【プロのマネばかりでは……アマはアマの楽しみ方がある】
「置碁」というと
互先(ハンディなし)の碁と異なり
なぜか「邪道」という
イメージがあります
でも、これは
ハンディをつけることにより
どんなレベルの差があろうとも
二人が楽しい時間を共有できる
という画期的仕組みです
橋本宇太郎、藤沢秀行、石田芳夫
かつての名棋士たちが
置碁習得のための囲碁本を
こぞって執筆しています
彼らは
専門家同士の対局が
碁のすべてとは
考えていなかったのでしょう
置碁は、置碁なりの
面白さがあるから
なのです
相手が誰でも楽しめる
このシステムにより
数多くの碁友との
交流を深めてゆきたい
ものです
■藤沢秀行 語録二編
「置かせて楽しもう」
囲碁の手合割り――
ハンディキャップ制は
実によくできています
等質等量のハンディが
整然と刻まれて
他の室内ゲームには見られない
大きな特長となり
実力差のある者同士も
ゲームの質を損なうことなく
同等に楽しむことが
できるのです
置かせた碁の上手に
盤上では
追う者の楽しさがあります
逆転できなくても
もともとと思えば
こんなに気楽で
楽しい碁はありません
「きれいに負けよう」
楽しんで碁を打つのは
アマチュアの特権です
そして碁を楽しむのは
勝敗ばかりではなく
その過程にあるはずでしょう
とすれば
後味の悪い勝ち方より
楽しい負け方が好ましい
といわねばなりません
ことに置き碁は
多く置かれれば負け
少なく置かれれば勝ち
という結果が
はっきりしています
上手の負けは少しも
恥ずかしいことではなく
下手の上達を一緒に
喜んでもいいほどなのです
碁が「手談」であることを忘れずに
碁を楽しんでいただきたい
多くの人々と手談を交わし
囲碁人生を深めていただきたい
と思っています
▼本邦最古の碁譜。最初に隅に石を置き合って打ち始める中国伝来の打ち方
のちに「置石制度」がなくなり、ハイディ戦にのみ、制度が残った
▼玄宗(在位712~756年)の時代は全ての対局が置石制度だった
この時代、遣唐使が4回あり、吉備真備が入唐して碁を打っている