【秀策の中央感覚の局/前編の巻】
江戸城で嘉永7(1854)年11月17日
先番・井上因碩(松本錦四郎)-本因坊秀策
130手完、白中押勝ち
1譜
因碩の黒1、黒3、黒7は、秀策流の小目3連打と似ているが
最終形が違う。本譜は黒5と即ジマリしている
正統秀策流は左上と左下のシマリとカカリが見合いになる
2譜
白は右辺をコウで食い破る
3譜
白はコウにこだわらず中央に進出
4譜
中央の競り合い
Aも実利大だが、中央の勢力争いが急がれるところ
5譜
白64、65が打てて、右辺の白は先手で収まる
6譜
白68で、下辺黒の生きを催促し、白72、黒73と大場を打ち合う
白74の絶妙手(Bのキリを守り、左辺黒模様を削減)
秀策の中央感覚は時代を超えている
◇
幕府は半年前の嘉永7年3月3日、
日米和親条約(神奈川条約)を結んでいた。
下田と箱館(現在の函館)を開港し、
鎖国は終わりを告げる。
世情不安は坂道を転げ落ちるようになり、
幕府は年中行事どころではなくなる。
十年後、
御城碁は230年余りの歴史を閉じたのである。
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