【根回しや忖度の苦労はやってみて初めて分かるもの
~ 攻めより守りが奥深い、という実感 の巻】
四十年ばかり勤め人をやってきて
いつから白髪が増えたかといえば、
東京・大阪でそれぞれ広報担当を
仰せつかった頃だったと思う。
本業ではなかったが、
十年ほど、さまざまな出来事に遭遇し、
良い体験?をさせていただいた。
CMを作ったり、キャンペーンイベントを仕切ったり、
といった「表」の話はどちらかと言えば気楽だったが、
外部からの社業への攻撃やら従業員の不祥事を
人知れず処理するのは、メンドー極まりない。
裏社会との接触やら、興信所やケーサツとの調整やら、
顧問弁護士との協議やら、裁判の傍聴やら。
そのうえ、
メディアの取材に答えたり、答えなかったり、
はぐらかしたり、ごまかしたり。
そして、お江戸と上方の文化の違い。
経験して初めて分かったことだが、
「敵」は内部にこそあり。
エライさんが多い東京では
「わしは聞いていない(=聞かされていないぞ)」
という横やりが飛んでくる。
根回しを念入りに、十二分に行き届けねば
何をするにも抵抗勢力が足を引っ張ってくる。
「いっちょかみ」の登場人物が多いのである。
江戸時代の城勤めの武家の苦労が偲ばれる。
現代では行政官だけでなく
民間企業の「内務官僚」だって気疲れする。
歳をとると時代劇にひかれるのはこの辺ではあるまいか。
火付盗賊改方・400石旗本が活躍しても
出世がかなわなかったワケは
その辺にあったのだろう。
修羅場ようの経験は、ブログや趣味でも
それなりに生かされている。