根子岳・天狗岩( 1433m)
(ヤカタガウド~天狗岩~見晴新道)
曇 (*文字サイズは「大」が最適)
〔行程〕 ヤカタガウド最上部駐車場(発8:25)→天狗のコル(着9:40)→
クライミング開始(9:58)→天狗岩頂上(着10:22~発10:33)→
天狗のコル(着10:56~発11:40)→
見晴新道登山口へ下山(着13:30)
〇私が阿蘇一の宮局勤務(昭38~44年)の頃は幾度となく登った天狗岩であ
るが、その時代の固定鎖は取り外され、今はクライマ-達の世界である。
私にはその技量の持ち合わせが無く、クライマ-達が登る姿を天狗のコル
から眺めるだけであった。
ところが、馬場さんと出会った根子岳・南峰(←クリック)の際、「天狗にもう一
度、登りたい・・・」という私の思いを話したところ「松尾さんのために根子岳
縦走を実現させましょう」と確約された。
その後、何度か山行を共にして今回の実現となった。
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▼今日の天気予報は「曇り午後から40%の降水確率」である。
天気は山行日和では無いが馬場さんのスケ-ジュル(山の家を建築中)の関係で敢えて今日の決行となつた。
▼ヤカタガウドのゴルジュ(狭く切り立った岩壁に挟まれた谷)の川床は昨日まで
の雨に濡れ滑り易い・・・。岩盤の登路を用心深く、ガレ場の竿河原は落石
に注意して黙々と歩く。
ガスがかかるメガネ岩を眺めて一息入れる。
潅木帯に入り、大山蓮華の小さな蕾みを見届けて天狗のコルに着く。
〔倒木を伐採して軽トラを走らす〕 〔幻想的なメガネ岩〕
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▼コルから岩崖を一つ越え、二つ目の岩壁に「この先キケン」の文字と×標し
が朱書されている岩の隙間を乗り越え、岩壁に派生する畳一枚位の平らな
窪みに着く。
右下は鶯谷への断崖絶壁となつて切れ落ちている。
眼前には天狗岩に繋がる小岩峰が立ちはだかって聳え立ち、岩壁には昔
の鎖が一部残骸となっているのが見える。
▼此処からが本格的なクライミングとなるが周囲はガスがかかり見透しが悪い状
況であったので、私自身の技量からして無理と思い、西峰への縦走を断り
天狗までとした。
ザックをここにデボしてクライミングの準備をする。
練習はしていた積もりであったが緊張感が伴いハ-ネスが思うように装着
出来ない、手取り足とりで馬場さんから指導を受けて装置完了・・・。
▼ロ-プワ-ク等の説明(自己ビレイ・固定ザイルとカラビナ・体重のかけ方は
岩を掴む力でなく、足で支える・岩にはゆっくりと足を乗せる・・etc) を受け、
気合あわせしてスタ-トした。
〔この岩の岩壁を右にトラバ-ス〕 〔クライミング装備を装着〕
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▼馬場さんが張られたザイルを辿って岩壁を横移動するのであるが、途中で
掴まる岩と足掛かりが無くて立ち止まる・・・。
馬場さんの指示でアンカに付けられたカラビナに掴まり、草つきの岩壁に足
を移す指示であるが、今にも崩れ落ちそうな足掛かりである。
安全は命綱で確保されているので・・・命は馬場さんに預ける思いで足を運
びその場をクリアして(このル-ト最大のキケン箇所であった)ザイルの確保
支点に着く。
そこから更なる岩崖にザイルを固定され、次なる岩場を登り上げた。
〔ザイルを固定する馬場さん〕 〔ザイル固定を2回繰り返して縦走路を歩く〕
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▼その後は昔からの登路と思われる潅木が生える安定した縦走路を攀じ登り
天狗頂上に立った。
〔安定した登路〕 〔登路より天狗岩頂上方向を望む〕
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▼天狗に登ったのは昭和43年頃?が 最後であろうと思われるので43年振り
の登頂である。
頂上広場の昔の記憶を必至に辿るが・・・。その時の光景は忘却のかなた
(空間)となっていたようである。(苦笑)
天狗岩に書かれていた「根子山頂」の文字も完全に消え去っていた。
敢えて昔の記憶を呼び戻すものが在るとすれば、頂上付近に植生してい
た草木が大きく成長して潅木林に変わっていた事と天狗の岩上に立った写
真の姿であろう。(昭和40年頃の懐古写真文末に添付あり:画像①)
〔頂上への出口路〕 〔天狗岩を南側から見る〕
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〔天狗岩を西側から見る〕 〔北東側から見た天狗岩〕
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〔北東側(コルからの縦走路)
から見た頂上の全景〕 〔復路:樹木に支点ををビレイ(確保)〕
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〔天狗からの下降〕 〔ロ-プワ-クを指示される馬場さん〕
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▼頂上からの展望はあいにくのガスで眺望は出来なかったが西峰への縦走
路の経路の説明を受け、来るべき日を約束(西峰縦走)して見晴新道経由
で下山した。
▼下山後は、女房が料理を準備する間に阿蘇駅前の「夢の湯」に浸かり、湯
上り気分で酒宴に着く。
馬場さんへの感謝の酒杯を交わし、山談義(画像②)で寝食を共にした。
〔無事に着地して此処でランチタイム〕 〔指導を頂いた馬場さんに感謝の酒杯〕
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画像① 昭和40年頃? :天狗岩頂上にて
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画像② 馬場さんの山歴紹介
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画像③ 昭和32年「徹爺じい」さん根子岳縦走(西峰~天狗~東峰)
ザックはキスリング、ザイルルはマニラロ-プ・・・。
半世紀前の登山スタイルです。ちなみに「徹爺じい」さんの話では「自宅で牛馬用に使用していた
マニラロ-プを持ち出した」とのことであった。
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(2011/09/16 加筆 )
天狗挑戦はいつのころだったか写真帳を引っ張り出してみたら54年前の昭和32年11月西峰~天狗~東峰縦走の写真をみつけた。車などない時代で1番列車で宮地駅下車。駅から徒歩で日尾峠へ。縦走後波野駅まで徒歩。終列車にようやく間に合ったことを思い出しました。
76歳の現在、大好きな根子とはいえ各コースを部分登頂が精いっぱいとなりなおさら羨ましく拝見した次第。 徹爺じい
「徹爺じい」さんと山行を共にする度に色々知識が(登山心得・登山ル-ト・山の歴史・阿蘇の風土など)深まり感謝いたしております。
ところで、昭和32年に根子岳縦走されたとの事ですが、その時の写真を「資料写真」として画像に残したいのですが如何でしょうか・・・・。
私も43年振り(昭和43年)の天狗岩登頂でしたがその当時の写真は持ち合わせが少ないので是非お願いしたいと思っています。(後日、またご相談致します)
梅雨が明けたら・・又、山に誘って下さい。