
仙台市地下鉄東西線の開業から、6日で2年がたった。2年目の1日の平均利用者数は、およそ5万5,100人と着実に増えているが、開業前の需要予測8万人には、ほど遠いのが現状となっている。一方で、運営資金の借り入れの違法性の指摘もあり、今後の運営に注目する必要がある。
東西線利用者は、「だいぶ便利になった。(東西線の)駅の近くに家があったので」、「最初は駅にまごついたが、慣れるとなんてことない」、「バスが少なくなったので、不便」などと話した。
開業から2年。
帰宅ラッシュで混雑する東西線の仙台駅。
利用者数は、1日あたり平均でおよそ5万5,100人が利用していて、2016年の同じ時期に比べ、12%ほど上回っている。
ただ、開業前に下方修正した需要予測8万人に対しては、2万5,000人ほど下回っていて、達成率は68.9%にとどまっている。
利用者の増加に向け、重要となるのが、沿線の開発だが。
地下鉄荒井駅周辺には、この1年間で、台湾の世界的な自転車メーカーがオープンしたり、ライブホール「仙台GIGS」が開業したりと、開発が進んでいる。
しかし、荒井駅の1日の平均利用者数は、およそ2,200人で、開業前の需要予測の半分ほど。
目標の8万人に、なかなか届かない利用者数。
東西線沿線の活性化を市長選の公約としていた、仙台市の郡 和子市長は、独自の活性化策をまだ打ち出していないが、東西線沿線の人口が、2年間で3,000人以上増えたことなどから、手応えを感じている。
郡市長は「需要予測で見ると、達成割合はかなり増えていると思った。これからも(利用者が)増える可能性を秘めている」と述べていた。
ただ、運営資金に違法性があるとの指摘も。
仙台市民オンブズマンは、市が一般会計から東西線を運行する市交通局に無利息で資金を貸し付けたのは違法だとして、住民監査請求をしている。
仙台オンブズマンの齋藤拓生弁護士は、「仙台市からの貸付金約160億円が回収不能になってしまう」と述べた。
東西線沿線の活性化には、今後、「仙台市中心部に行きたくなるような」工夫が必要不可欠であると、専門家は指摘する。
宮城大学の徳永幸之教授は「郊外にない店やイベントを、都心に行けば味わえるように。都心が魅力的になれば、ついてくる形で、沿線も活性化していくのではないか」と話した。
開業から2年の地下鉄東西線。
使いたくなる工夫、市民が納得する税金の使い方。
仙台市は山積する課題に、どう取り組むのか。
市民は、市の動きに注目していかなければならない。