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熊本県 医王寺 聖観音菩薩立像
「般若心経」を毎朝唱えるようになったのは、母が亡くなってからで23年になる。母は信心深い人で「般若心経」は仏前でよく暗誦していたこともあり、その習慣を私が引き継いだような感覚で始めた。
昭和63年に家を建て替えた時に、建築屋さんが和室に作り付けの仏壇スペースを作ってくれた。母の亡くなったあと、長くガマンしてもらった小さな仏壇から大きな鉄刀木(たがやさん)の仏壇に買い替え、同時に真言宗の須弥壇にならって、大日如来の木彫りの仏像と不動明王ならびに弘法大師の仏画を祀ったことも経を読むきっかけになった。
お経を読むことを読経(どきょう)というが、声を出して経典を読むことで読誦(どくじゅ)、誦経(じゅきょう)、諷経(ふぎん)とも言われる。また、読経は経典を見ながら読むこと、誦経は暗唱して読むこととのこと。
「般若心経」は一番有名なお経で、葬儀や法事、札所巡りなどでよく唱えられる262文字の短いお経である。はじめの方に出て来る空・不・無の文字が特徴的で、色不異空・空不異色、色即是空・空即是色はとくに有名。言葉の意味はそれぞれ難解な部分が多いけれど、毎朝誦経することで亡き家族の供養にもなり、自らのこころの支えにもなっている。
今日は久しぶりに「観音経」の経典をみながら声を出して読んでみた。「観音経」は520文字に結び78文字、計598文字からなる法華経の第25品(ぼん)のお経で、漢字五文字ずつのリズミカルな読み方に、念彼観音力(ねんびかんのんりき)という言葉が計13回出てくる。観音を念ずれば必ず救われる、観音のみ名を聞き、観音のみ姿を拝み、心に念じることで、私たちの心の奥底に内在する慈悲のこころが、目の当たりに観えることを教えるのが観音経ともいわれている。
コロナ禍の収束を願い、念彼観音力の五文字に託して一心に唱える。
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