小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

記事 「寝ても覚めても:優等生野球、敗れたり=冨重圭以子」

2008年09月05日 | スポーツ
 
 メダルなしに終わった星野ジャパンに批判が集まっている。監督の采配(さいはい)がおかしいとか、選手に根性がないとか、選手の選び方が間違っていた、などと袋だたきの状態だ。

 敗因は一つではないと思うし、それぞれの意見にうなずける面もあるが、私は、もう一つ敗因があると思う。日本の選手が教えられてきた野球の基本が、短期決戦の国際大会とはマッチしないのではないか、と思うのだ。

 優勝した韓国や銀メダルのキューバ、銅の米国といちばん違ったのは、打者のスイングだ。2ストライクをとられるまで、彼らは豪快に振る。一部の打者はボールカウントが追い込まれても、豪快に振った。

 彼らのスイングを見た後では、日本の打者のスイングはおとなしく、ひ弱に見えた。

 星野仙一監督が、真っ先に敗因として挙げたのは、球審によってバラバラだったストライクゾーンである。日本だけではなく、どのチームも戸惑い、いらいらしていた。韓国とキューバの決勝の九回に、韓国の若い捕手がボールのコールに抗議して、退場宣告されたのでもわかる。ただ、お互い様なのだから、監督が敗因に挙げるのは潔くない。問題は、日本の打者がバラバラのストライクゾーンに、全く対応できなかったことだ。

 野球を始めたころから、選手は「ボール球に手を出すな」と教えられる。少年野球でも、高校野球でも、プロに入ってからも「ボールは打つな」が基本だ。四球を選ぶ選手は、ヒットを打つのと同様に、ときにはヒットを打つよりも称賛されるのが、日本の野球なのだ。

 しかし日本以外では、「ボールは打つな」ではなく「ストライクは打て」と指導される。ストライクゾーンが多少違っても、自分がストライクだと見た球は全部打つつもりで打席に入っている。能動的というか、積極的というか、そのあたりが日本の打者と決定的に違っていた。

 「ボール球は打たない」という日本の野球に順応した、日本の指導者にとっては優等生がそろった日本代表。野球漫画「ドカベン」に出てくる悪球打ちの名人、岩鬼みたいな型破りな選手がいればよかった。あるいはワンバウンドでもヒットにしてしまうイチロー選手(マリナーズ)タイプがいればよかった。そういえば、イチロー選手はよく言う。「四球はぼくの野球ではないですから」と。(専門編集委員)

毎日新聞 2008年8月29日 東京夕刊

 日本以外は「ストライクは打て」か。しかしこれを書いてる冨重さんは詳しいし、おもしろい。説得力がある。冨重さん、WBCの監督の行方はどうなるんでしょかね?

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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おはよう (wood)
2008-09-05 06:51:39
いろんな意見があって当然だと思います
でも選ばれたのがプロ集団です
ストライックゾーンの違いは国、人が変われば当然ある事で皆平等ですよね

前回のWBCのように日本だけにおかしな判定をしてたアメリカの審判だったら不満も出るでしょうけど
今回の審判に対しての言い訳は通用しないのではないでしょうか

バッテリィも素早く審判のストライックゾーンを見抜くことが先だと思います
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woodさんへ (小父さん)
2008-09-05 20:02:36
 ストライクゾーンに関してはwoodさんのいうとおりだと思います。

 先に、アマ野球連盟:松田会長、星野ジャパンに「残念で反省を」もおなじような指摘をしてますね。

 米はマイナーリーグがやってきて、日本はこれ以上強いチームはないという編成で、選手は死闘をくりひろげて何で銅メダルも獲れなかったのか?疑問の残るとこですね。
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