11月8日に札幌ドームで野球の国際大会「プレミア12」が開幕しました。開幕戦は6年ぶりに日本と韓国が対戦し、先発・大谷翔平選手(北海道日本ハム)の快投などもあって、日本が5-0で快勝しました。
国際試合ともなれば、ペナントレースや日本シリーズなどとは違った雰囲気と緊張感がTV画面からも伝わって来ます(しかし、試合時間はより長い)。
国際試合ですので、代表に選ばれる選手は国の代表として期待を背負います。どの競技でもそうですが、特に日韓戦ともなれば、韓国チームは闘志をむき出しにして向かっていますので、より緊張感が高いものです。
また、対戦する選手のほとんどが初見であり、プレースタイルも異なるので、試合の中で対応しなければならないのもあります。
ところで、野球にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)という野球の世界一決定戦があります。ここで、どうしてプレミア12という国際大会が新設されるのか、不思議だと思います。
WBSCプレミア12
開始年 2015年
主催 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)
参加チーム数 12ヵ国・地域(本線)
以前は国際野球連盟(IBAF)が主催するワールドカップ、インターコンチネンタルカップという野球の国際大会がありました。しかし、オリンピック競技から外れ、復活を目指すために、国際ソフトボール連盟と統合し、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)という新組織になり、元々あった大会を再編する形で生まれたのがプレミア12になります。
ワールド・ベースボール・クラシック
開始年 2006年
主催 ワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI) (MLB・MLB選手会)
参加チーム数 16(本選)
メジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会により立ち上げられたWBCIが主催するのがWBCであり、この愛会もWBSC公認の野球の世界一決定戦です。
これはMLBの世界進出戦略によるMLB拡大と野球マーケットの拡大、それに伴う収益の拡大を目指していたMLB機構のバド・セリグ前コミッショナーが「野球の世界一決定戦」の開催を提唱し、当時のIBAF主催の大会に出場していないMLB選手を中心とした各国のプロ・アマ野球リーグ選手による国別世界一を決める国際大会を開催するというものです。
WBCは2009年から4年おきに行われ、プレミア12はその中間年に行われます。
両大会の大きな違いは、WBCは野球シーズンの前の春に行われMLB選手も出場するのに対し、プレミア12はシーズンが終わった秋に開催され、MLBでもメジャー契約の選手は原則出場しません。
また、ルールも違い、WBCはMLB選手が出場することもあって、ピッチャーの球数制限や登板間隔の規定がありますが、プレミア12にはありません。延長戦はWBCが14回終了時に同点の場合は引分け(準決勝以降は無制限)、プレミア12はタイブレーク制を採用し、10回からはノーアウト一・二塁から攻撃が行われます。
そして、出場国規定についても、WBCの出場枠16のうち、前回大会のベスト12が予選免除で出場出来、残る4枠を4地区で行われる予選で決めます。プレミア12はWBSCが各国の国際大会の成績をポイント化し、発表される世界ランキングの上位12ヶ国が出場します(このポイントにはU-21、U-18、U-15、U-12と年代別に行われるワールドカップの成績も含まれます)。
なお、WBSCの世界ランク1位は日本(785.18ポイント)、2位は米国(766.02ポイント)、3位はキューバ(662.89ポイント)、4位は台湾(605.48ポイント)と続きますが、12位のメキシコは136.78ポイントであり、約800ポイントの差があります。WBSCには124ヵ国が加盟していますが、74位以下は0ポイントです。
国際大会に出場するだけで最低1ポイント(最下位)が獲得出来ることを考えれば、国際大会に出場できないレベルであり、またそのレベル差は非常に多きものだとうことを表しています。要するに、野球は一部の国と地域だけのものとも言えるかもしれません。
例えば国際サッカー連盟(FIFA)ランキングには200以上の国と地域が加盟しており、下位チームであってもポイントがあります。これだけで、野球とサッカーの全世界における普及率を語るにはデーターが足りませんが、サッカーに比べて、野球が世界で親しまれるスポーツになるには、相当な時間がかかるでしょう。
下世話になことですが、プレミア12とWBCの違いがもう一つ。
プレミア12 2015年 優勝チーム賞金 100万US$
WBC 2013年 優勝チーム賞金 340万US$