囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

川端康成の書斎

2019年09月16日 | ●○●○雑観の森

文豪の最高傑作は何かの巻】

 

■直木賞作家で文壇本因坊の江崎誠致(1922~2001年)が昭和47年7月発表の随筆で、こんなことを書いていた。

去る5月27日、文学3団体による川端葬がおこなわれた日、東京新聞夕刊に「川端文学ベスト3」なる記事がかかげられた。世代のちがう作家、評論家に選ばせたものだが、私はその選ばれた題名を見て、おやと思った。
「雪国」3票、「伊豆の踊子」「山の音」各2票を抜いて、秀哉名人の引退碁を描いた「名人」が4票でトップを占めていたからである。
 
 
■世間の評価と専門家の評価は、相当に違っていたらしい。
どこをどう評価するかなどおこがましい話だが、好き嫌いで言わせてもらえば、わたしも「名人」が一押し。囲碁を知らない人でも、作品を堪能できるところが、名作の名作たるゆえんである。
 

■「世襲制最後の名人」の引退碁を、文豪自身が観戦記者として取材し、新聞に半年間連載した。それを、さらに小説にしたものである。
 

■「昭和63年12月25日発行 33刷」の新潮文庫が、わたしの書棚にある。何度か読み返したので、少し傷んでいる。
 
 
 

         ◇
 

■「記念館」の建物と看板は、通勤のJR京都線の車窓からいつも見ていた。かなり以前から、いつでも行けると思っていたが、江崎の書き物に触れたのが引き金になり、急に行きたくてたまらなくなった、という次第である。
 

■鎌倉の書斎が複製調度品などで再現され、ここだけは写真撮影可。着物姿で作品を原稿用紙に書き写すといった体験もできる。入場無料。
 
 
■わたしは、展示をじっくり見て、学芸員さんとお話しし、ひとときを楽しんだ。だが、その間、他に誰も訪れることはなかった。
 
 
■文庫本の巻末に、昭和の名局(引退碁)の碁譜が載っている。何度か並べたが、格調の高い立派な碁である。
 

■そう遠くない時期に、読み直し、何度か並べ返したうえで、わたしなりの感想を付して投稿してみたい、と思っている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
川端康成文学館
https://www.city.ibaraki.osaka.jp/shisetsu/kyoikubunka/1317033511310.html
 
 
映画「葬式の名人」公式サイト
http://soushikinomeijin.com/
 


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2 コメント

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Unknown (81sasayuri1018)
2019-09-16 19:47:37
こんばんは。

興味深く拝見いたしました。

お庭に向けて書かれてたのではなく、背を向けてたんですね。
そして「吾輩は猫である」は夏目漱石さんのように、
川端康成さんも猫を飼ってらしたのですね(*^^*)
夏目さんにあこがれてたのかな??なんて!

『名人』読んでみたいです。
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Unknown (fumi-bow1956)
2019-09-16 20:05:47
@81sasayuri1018 コメントありがとうございます。
「猫」も歩けば何とかで、とても面白い空間でした。
川端康成というヒトを身近に感じられました。
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