囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

妖しい囲碁妙語㊤

2020年04月29日 | ●○●○雑観の森

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さほど役には立たないが、知っていると、一目置かれる かもしれない  ~ 囲碁のな言葉 あれこれ の巻】

 

囲碁の歴史は、

他の遊戯に比べて法外に長い。

日本に伝播したのが千五百年前とされるが

発生した大陸では「囲棋四千年」という言葉もある。

紀元前数百年前の史記、論語、孟子などにも

たびたび碁の記述が見える。

碁は、陰陽道、易占い、天文地象と無縁ではなかったし、

その後は兵法、軍略の具となり、聖技から遊戯へと変遷した。

その起源は紀元前七世紀ごろと推定できようか。

 

渡来後千年までは、庶民の愉しみではなかった。

「これを行うは人にあり、けだし王政」

といった聖技観はのちのちまで浸透していた。

 

その後、初代本因坊算砂が出て、

信長、秀吉、家康の三英傑に指南し、

政治手腕により遊戯から国技に高まったあたりから

ようやく現代と陸続きになったのではあるまいか。

それ以前は、一部 特権階級に限られた

面妖な世界にあったのである。

 

 

 

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  漂流男が魅せられる「妖しい囲碁妙語」

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「因碩初段」 「弱い初段」のことを指す。囲碁四哲の一人、十一世井上因碩(玄庵)が清国に渡ろうとして、玄界灘でシケに遭い、北九州を放浪した折、旅費に困って甘い免状を乱発した。現代のインフレを皮肉っているのか

 

「インコー」 野球でインコースぎりぎりにやられたという感じで、際どく利かされたり、謝らされたりする場合、「インコーな手だった」などという。前田陳爾九段の造語とされる

 

「梅鉢」 前田九段の造語。石が花五目の形に凝縮し、昔は愚形の一種だったが、呉清源が打ち出してから評価が一変し、有力視された

 

「エグイ手」 関西の棋士が流行らせた言葉。関東では「えがらっぽい」。食べるとノドを刺激して感じが悪い。そんな感じの手を打たれた時、思わず発してしまう言葉。「エグイ手やなあ~」。

 

「面白く打つ」 平凡に打たず、多少紛糾しても自分の好きなように局面をリードしていく打ち方。勝率は悪いが、楽しさに力点を置く。漂流男はこれが好きで、観戦者がいると、ついムチャな手を打ってみたくなる

 

「オワ」 既に勝敗の見通しがついているのに、実際にまだ打っている時に「碁はオワだ」という。梶山武雄九段の造語。終わりの「り」を省略した言葉。「そんなコウを争う碁じゃない」と高段者から吐き捨てるようにいわれ、恥ずかしい思いをしたことがあるのは、当時「三段」だったわたしです

 

「カスリ組」 昔は若手棋士や初段になる前の修行中の男子は、夏は白絣だが、普段は紺絣に小倉の袴という「いでたち」だった。戦前の院生は皆が紺ガスリを身にまとい、お客さまを遠慮会釈なくビシビシ負かせてしまうので「カスリ組は怖い」といわれたそうな

 

「片懸」 片懸賞のこと。勝てば相手から懸賞をもらうが、負けると払わなくてもよいという懸賞碁。下手が何子か置いて上手に打ってもらう時の謝礼の意味

 

「感激がない」 梶原九段が好んで用いた言葉。既に打ち切った方向は、石が行っても「感激がない」という。急場や大場があるのに、部分にこだわって小さい所に打ち続けるな、ということ

 

「閑手」 どこに狙いがあるのか分からない手。形勢混沌として、どこから手を付けていいのか分からない時、相手にゲタを預けて出方を見ようという時などに、わざと打たれることがある

 

「橘中之仙」 中国の故事。タチバナの実を割ってみると、その中で仙人が碁を打っていたことから、碁を楽しむ老人のことを言う。碁を「橘中之楽」あるいは「橘中の清遊」という

 

「九品」 碁の品格を九つに分けたもの。九段を入神、八段を坐照、七段を具体、六段を通幽、五段を用智、四段を小功、三段を闘力、二段を若愚、初段を守拙と称する。中国の棋書「玄玄碁経」から出た

 

「兄弟ゲンカ」 ある部分を地にしようとすると、必然的に他の部分の地が荒らされるような場合をいう

 

「口三味線」 心にもないことを口に出して打つこと。ちっとも困っていないのに「困った」とか、「弱った」とかいう類い。独り言なら、まあ赦そう。単に三味線、三味とも。

 

「見物初段」 実際に打てば、たいしたことはないが、人の碁を見物している態度は立派で強そうに見える人のこと。そのへんの“アマ高段”にありがちな風景。なお本拠地碁会には「手付き八段」という四段もおられる。これは褒めているのか、おちょくっているのか。この手の類語は通年募集中。コントネタにも通じるオチを狙いましょう

 

「ここに打つな」 座興で打つ碁の一種。相手に都合の悪い所へ打たれた場合、一局に一度だけ「ここに打つな」と拒否できる。互先なら二子の碁で打てるとしたものだ

 

「こことれ」 「ここのけ」とも。これも座興の碁。一局で一度のみ、相手に「この石を取れ」と指定できる。

 

「ここやすめ」 これも座興にて。一局のうち一度だけ、相手に打たせず、二手続けて打つことができる。ハンディは「ここやすめ3目」といわれる

 

「碁手銭」 むかし宮中の御前で対局した者には銭が下付された。のちに銭と品物を添えて碁の勝負に賭けることもあったが、賭け銭と同義ではなく、負けた方にも何某か下付されたようである

 

「散地」 どちらから打っても、あまり実質的にも勢力的にもたいしたことがない所。こういう碁を見ていると、横から口出ししたくなるものだ

 

「谷が深い」 奥行きが深い。いろいろな変化やアヤが多く、相手が方針を決定できないような難所

 

「旦那碁」 普段は勝っても、賭け碁になると負ける。勝負には、からっきし弱い碁。大相撲でも、こんな関取がおりますな

 

「段品」 有段の資格がある立派な碁。これが分からないようでは、修行が足りぬ。日本棋院関西総本部のサロンにて、あるプロがアマ四段の碁をしばし見て、フンという態度で去ったのを、目撃したことがある。そのアマ四段は、わたしが何子か置いた時の対局相手でありました。昭和の1級、2級レベルなら、いたしかたあるまい

 

「闇試合」 もうワケの分からない難解な碁。漂流男の大好物

 

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局後の検討などで、お使いになれば

あなたは一目置かれる味なヒトーー

かもしれない

 

 

 

 

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