囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

フェニックスの如く/続々々

2022年01月04日 | ●○●○雑観の森

 

【21世紀の碁「AI」と19世紀の碁「秀策」

 ~ 古いのが新しく、新しいのが古い】

 

 

今回も「棋譜」のおはなしです

 

名人などタイトル多数獲得の

依田紀基九段(昭和41年生まれ)は

自著(2008年発行)のコラムで

こんなことを書いています

 

「棋譜はその人の歴史そのもの。

生きた証です」

「古碁を鑑賞するとき、現代の価値で

この手がいいとか悪いとかいっても

意味がないと思います」

「碁の考え方はぐるぐる回って

循環しています」

「たとえば、現代で大流行のミニ中国流も

道策の時代には既に打たれています」

「打った人は亡くなっていても

棋譜で熱気がよみがえってくる。

碁盤の上では、生きているのです」

 

     ◇

 

2022年〝初並べ〟とした

井上因碩vs本因坊秀策(江戸城で1852年)に続き

人類最強vs最強AI(ネットで2017年)を

並べてみました

 

5年前の年末年始のネット対局場に

マスターというハンドルネームの

謎の棋士が現れて

日中韓トッププロを相手に

60連勝無敗と圧倒しました

 

Yahooニュースがトップ記事で報じる等で

おおいに世間の耳目を集めました

謎の棋士の正体は

当時のAI進化系でした

 

半年後に解説書が出版され

16局を若手中心にプロ16人が解説したのですが

「意図や善悪は不明」などの記述が多く

碁を言語化する困難さを感じました

 

     ◇

 

わたしが初めて並べたのが

2020年11月4日です

しばらくサボっていましたが

2022年1月3日は27回目になります

 

最後に並べたのは2カ月前ですので

ところどころ覚えていますが

ソラで並べることはできません

しょせん〝未明の棋譜並べ〟

という暇人趣味ですから

それでいいと思っています

 

ところで、

巷では、宇宙人来襲の如く

AIの碁が碁界を席巻している

といいますが、そうでしょうか?

ヘボ碁打ちの分際で

何を戯けたことを言うか

との、お叱り覚悟ですが

全く違う碁というワケではない

と思っています

 

どこがどうと言えませんが

感覚的に似ているところが

随所に出てきます

 

百五十年という時間差がありますが

四千年とも六千年ともいわれる

碁の長い長い歴史を考えると

百年 二百年など〝地続き〟なのでしょう

 

これもまた碁の面白いところです

 

注:以上、いつもの個人の感想です

 

黒・朴廷桓(パク・ジョン・ファン)

白・アルファ碁マスター

270手完 白1目半勝ち

 

ニンゲンがコンピューターに

最も肉薄した碁のひとつに数えられています

当時、朴廷桓九段は韓国碁界ナンバーワンで

世界一を推す声も多数ありました

解説本では「中盤以降、黒も息は長いのですが、

一度優勢になったマスターは逆転されません」とあります

ヨセの名手といわれる朴九段が

どんな手を繰り出しても1目半を詰め切れず

というのは、やむ負えなかったのでしょう

互先は手合違いだったのです

 



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