忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

吉野家、女性蔑視発言の常務解任「到底許容できず」と説明

2022年04月20日 | 忘憂之物





先ず「松屋の勝ち」を宣言してから、ちょっと思い出したので書いておくと、先日の帰宅途中、発作的に牛丼が喰いたくなった。デブならわかると思う。

大好きな松屋はもう通り過ぎているし、とあきらめかけたところ、帰り道からは少々逸れるが、この曲がった先に「吉野家」があったと思い出したのでハンドルを切る。時間は21時頃だ。例の「時短営業中」により営業時間は22時まで(テイクアウトのみ)だったので駐車場に車を止めて店内へ。

ダルそうなバイトの兄ちゃんがふたり。テイクアウト客が二組。「並を三つでよろしく」と注文して待つこと数分。さすがは早い、早い、早いと三拍子の老舗だったが、クレジットカードを出すと「使えません」と無愛想だった。電子マネーもコード支払いも可能と貼り紙があって、まさかカードが使えないとは盲点だったが、まあ世の中、仕方がないことは他にもある。

それなら、とポケットを探るも「現金」が小銭しかない。足らない。あらら、困ったなということだが、自宅はそこから10分ほど。ごめんなさい、すぐ取ってきますから、置いておいてください、と頼んで店を出た。21時15分か20分頃と思う。

自宅について犬の様子を確認してから現金を探す。妻はまだ帰宅していない。困った、妻がいないと靴下もパンツもアレも行方が不明だ。ましてやどこに現金があるのかなど、この大黒柱である私が知る由もない。ったく、こんなことなら空き巣の訓練でも受けていればよかった、と思いながら探すこと数分。徐にスティッチの缶のケースを開けてみると、そこには500円玉がずしり(狙わないでね)。まさか、こんなところに500円玉貯金の名残が、と懐かしんでから4枚ほど失敬して車に乗る。21時40分くらい。

吉野家に到着。21時50分くらい。店内に入ると客はおらず、閉店作業中の兄ちゃんが「あ」という表情。私はポケットから500円硬貨を4枚出して「すいませんでした」と言うと、奥にいたほうの兄ちゃんが「あの、もう、廃棄してしまいました」とのこと。

意味が分からず、え?・・・ん?・・・などと困っていると、無表情のまま「もう捨てちゃったんで」とか言う。続けて「取りに来ないと思ったんで」とか言う。私は思わず「え?お金取ってきます、って言ったよね?」と記憶を辿って確認する。ないと思うが、何も言わずに出てしまった可能性もある。

すると、兄ちゃんはダルそうな顔で「はあ、すいヤせん」しか言わない。

じゃあ、また作ればいいじゃないの、という前に、気怠そうな兄ちゃんは「ンで、もう片付けちゃったんで・・・」と言う。時計はその時点で22時。少し早めに片付けちゃった、ということか。いや、それは勝手にすればよろしいが、重大な問題は、だ。我ら夫婦が喰う牛丼がない(私2個半、妻半分)。

貴様、アルバイトか店長か知らんが、この時間帯のデブの食欲を舐めるんじゃァない。いまからキン肉バスターで貴様の頸椎を破壊、股を引き裂いてから、レトルト牛丼を1ケースほど強奪して警察に自首してやる、くらいムカついたが、私ももう知命を過ぎてしばらく経つ。牛丼が喰えなかったから、という理由での強盗殺人はネットの歴史に残る。ワイドショーでも「50代の空腹巨漢男、牛丼捨てられ怒りのキン肉バスター」とか遊ばれて、アナウンサーが「犯人の男性は、わたしの牛丼が捨てられたと知って、屁のツッパリはいらんですよと思った、などと供述しており、意味はわかりませんが、とにかくすごい自信だということです」とか原稿を読むと、ネットで画像も作られて数十年もヤラれる。いまだに「牛丼・デブ」とか画像検索すると、あの眼鏡デブの女が牛丼喰っているのが出てくる。嗚呼、恐ろしい。

とはいえ、この話をブログなんかで「そこでまたブチ切れですよ」とかやるのも古いにもほどがある。その上で、おまえら早く帰りたいだけちゃうんかと、オレの牛丼喰っちゃっただけちゃうんかと、小一時間問い詰めたいところだ。

責任者を呼びなさい、と言う代わりに、もういいです、と店を出た。蓮舫と同じく、二度と「吉野家」には行かない、と断言しておく。行ったらすまん。

いずれにしても、下が下なら上も上か、と言いたいところだが、たぶん、頑張っている社員やアルバイトの方々もいるんだろうからアレだが、いずれにしてもセンスがない。また、比べるのもナンセンスだが、例えば日本マクドナルドの創業者、藤田田は「女と口を狙え」と言った。女性の消費行動を分析し、友人らとの「買い物ランチ」を見抜いていた。

ほとんど吉野家の元常務取締役と同じような意味で言ったが、実にシンプルでわかりやすい。「シャブ漬け」みたいなチンピラ臭もしない。こういうところも「ホンモノ」を感じさせる。また、藤田田は米マクドナルドが「第一号店は郊外に出せ」と言ったが、それを蹴って銀座に店を出したりした。理由は「アドバイスは受けるが命令される覚えはない」だ。自民党の政治家は「サムライマック」でも喰って悔い改めてほしい。

「生娘をシャブ漬けに」の牛丼屋の元常務も「在日米軍は風俗に行け」とか放言した元大阪府知事の無責任コメンテーターじゃないんだから、もうちょっと注意すべきではあったが、やはり、同時になんでもSNSで拡散とか、ちょっとどうかとも思う。たしかに「口は禍の元」よろしく、自業自得の感は否めないが、人生棒に振るには勉強代が過ぎる、と少しだけ同情しておく。吉野家は元常務の屍を乗り越えて開き直り「田舎でとれた生卵でしゃぶしゃぶ定食!右も左もわからなくなるほど美味しさ病みつき(漬物付)」とかやれば、私もまた行くかもしれない。いや行かない。


ところで最近、文章の前に「ロシアが悪い」として、最後に「戦闘員には敬意を表する」という、新しい「頭語」と「結語」が無責任コメンテーターから発案されている。これをつければ、この間の文章はナニを入れてもいい、というルールみたいだ。形式的には「前略」には「草々」「拝啓」には「敬具」などと同じだが、これに倣って書いてみると、この元常務取締役が悪いのは当然。でもちょっとヒステリックに過ぎませんか、もちろん、現場で働いている従業員には敬意を表する、みたいになる。実に便利だ。





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