囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

大臣の仁徳/逸話5

2021年08月29日 | ●○●○雑観の森

 

 

 

【ちょっと寄り道、コーヒータイム の巻】

 

 

ある時、

老中の阿部忠秋は

自分の下屋敷に松を植えさせた。

そして、言った。


「万一の時、

その松を切り倒しただけでも

江戸城中の台所に必要な薪(たきぎ)

三日分ぐらいにはなるだろう。

松は、そのためのものだ」

 

       (原典:名将言行録)

 

   *  *  *

 

一貫している。

「捨て子の養育」

「茶壷を打ち砕く」

「夜盗を家人とす」

「不似合いなミエを張らぬ」

 

忠秋の思考のベースには

人情と合理性が ほどよくミックスされている。

 

最後に有名なエピソードを一つ。


幕府転覆と浪人救済を掲げた

「慶安の変」が起こった折、

酒井忠勝や松平信綱らは

江戸から浪人を追放することを提案し、

他の老中らもその意見に追従した。

が、ただ一人忠秋のみは、

江戸に浪人が集まるのは

仕事を求めるゆえであって、

江戸から浪人を放逐したところで

根本的な問題の解決にはならないと、

性急な提案に真っ向から反対した。

理にかなった忠秋の言い分が

最終的には通り、

一件落着となったという。

 

これが

武断政治から文治政治への転換のきっかけ

となった、といわれている。

 

 

 


マツ 冬でも青々とした葉を付けることから、不老長寿の象徴とされてきた。「松竹梅」と呼ばれ、おめでたい樹木の筆頭格。魔除けや降神の力があるとして珍重され、正月に家の門に飾る「門松」には神を出迎えるという意味がある。

 



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