囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

京都の冬日和1

2021年11月09日 | インドア・アウトドアにて

 

【渡月橋と大堰川のほとりにて の巻】

 

宮中で囲碁が盛んだったのは

平安初期の第54代仁明天皇の頃

御一代の記録書「続日本後紀」には

碁の記述が至る所に出てくる

 

80年ほど後になり

第60代醍醐天皇の治世には

いよいよ盛んとなり

初めて碁聖と呼ばれた人物が現れた

高級官吏だった寛蓮法師は

帝のお気に入りだった

 

第66代一条天皇の御代には

紫式部や清少納言が現れ

源氏物語や枕草子には

碁の専門用語がふんだんに出てきて

ともに相当の打ち手だったことが

うかがい知れる

 

現代の著名な国文学者でも

碁の用語が分からぬゆえ

解釈に誤謬がままあるという

笑いごとで済まないことも……

碁は、俗世にあっても

別世界を形成しているのだ

 


いずれにしても

貴族社会のなかで

囲碁は身近にありながら

日常に潜む魔界であった

 

 

      ◇

 


わたしが

久々に訪れた嵐山・嵯峨野は

紅葉の兆しがみえる冬日和である

 

千年前、この佳景はどんなだったろう

多くの観光客が往来する今日の賑わいは当然なく

夕暮れの静寂に時折かすかに石音が響く――

そんな幽境の風景だったのではあるまいか

 

 

 

 

▼コロナ一時下火により人影が戻りつつある

 


歩きゐるうちにすつかり冬日和 岩田公次

 

 

 



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