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ドナルド・トランプ次期米大統領は、実業家のイーロン・マスク氏を「政府効率化省」のトップに起用すると発表した。マスク氏は連邦予算から2兆ドル(約310兆円)を削減できると話しているようだが、可能なのか。大幅な歳出削減を実施した場合、経済や社会にどのような影響があるのか。
大統領選でトランプ氏は「ディープステート(闇の政府)を解体する」と公約に掲げた。かつてのトランプ氏の側近は、トランプ氏が問題視する中核は、国防総省、中央情報局(CIA)、司法省や連邦捜査局(FBI)などだとしている。
トランプ氏は、自身がやりたいことに反対し、いらだたせる政府機関があることを認識している。民間会社であれば、トップの下したことに反対するというのはまれなので、前回の大統領時代にはかなり面食らったことだろう。
マスク氏も同じような問題意識を持つといわれている。株取引や自動運転の技術などで、司法省、道路交通安全局、環境保護庁、連邦取引委員会などから調査されており、役所組織をよく思っていない。
トランプ氏やマスク氏は民間人だったので、役所組織への不信感があり、それが「ディープステート」との見方につながっているので、これを単純に陰謀論とするのは適当ではない。
筆者はかつてこの問題を議論した際、ある米国人から「日本には財務省という立派なディープステートがあるではないか」と言われたことがある。確かに、『安倍晋三回顧録』では、財務省が倒閣をもくろむ様子が描かれている。財務省出身の筆者としても安倍元首相がどのようなことをされたのか知っているので、その思いは理解できる。もしトランプ氏が回顧録を英訳で読めば、『日本にも財務省というディープステートがある』と言うかもしれない。
実際にトランプ政権が始動した際には、露骨に「ディープステート解体」とは言いにくいので、「行政改革」という形を取るだろう。これが、マスク氏が率いる「政府効率化省」の創設だ。民主主義への脅威ではなく、官僚機構への脅威であるとしている。
表向きは「歳出削減」というが、実際は組織改編や人員カットである。マスク氏は旧ツイッターを買収したときに、従業員の8割ほどをクビにした。それでも問題なくサービスを続けられたので、米国政府での行革も大量の人員リストラが予想される。その過程で、政権に忠誠を誓う職員に限定するのだろう。
これは伝統的な保守が志向する「小さな政府」路線でもある。この場合、減税が先行し、その後歳出カット、実際には人員削減になるだろう。
こうした措置は経済・社会に大きな影響があるといわれるが、意外と大したことはない。日本でも、小泉純一郎政権下で「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」が施行され、政策金融改革、特殊法人改革や数十兆円の「埋蔵金発掘」が行われたが、多くの人は、それらがあったことすら知らなかったのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)