「委託と依頼」の続きです。明治大学(法)新実教授の論文から、うみがめ課が隠しておきたかった「委託」の裏の意味が見えてきました。その論文のポイントを下記に抜粋します。
1.市町村の一般廃棄物処理の責任:
廃棄物処理法は、一般廃棄物の処理を市町村の固有の事務と位置づけ、その処
理を市町村が自ら行う(第6条の2第1項)か、他者(受託者)に委託し若しくは許可を与えて行うことができる(同条第2項、第7条第1項)とする。そして、市町村以外の者に対する市町村長の許可又はその更新については、当該市町村による一般廃棄物の処理が困難であることを要件とされる(同法第7条第5項1号、第10項1号)。
市町村には一般廃棄物処理について統括的な責任が課されている。そして受託者の処理が不適切であっ場合には、この統括的責任のもと、市町村自らがその不適切処理による生活環境上の支障の除去や発生防止のための措置を講じなければならない。
2.一般廃棄物処理の委託:
市町村がその固有の事務である一般廃棄物の処理を他者に委託する際には、
市町村自らが行うのと同等の一般廃棄物処理を行うことのできる受託者に委託
することが求められる。施行令第4条の定める委託基準はこれを具体化するもの
というべきである。 (注)事務:仕事とほぼ同義
ひるがえって自治会は委託基準をクリアしている受託者でしょうか?委託基準の一つに「受託者が受託業務を遂行するに足りる施設、人員及び財政的基礎を有しかつ受託しようとする業務の実施に関し相当な経験を有する者であること」(施行令第4条第1項)が定められています。この基準は公共サービスを行う主体としてふさわしい者に委託するようにという観点から定められています。自治会には受託業務を行う施設もありませんし、素人集団である自治会が業務の実施に関し相当な経験を有する者でもありません。福津市は単にコストカットでき、市の事務の「下請け」として便利な自治会を選んだのでは、ないでしょうか。
自治会が引き起こした「自治会未加入者の資源ごみ受入れ拒否」の発生防止のための措置をうみがめ課は適切に行っているのでしょうか?そもそもうみがめ課は一般廃棄物処理が自らの固有の事務との認識もないので、自治会に対して資源ごみ受入れ拒否を防止する措置は行っていないのです。
福津市うみがめ課は自らに課された事務を行っていない現状を隠蔽するため「委託」の言葉を使わないで施行令第4条を脱法し、分別収集の違法な解釈をして自らの責任を回避し、さらに「委託」に結びつく交付金を市民に隠しているのです。