野球小僧

前代未聞の大誤審

本来、微妙なプレーでの誤審を防ぐはずのリクエスト制度が、まさかの誤審の結果を招いてしまいました。

6月22日に行われたオリックスバファローズ vs. 福岡ソフトバンクホークス10回戦で、同点の延長10回表2アウト一塁、ホークス・中村晃選手のライトポール際への打球は、一塁塁審がファウルと判定しました。ニュースや動画などでの中村晃選手の表情からは、打った本人もファールと納得しており、バファローズの選手もファールであることを確信してます。ホークス・工藤監督も、三塁側ベンチからの目視と中村晃選手らの表情を見て、この時点でリクエストは要求しませんでした。

しかし、前代未聞の事態は、その後の審判団の協議から始まりました。協議を終えた審判団の「(協議では)ファウルの判定ですが(リクエストを)やりますか?」という問い掛けに、藤本打撃コーチが「念のため(リクエストを)やりましょう」と工藤監督に提案したこともあって、ビデオ判定を求めました。その後、約5分間の長いリプレー検証となり、グラウンドへ出てきた主審はグルグルと右手を回し、ホームランとなりました。


結果的に、このホームランが決勝点となり、「同率3位対決」を制したホークスが5-3で勝ち、単独3位になり、バファローズは敗れて4位に後退しました。

この結果に納得いかないのがバファローズ。福良監督は試合後、選手たちをベンチに留めて約20分間の押し問答を続けた。一度は監督室に戻ったが、球団社長、球団本部長らを引き連れて審判室へ入ると、再度約20分にもおよぶ抗議を行いました。

両者が映像を何度も見返した結果、この日の責任審判だった佐々木二塁塁審は報道陣に対しても「もう一度、見直して確認した結果『ファウル』でしたと球団側に伝えました」と、審判団は誤審を認めました。

誤審は認められましたが、結果は何も変わりません。ホークス・中村選手が放った7号2ランはそのまま記録に残り、バファローズの1敗もそのままです。

この事態を受けて23日に日本野球機構(NPB)は、ほっともっとスタジアム神戸で友寄正人審判長と仲野和男パ・リーグ統括らがバファローズ・湊通夫球団社長、福良監督、長村裕之球団本部長らに謝罪しました。2時間にわたる話し合いを終え、NPBは試合は成立しており、記録の訂正は行わないとしていますが、バファローズ側は誤審があった場面から試合をやり直すように要望しました。

友寄審判長は判定が覆った経緯について「(試合中と試合後に)同じ映像を見たが、リプレー検証のしかたが間違っていた。コマ送りのシーンがずれていた」と打球が見える状態で映像を止められなかったと説明し、「このようなことがないよう、来季に向けて改善する」と語っています。

一方、長村球団本部長は「ルール上はできないだろうが、完全に(判定が)間違いだと認めるなら、特例として検討してほしい。そのくらいの重大さ」と誤審があった場面から試合をやり直すことを訴えています。

バファローズ側は他にもリクエストの運営の在り方の検証などを要望しています。そもそも、リクエストは速やかに行うべきものであって、審判団からリクエストするものではないはずです。運営のおかしな点として、まず、これが挙げられます。次に、リクエストに当たって、周囲からの進言などはやってはいけないルールになっています。しかし、今回はコーチから監督へ進言もあり、リクエストに至っています。これは、完全にルール違反であって、この時点でリクエストは成立しないはずなのですが。

これは、先日の天皇杯予選でのPK時の誤審以上の、誤審に誤審を重ねてのさらに誤審とでも言うべき問題だと思います。

仲野統括は試合続行に関し「規約にのっとれば認められない」との見解を示しているそうですが、

▽野球規則7・04 (提訴試合)
審判員の裁定が本規則に違反するものとして、監督が審議を請求するときは、各リーグは試合提訴の手続きに関する規則を適用しなければならない。(中略)審判員の裁定が本規則に違反するとの結論が出た場合であっても、リーグ会長において、その違反のために提訴チームが勝つ機会を失ったものと判断しない限り、試合のやり直しが命ぜられることはない。

となっています。また、過去にもやり直しの実例はあり、1954年6月16日の近鉄パールズ vs. 東映フライヤーズでインフィールドフライの判定を巡って当該プレーからやり直した例があります。

7回裏ノーアウト一・二塁の場面でパールズの多田文久三さんの一塁後方へのフライに宣告されたインフィールド判定を巡って紛糾となりました。1時間23分の中断後、試合は4対2でフライヤーズが勝利しましたが、パールズは無効試合として提訴します。連盟はパールズの言い分を半分認めて、8月10日に多田さんの打席から打ち直すことで再開することとなりました。なお、再試合も4対1でフライヤーズが勝利しています。

ちなみに、2014年のバファローズはホークスと優勝争いを演じ10月2日にゲーム差なしでの直接対決を迎えています。負ければ優勝がなくなり、勝てば残す2試合に連敗しなければ優勝でした。結果的に敗れてリーグ2位でしたが、1勝さえすれば優勝だったのです。

仮に今シーズン「あの1勝があれば優勝」「あの1勝があればAクラス」という状況になったとしたら、「ごめんなさい」で済むような誤審ではなくなってしまいます。
正直、NPBの信頼を失いかねないことだと、危機感を持った方がいいと思います。

ここは、いっそのことサッカー界に倣って、当該プレーからやり直すべきだと思うのですが。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
なぜか動画が消されていて、関係する動画もほとんど残っていない状態です。
よって、ダイジェストに差し替えました。

私が引用した記事関係もほとんどなくなっており、これは、誰かが忖度して、関係記録を改ざんしているのじゃないかと・・・。

NBPには、そんな方向に力を入れるのじゃなくて、キチンとした判定と、その後の対応を考え直して欲しいです。

しかし、暑っついですね。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

ネットニュースで読みましたがここまで詳しくは書いてなかったような気がします。
審判から問いかけがあったとは驚きです!
これはいかんでしょ!!!
コーチからの進言も良くないと思いますが選手から眼での訴えはよくあるような気がしますんで此方は曖昧でしょうね。

>正直、NPBの信頼を失いかねないことだと、危機感を持った方がいいと思います。
↑信頼あるんですかね~?
危機感まだ持っていないんですかね~?
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