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朝日記250208―随想―相模国に鎮座する丹沢の峰々

2025-02-08 15:08:39 | 自分史

朝日記250208―随想―相模国に鎮座する丹沢の峰々

初出し:HEARTの会会報No.120 2025年新年号 NPO法人 人間環境活性化研究会 ISSN 2180-4454

 

―随想―
相模国に鎮座する丹沢の峰々

会員 荒井 康全
『性霊集』身は花とともに落つれども心は香とともに飛ぶ ~空海

 

景0 朝の丹沢・大山

 

景1 トーラス気流の丹沢・大山

 

景2 黒い丹沢・大山

 

景3 青い丹沢・大山

 

景4 早暁の丹沢・大山

 

景5 赤い丹沢・大山

 

景6 三峰山の見える丹沢・大山

 

景7 葵い丹沢・大山

 

景8 See you, Mt. TANZAWA -OHYAMA

 

     

景10 A Deep Fall Scape    景11GRANBERRY 's

 

覚悟して山の稜線を追ってみる。晴れの朝には、あさ雲の時々刻々のうごきで山の前景と後景が浮かびあがり、朝日に照らされて前景の影が、後景の山並みに形を投影しているのがわかる。山並みの凹凸の、かすかな凸でもひとつの山と知る。雨雲のときも姿がわかり、山肌を這う白い霧がおもしろい。そうなると、あの頂きは何であろう、名のある山に違いないと地図をながめ、いま見える山を描きながら名を重ねあわせてみる。
丹沢山系というのは、平面では工の字型をしていて、部屋の位置からはこの工の下の一を軸に上の一を奥手に倒した形、山並みがよこに前後してならびそれらをむすぶ縦奥行きの山壁があるといった態である。一方、大山1252mはその丹沢山系の前景に位置し、あの烏帽子のような形の頂から左方になだらかな下降稜線を描き、その下降の始まり辺りから奥へとなだらかなふくらみの稜線を引き、丹沢山系前景へとつながる。丹沢山1576mと名のついている頂きは、後景の横稜線をつなぐ山の背の始めに位置するようである。この山の背と後ろの横につらなる山々の頂きがいくつか重なってみえる。前方の山並みは西峰、中峰、東峰と続くが、急速に下降し、それを補うように前景の辺室山が横にのびる。これらが前後平行して、一見一体のものとしてこちらに押し出してくる感じである。丹沢山の後方には盟主であろう蛭岳1673m、袖平、黍穀山などがいくえにも重なる。わが眺めから確かめてみよう。家に戻ってから県地図をひろげ、わが基点(東急南町田グランベリー駅)から各山頂へ定規で線引きする。測量した人はすごいなと改めておどろく。
大山はこれまで幾度も描いてきた。家内からは「大山大観ね」と揶揄されるほどであるが、今回は地形を調べてみる。この山はご承知のように、上述の山頂から右下降がはじまるとまもなく前方に「山」という字のかたちの三つの山々がならんでいる三峰の山である。伊勢原市あたりまで近づくとこの山が力強くなり、いまここからでは裾野のグラデーションがきれい、むかしのひとは裾濃ともにおいとも。その裏あたりが宮ケ瀬ダムらしい。
一方、大山山頂から左下降では裏側から烏尾山とか二の塔、塔の台がつらなり段々と落ちていく。この景色を何枚も早描きする。地形的知識はこの場合どのくらい助けになるのかわからぬが、すくなくとも形の特性は抑えているので一応目をつぶっても形にはなる。象形文字的になるのはあぶないが、写真のような写実になるのもつまらぬ。ただ、調べることで山々への敬いや、刻々とかわる気配にときめき、手がはしる。

今回の大山大観にみがきをかけたのは、たまたま、立ち眩みが夜中にあり、緊急ICU治療となり、ユニットでのスタッフの俊敏無駄のない動きには感動さえおぼえながら、静まり返える明け方、患者への声掛けが聞こえる、患者は結構無理難題を出している。それに対応するスタッフの人とガラがでている。なにもないがスプレー瓶を一つ描く、車いすもおもしろい。こんな無機的なものに描線がはいると意識があらわれる。いま哲学界と物理学系の話題の中心である「意識のHard problem」命題へと繋がろうか。

体調は年相応でこれからの2・3年は要注意、養生として、たべもの、うんどう、あたまつかい、ほか課される。部屋から山々の展望が豪華で幸い主題の立ち眩みの方はささやか。ちいさな画帳とクレヨンを肌身はなさずそっと携え、たっぷりこれに取り組める時を得る。 

 


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