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「自由民主党憲法改正案を読んで(その2)」
On My Commentary of The Liberal Demcratic Party’s Draft
to the New Constitution Law of Japan
荒井康全[1]
Yasumasa Arai
(総合知学会会員)
January 25, 2013
(Abstract)
The Liberal Democratic Party of Japan (LDP) has been working their draft schemes of revision of The Constitution law of Japan, two schemes of which the author this time takes as comparative reviews between 1. The draft of 2005[2] and 2. that of 2012[3] along the aspect of The Constitution Law now running. The author already relieved the first essay , where my brief comments are placed.[4] [5] So,this time, the author is particularly paying a focus on each part of Preface of them. Mission, Vision,and Value are stressed here as a clue for evaluation.
はじめに
自由民主党の憲法改正案[6]が2012年4月に決定され公表されている。一方、2005年には「自民党新憲法草案の全文」[7]があるので これらを材料として使い、憲法改正の焦点とその検討のながれを 個人として考察することした。その一報は 「自由民主党憲法改正案を読んで」[8]と題し その1として公開している。
今回は その2として上記 2案と現行憲法について 特に 「前文」に
焦点を当て 比較して 考察したものである。
*****
目次
1. 「テキスト1(憲法改正案平成24年4月27日(決定))の前文」 (ここでは「24年案」とよぶ)[9][10] を読むこと
2. 「テキスト2(自由新憲法草案 平成17年(2005))」(ここでは「17年案」と呼ぶ)
2-1(前文と出典は脚注を参照ください)
2-2 所見(2013/1/25)
3.所見「17年案」と「24年案」を比較して
4. 「テキスト3 現行憲法「日本国憲法」の前文」
5.「24年案」前文を「現憲法」前文との比較について
5-1「24年案」前文について
6. まとめ
6-1*本検討作業通じて、
6-2*そのような動機で
6-3*わたくしの提案:
*****
私の提案
1.「現憲法」の前文を 極力そのまま 引き継ぐべきである。
2.各章の改正の必要については 今回は触れなかったが、基本的には 第九条の戦争放棄に自衛権ならびに共同自衛権を明記したものに替えることで済むようにすべきである。
3. 自民党「24年案」のように憲法条文総入れ替えではなく、現憲法を存続させ
個別修正改正としての道筋で考えることを提案したい。
[1] 荒井康全 Yasumasa Arai 男性 1938生れ 神奈川県 日本人
東京都町田市 E-mail: araraiypol1a@nifty.com
携帯電話:090:7634-0161
Yassie araiの音楽絵画は以下をクリックすると
全編ご覧になれます;http://www.youtube.com/user/Yassiearai?feature=watch
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(Yassie Araiのfacebook です。ここからも朝日記のブログが
みられます)
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[2] 「17年案」出典:「自民新憲法草案の全文」(Draft for The New Constitution; The Nihon Keizai Shinbun October 29,2005
[4] 荒井康全, 朝日記121222 きょうは時雨れです、自民党の憲法改正案についてなど
http://blog.goo.ne.jp/gooararai/e/7bf05eb5f32992db9fedb6f2252b4d19
[5]荒井資料No.1043 荒井康全「自民党憲法改正案についておもうこと(1)」
[7]「17年案」出典:「自民新憲法草案の全文」(Draft for The New Constitution; The Nihon Keizai Shinbun October 29,2005
[8]荒井康全, 朝日記121222 きょうは時雨れです、自民党の憲法改正案についてなど
http://blog.goo.ne.jp/gooararai/e/7bf05eb5f32992db9fedb6f2252b4d19
[9] 「テキスト1(憲法改正案平成24年4月27日(決定))の前文」
(参考 「24年案」)
日本国民は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴でる天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政、及び司法の三権分立に基づいて統治される。
我が国は、 先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
日本国民は、国と国土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、この憲法を制定する。
[10] 「24年案」出典:
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
*****
本文
1. 「テキスト1(憲法改正案平成24年4月27日(決定))の前文」 (ここでは「24年案」とよぶ)[1][2] を読むこと
(前文と出典は脚注を参照ください)
所見( 2013/1/25)
*(国際社会の一員としての日本と それを受けてのわが国の存在理念の明示が必要なのではないか)[3]荒井
*(なぜ憲法を改正するに至るのかの歴史事実の認識がなく、ただ「先の大戦による荒廃・・・」の事象に留まっている)
*(したがって、そのあとに続く「平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。」についての意味を表す理念や理想による筋がなく、単なるお題目となり、空疎である。)(荒井)
*「国家を形成する」と「国を形成する」の違いはなにか。前者は国全体への意識志向がつよい表現である。 主権在民であるその国という概念をさらに明示してもよい。
その意味では、ここを「民主主義国家を形成する」と表現することも提案できる。)(荒井)
2. 「テキスト2(自由新憲法草案 平成17年(2005))」(ここでは「17年案」と呼ぶ)[4]
2-1(前文と出典は脚注を参照ください)
2-2 所見(2013/1/25)
*この「17年案」の前文にも 明治以降 特に先の大戦に対する歴史認識がなく、忽然として「自らの意思と決意」が出てくる。 その認識前提を明示することのでなければ意味が伝わってこない。 自主、自立にこだわるがあまり、人類社会でのおおきな潮流の位置づけがなく、単に、「自らの意思と決意」とでてきて形式的にとどまり、意味が伝わってこない。
*その意味では この17年案の第4パラグラフの 「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、」につづいて 冒頭の第1パラグラフの「自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。」が論理的にただしいのではないだろうか。つまり 以下にすべきである;
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。」[5]
3.所見「17年案」と「24年案」を比較して
*「24年案」の方が「17年案」よりも、国際社会の一員としての日本と それを受けてのわが国の存在理念の明解であり 優れていると結論する。
*また、「24年案」よりも 先に作成された「17年案」の方が 現憲法の前文の理念に近いと理解する。
*「24年案」に特徴的なのは 国と郷土、伝統、和、自由と規律など日本固有の道徳観の確認が入っている。[6]
*これはこれでよいとおもうが、是非は別として 臓器移植の市場化、同性愛婚などに代表されるよう世界的な価値感の歴史的ゆらぎのなかでの 高度の知性やしなやかな感性の高揚が必要になっているのではないか。「自由と規律」は正しい表現ではあるが、それだけでは意味を伝え得ないのではないだろうか。
4. 「テキスト3 現行憲法「日本国憲法」の前文」[7] (ここでは「現
憲法」と呼ぶ)
脚注に全文を掲載します。
5.「24年案」前文を「現憲法」前文との比較について
「24年案」前文について
*先の大戦が何であったか、自らは如何に評価するかが明示されていない。
*その定義ならびにそれに対する態度の意志表示がなく突然「平和主義」が入ってきて 希薄な条文になっている。人類のなかで貢献して 対等の構成員としての日本国家という哲学が読み取れない。つまり歴史認識がない。
*近代民主主義国家としての基本精神「自由」と「平等」の一つである「平等」が抜けている。
さらに「専制と隷従」「圧迫と偏狭」が日本人が血の代償をもって獲得した精神である ことばが 削除されている。
*「規律」 「自由と規律 」の表現のなかで入ってきているが その精神が明示的でない。
*「和」「助け合い」「伝統」が価値基準としてでてくるが 日本人の精神根拠として 日本はもとより、人類への奉仕としても理解される認識内容を明示しておく必要がある。
例 ドイツ基本法
「神及び人間の前での責任を自覚し、統合されたヨーロッパの対等の構成員として世界平和に奉仕する意思に鼓舞されて、その憲法制定権力に基づき、この基本法を制定した。」
例 アメリカ憲法
「われら合衆国人民は、より完全な連合を形成し、正義を確立し国内の平穏を保障し、共同の防衛を備え、一般的福祉を増進し、そしてわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここに・・・・制定し、これを確立する」
例 フランス憲法(1957年)
これまでの宣言 規定でとの関係からの確認かつ補完された人の諸権利と国民主権の諸原理に対する至誠、および、その後の規定された至誠を厳粛に宣言するという表現。
6. まとめ
*今回は 自由民主党の憲法改正案のうち 平成17年作成の草案(17案)と平成24の決定案(24案)の憲法前文案に焦点をあて比較考察したものです。
6-1*本検討作業通じて、
大学の後輩である畏友・安部忠彦氏からの指摘によって、筆者の霧が晴れたことを特記したい。つまり一国の憲法には、国のミッション(国の持つ使命)、ビジョン(国のもつ目標概念)、バリュー(価値・道徳・美など)が語られていなければならない[8]ということでありました。
*ミッションとバリューを通じて、日本の近現代史の現時点での総括が前文で明確になされている必要があります。友人の指摘で面白いのは、ビジョンについては、いつまでに、どのようになるというアクションプログラムと密接なので、契約書の覚書と同じで、「別途銘記するよ」にとどめておくというものでした。
6-2*そのような動機で
各国の憲法を垣間見ることになった。
*「現憲法」の前文と比較して 一番決定的な違いは 「現憲法」はミッションとバリューが明確であること知ります。 「17年案」は「現憲法」の意思をつよく曳いているように見ました。
* その視点で各国の憲法を「横観」(よこかん)しますと 「現憲法」が世界の現近代史の流れとしてとして 「ミッション」および「バリュー」とも 遜色がなく世界の「恒久平和」に積極的に貢献していうという理想を掲げ、むしろ世界に先行しているともうかがえます。
* この「ミッション」からくる「バリュー」は 民族固有の価値観と人類社会との
接点の思考と意思から生まれるものであり、自分が考えたから、他人が考えたからなど バリューの出自を問わないものでありましょう。 大いに「興論に徹する」ことが必要であります。
6-3*わたくしの提案:
1.「現憲法」の前文を 極力そのまま 引き継ぐべきである。
2.各章の改正の必要については 今回は触れなかったが、基本的には 第九条の戦争放棄に自衛権ならびに共同自衛権を明記したものに替えることで済むようにすべきである。
3. 自民党「24年案」のように憲法条文総入れ替えではなく、現憲法を存続させ
個別修正改正としての道筋で考えることを提案したい。
以上。 (上席化学工学技士)
[1] 「テキスト1(憲法改正案平成24年4月27日(決定))の前文」
(参考 「24年案」)
* (前文)
日本国民は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴でる天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政、及び司法の三権分立に基づいて統治される。
我が国は、 先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
日本国民は、国と国土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、この憲法を制定する。
[3] 「テキスト1(憲法改正案平成24年4月27日(決定))の前文」
(参考 「24年案の条文案から」)
* 「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。」
*****
[4](自由新憲法草案 平成17年(2005))」
日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。
象徴天皇制は、これを維持する。 また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の倫理として継承する。
日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任観と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。 国際社会において、価値感の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。
日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。
[5] ドイツ基本法はこれに近い。
[6] *****
(参考 「24年案の条文案から」)
* 「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。」
*****
[7] 「テキスト3 現行憲法「日本国憲法」の前文」 (ここでは「現憲法」と呼ぶ)
(前文)
日本国身は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のあめに、諸国民との協和による成果と、わが国土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。 これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようお決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする刻々の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。
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