新型コロナウイルス感染症のニュースを見ていると、PCR検査、抗原検査、抗体検査などさまざまな検査の名前を耳にする機会があります。いまさらながら、このそれぞれの検査は次のようになっています。
■PCR検査
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略で、ウイルスの遺伝子を増幅させて検出する方法です。現在、新型コロナウイルス感染症の確定診断に用いられており、この検査で陽性判定が出た場合には新型コロナウイルスに感染しているということになります。鼻やのどをぬぐって細胞を採取して検査を行います。発症から9日以内であれば唾液からの検査も可能です。PCR検査は2020年3月からは保険適用となっています。
■抗原検査
ウイルスに感染した細胞が特異的に産生する抗原を検知して診断に導く検査のことです。PCR検査とともに、新型コロナウイルス感染症の確定診断に用いられています。発症2日目~9日目の間にこの検査で陰性となった場合には、その時点では新型コロナウイルス感染症ではないといい切ることができるとのことです。ただし、診断するためには一定のウイルス量が必要となり、PCR検査では陽性となったものの無症状の方や、スクリーン検査の用途では使うことはできないそうです。
■抗体検査
新型コロナウイルスに感染していたかどうかを調べる検査です。感染した時に形成されるたんぱく質が体内にあるかどうかを調べることができます。抗体検査は感染後13日以降では、96.9%の陽性率ですが、感染後9日~12日目の陽性率は約50%であり、精度はそれほど高くないのが現状です。また、新型コロナウイルス感染が陰性であるという証明として抗体検査を行っている、あるいは行うことについては、厚生労働省ではそのような目的での検査を推奨していません。日本での検査は自費診療となっており、自身に抗体がついているかどうかの判定というよりも疫学調査のために用いられることが多くなっています。
さて、2020年7月26日にJリーグで複数の選手が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになりましたが、Jリーグは2週間に1回、定期検査を行っています。その検査では陰性でしたが、その1週間後、選手の体調が悪くなり自主的にPCR検査で陽性と判明。これが今回の最初の感染判明となりました。その後、保健所の調査ではチーム内に濃厚接触者はいないものの、チームが自主的に全選手とスタッフのPCR検査をしたところ、新たに2名が陽性と判定されました。
また、NPBでは選手1人が8月1日にPCR検査を受け、陽性判定が出ています。この球団では7月22日と23日に所属選手とスタッフなど計202人を検査し、全員が陰性でした。そこから約1週間後の再検査での陽性判定です。
「一度、検査を受けて陰性だったから大丈夫」というのは、「そのときは大丈夫」ということであって、「これからも大丈夫」ということではありません。今回のことで、2週間に1回のPCR検査では防ぎきれないということになります。
また、現在の日本の感染状況を考えてみますと、限られた検査リソースをスポーツに回していいのか?ということもあるでしょう。
感染が疑わしい時は、どこの病院に行ってもよいというわけではありません。検査を受けられる病院は限られているため、各自治体の保健所に電話で相談をして指示を受けた医療機関を受診してください。
新型コロナウイルスによってお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、日々新型コロナウイルスと戦っている医療関係など、私たちの命と生活を守るために働いてくださっている関係者の方々に、心からの敬意と感謝いたします。
どうか、みなさまとご家族、関係者の方がご健康であっていただければと思っております。1日でも早く流行が終息の方向に向かうことを願っております。
私のブログにお越しいただいてありがとうございます。また、明日、ここで、お会いしましょう。