム試合数の1/2以上で1ポジションの守備についている
外野手:チーム試合数の1/2以上で外野手として出場している
投票要件
日本の報道機関(新聞社、通信社、放送局)の5年以上の取材キャリアを持つプロ野球記者
岡林勇希選手(中日ドラゴンズ)の守備範囲にもおよばない私からしますと、選出されたどの選手も華麗な守備ですよね。
ただ、以前からちょっと話題になっている選出方法には疑問があります。セ・リーグは38年ぶりの日本一のタイガースから5人、パ・リーグからは一応6球団からそれぞれ選出されていますが、リーグ優勝したバファローズから3人が受賞。2022年のタイガースは1名だったことを考えますと大躍進です。ちなみに、バファローズは同じく3人。
やっぱり、チーム成績がいいと注目度と印象が高くなり、選出されやすいのでしょうか?
そもそも注目度が高い球団は取材数が多くなり、自分が担当している球団以外の試合はなかなか見られないので、どうしてもその試合での印象が強くなるという先入観はありそう。
近年は守備職人という感じの選手よりも、打てないと試合出場できないという感じもありますので、いくら守備に長けていても守備だけという評価はされていなさそうにも思えます。それを裏付けるように選出されなかった選手になかに「この選手って守備はうまかったっけ?」と思えるような結果も・・・。
数年前からセイバーメトリクス(統計学的手法)で守備能力が数値化されるようになっており、同一リーグで同じ守備位置の平均的な選手が守る場合と比較して、守備でどれだけの失点を防いだかの指標となるアルティメット・ゾーン・レーティング(UZR)が守備能力を測る指針になっています(投手と捕手は除く)。
また、NPBの公式記録として守備率が公表されています。守備率とは守備機会に対してエラーをしなかった確率を指します。エラー数が0の場合、守備率は1.00となり、守備率は高ければ高いほど良い指標と言えますが、積極的に守備をしないとエラーする確率は低くなってしまいますので単純な守備の上手さにはならないですけど。
2023年度の守備率
セントラル・リーグ
投手:東克樹(横浜DeNAベイスターズ) / 1.000
投手:今永昇太(横浜DeNAベイスターズ) / 1.000
投手:伊藤将司(阪神タイガース) / 1.000
捕手:中村悠平(東京ヤクルトスワローズ) / 1.000
一塁手:ソト(横浜DeNAベイスターズ) / .996
二塁手:菊池涼介(広島東洋カープ) / .995
三塁手:宮﨑敏郎(横浜DeNAベイスターズ) / .964
遊撃手:長岡秀樹(東京ヤクルトスワローズ) / .986
外野手:近本光司(阪神タイガース) / 1.000
外野手:丸佳浩(読売ジャイアンツ) / .995
外野手:細川成也(中日ドラゴンズ) / .995
パシフィック・リーグ
投手:小島和哉(千葉ロッテマリーンズ) / 1.000
投手:山本由伸(オリックス・バファローズ) / 1.000
捕手:若月健矢(オリックス・バファローズ) / .997
一塁手:中村晃(福岡ソフトバンクホークス) / .998
二塁手:中村奨吾(千葉ロッテマリーンズ) / .991
三塁手:安田尚憲(千葉ロッテマリーンズ) / .965
遊撃手:紅林弘太郎(オリックス・バファローズ) / .989
外野手:辰己涼介(東北楽天ゴールデンイーグルス) / .997
外野手:松本剛(北海道日本ハムファイターズ) / .996
外野手:近藤健介(福岡ソフトバンクホークス) / .995
MLBのゴールドグラブ賞は以前は全盛期を過ぎた選手が選ばれたりして、賞の価値に疑問があったようですが、守備の指標が細かく数値化されたデータを基にして両リーグ別に各ポジションで3人の候補選手が発表され、そのあと30球団の監督と最大6人のコーチが所属球団以外の同一リーグ選手の候補者から投票する仕組みになっています。
2005年に現役だった北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督はケガの影響で108試合出場にとどまったが、ゴールデン・グラブ賞の外野手部門に最多得票で選出。選出資格は条件的に満たしていましたが、投票結果に納得がいかなかったのか、「今年のオレのゴールデン・グラブ賞はおかしい。1年間この賞を心の中で目指して取り組んでいた選手に申し訳ない。来年からは、印象ではなく数字で選んで欲しい。そうでないとこの素晴らしい賞の価値がなくなってしまう」とコメントし、表彰式を欠席して大きな反響を呼びました。
本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまにとって、今日という日が昨日よりも特別ないい日でありますようにお祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。
昔は「ダイヤモンドグラブ賞」呼ばれ1972年に創設。1986年より、三井住友銀行ではなく、MS&ADインシュアランスグループホールディングスでもなく、三井物産スポーツ用品販売の協賛によって現在の三井ゴールデン・グラブ賞となっています。
2023年度の表彰選手は次のとおり(11月10日発表)。
セントラル・リーグ
投手:東克樹(横浜DeNAベイスターズ) / 初受賞
捕手:坂本誠志郎(阪神タイガース) / 初受賞
一塁手:大山悠輔(阪神タイガース) / 初受賞
二塁手:中野拓夢(阪神タイガース) / 初受賞
三塁手:宮﨑敏郎(横浜DeNAベイスターズ) / 5年ぶり2度目
遊撃手:木浪聖也(阪神タイガース) / 初受賞
外野手:近本光司(阪神タイガース) / 3年連続3度目
外野手:岡林勇希(中日ドラゴンズ) / 2年連続2度目
外野手:桑原将志(横浜DeNAベイスターズ) / 6年ぶり2度目
パシフィック・リーグ
投手:山本由伸(オリックス・バファローズ) / 3年連続3度目
捕手:若月健矢(オリックス・バファローズ) / 初受賞
一塁手:中村晃(福岡ソフトバンクホークス) / 4年連続4度目
二塁手:中村奨吾(千葉ロッテマリーンズ) / 2年ぶり3度目
三塁手:宗佑磨(オリックス・バファローズ) / 3年連続3度目
遊撃手:源田壮亮(埼玉西武ライオンズ) / 6年連続6度目
外野手:辰己涼介(東北楽天イーグルス) / 3年連続3度目
外野手:万波中正(北海道日本ハムファイターズ) / 初受賞
外野手:近藤健介(福岡ソフトバンクホークス) / 初受賞
選出される有資格者
投手:規定投球回数以上の投球、またはチーム試合数の1/3以上に登板
捕手:チーム試合数の1/2以上で捕手として出場
内野手:チーム試合数の1/2以上で1ポジションの守備についている
外野手:チーム試合数の1/2以上で外野手として出場している
投票要件
日本の報道機関(新聞社、通信社、放送局)の5年以上の取材キャリアを持つプロ野球記者
岡林勇希選手(中日ドラゴンズ)の守備範囲にもおよばない私からしますと、選出されたどの選手も華麗な守備ですよね。
ただ、以前からちょっと話題になっている選出方法には疑問があります。セ・リーグは38年ぶりの日本一のタイガースから5人、パ・リーグからは一応6球団からそれぞれ選出されていますが、リーグ優勝したバファローズから3人が受賞。2022年のタイガースは1名だったことを考えますと大躍進です。ちなみに、バファローズは同じく3人。
やっぱり、チーム成績がいいと注目度と印象が高くなり、選出されやすいのでしょうか?
そもそも注目度が高い球団は取材数が多くなり、自分が担当している球団以外の試合はなかなか見られないので、どうしてもその試合での印象が強くなるという先入観はありそう。
近年は守備職人という感じの選手よりも、打てないと試合出場できないという感じもありますので、いくら守備に長けていても守備だけという評価はされていなさそうにも思えます。それを裏付けるように選出されなかった選手になかに「この選手って守備はうまかったっけ?」と思えるような結果も・・・。
数年前からセイバーメトリクス(統計学的手法)で守備能力が数値化されるようになっており、同一リーグで同じ守備位置の平均的な選手が守る場合と比較して、守備でどれだけの失点を防いだかの指標となるアルティメット・ゾーン・レーティング(UZR)が守備能力を測る指針になっています(投手と捕手は除く)。
また、NPBの公式記録として守備率が公表されています。守備率とは守備機会に対してエラーをしなかった確率を指します。エラー数が0の場合、守備率は1.00となり、守備率は高ければ高いほど良い指標と言えますが、積極的に守備をしないとエラーする確率は低くなってしまいますので単純な守備の上手さにはならないですけど。
2023年度の守備率
セントラル・リーグ
投手:東克樹(横浜DeNAベイスターズ) / 1.000
投手:今永昇太(横浜DeNAベイスターズ) / 1.000
投手:伊藤将司(阪神タイガース) / 1.000
捕手:中村悠平(東京ヤクルトスワローズ) / 1.000
一塁手:ソト(横浜DeNAベイスターズ) / .996
二塁手:菊池涼介(広島東洋カープ) / .995
三塁手:宮﨑敏郎(横浜DeNAベイスターズ) / .964
遊撃手:長岡秀樹(東京ヤクルトスワローズ) / .986
外野手:近本光司(阪神タイガース) / 1.000
外野手:丸佳浩(読売ジャイアンツ) / .995
外野手:細川成也(中日ドラゴンズ) / .995
パシフィック・リーグ
投手:小島和哉(千葉ロッテマリーンズ) / 1.000
投手:山本由伸(オリックス・バファローズ) / 1.000
捕手:若月健矢(オリックス・バファローズ) / .997
一塁手:中村晃(福岡ソフトバンクホークス) / .998
二塁手:中村奨吾(千葉ロッテマリーンズ) / .991
三塁手:安田尚憲(千葉ロッテマリーンズ) / .965
遊撃手:紅林弘太郎(オリックス・バファローズ) / .989
外野手:辰己涼介(東北楽天ゴールデンイーグルス) / .997
外野手:松本剛(北海道日本ハムファイターズ) / .996
外野手:近藤健介(福岡ソフトバンクホークス) / .995
MLBのゴールドグラブ賞は以前は全盛期を過ぎた選手が選ばれたりして、賞の価値に疑問があったようですが、守備の指標が細かく数値化されたデータを基にして両リーグ別に各ポジションで3人の候補選手が発表され、そのあと30球団の監督と最大6人のコーチが所属球団以外の同一リーグ選手の候補者から投票する仕組みになっています。
2005年に現役だった北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督はケガの影響で108試合出場にとどまったが、ゴールデン・グラブ賞の外野手部門に最多得票で選出。選出資格は条件的に満たしていましたが、投票結果に納得がいかなかったのか、「今年のオレのゴールデン・グラブ賞はおかしい。1年間この賞を心の中で目指して取り組んでいた選手に申し訳ない。来年からは、印象ではなく数字で選んで欲しい。そうでないとこの素晴らしい賞の価値がなくなってしまう」とコメントし、表彰式を欠席して大きな反響を呼びました。
本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまにとって、今日という日が昨日よりも特別ないい日でありますようにお祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。