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仏音

2016年06月06日 04時28分03秒 | 慈しみと悲しみと

             福岡県太宰府市 観世音寺 聖観音菩薩像 

朝日文庫「仏音」最後の名僧10人が語る「生きる喜び」高瀬広居著、この頃リュックに入れて繰り返し読む。

冒頭、作家司馬遼太郎氏が平成八年急逝直前の週刊誌対談で述べられたことが書かれている。

「いまの日本の事態が、太平洋戦争に負けた事態よりも、もっと深刻な道徳的、倫理的試練にたたされていることに国民は気づいていない。ここまで闇の世界をつくってしまったら、日本列島という地面の上で国民は暮らしていくだろうが、堅牢な社会を築くことは難しいだろう」

また最後のページにはこう書かれている。

仏法とは中道なりー日本人再生の道を説き示し、みずみずしい生命力あふれる安心立命の糧を与えてくれる十人の名僧はいた。だが、私たちのふしあわせは、いまもなお、この高僧たちの声に素直に耳を傾け、心を澄ませることができない傲慢と独善にある。

心なきひとは正法(まこと)を知らざるべし。げに、匙は器につけども汁味(あじ)を知ることなきがごとし。(法句経六四番)

一億総活躍時代などと称して、 少子高齢化という構造的な問題について歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持、一人ひとりの日本人、誰もが、家庭で、職場で、地域で、生きがいを持って、充実した生活を送ることができることを目指すと安倍首相は提唱するが、国民の反応は冷ややかな感じがする。

高度成長期、バブル期などを体験してきた私たち高齢者は、よくも悪くもいい時代を過ごしてきたと思う。しかし、これからの日本はどうなってしまうのか誰もわからない不安な情況にある。不安なときこそ心の糧が必要であり、正道を歩むことが大切である。



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