忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

2008.12.31 [3]

2008年12月31日 | 過去記事
年末気分の中、瀬戸内海において、漁船が養殖ノリの網に乗り上げた状態で見つかった。無人だった。▼海に投げ出されたとみられる船長とその父親は大晦日の今日、遺体で発見された。▼思えば今年の2月、イージス艦「あたご」とはえ縄漁船「清徳丸」が衝突事故を起こした際、同じく「海に投げ出された」と思われるふたりの乗員はみつからぬままだった。▼当時の千葉県房総半島野島崎沖合は風速7メートル。波の高さは50センチ。霧もなく視界は20キロメートル。漁船団もイージス艦を視認しており、無線でのやり取りも確認された。▼海上自衛隊は、艦船延べ91隻、回転翼機延べ119機、固定翼機延べ87機を投入して捜索・救難活動を実施したが、乗船していたと思われる2名は発見されず。「操舵室ごと」行方不明のままだ。▼日本海と比して穏やかだと思われる瀬戸内海は、冬型の気圧配置により海は穏やかとはいえない。ましてや「瀬戸」と呼ばれる水路は凄まじい潮流によって400メートル以上も海底を侵食するほどだ。いわゆる「鳴門の渦潮」である。▼干満差は2メートルに達する瀬戸内海で、事故の翌日に漁船が二人とも発見するなど、「あたご」の事故からすれば奇跡に近い。奇跡は起こらないから奇跡というのか。▼そういえば、瀬戸内海の佐賀関で獲れる「関さば」といえば名物だが、「清徳丸」も餌になる鯖を獲るため、あの海域にいたそうだ。しかし、不思議なことにその海域で鯖を獲ることはないらしい。

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