私の読書記録

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いつかパラソルの下で / 森絵都

2008年05月16日 | 読んだ小説
異常なまでの超堅物の亡き父親が実は若い女性と浮気をしていたということが、
物語の主人公の柏原一家にとっては驚天動地の一大事なんだろうけど一般的には
ありふれたどうでもいい話で、柏原三兄妹はこの異常な父親のせいで人生を歪め
られ皆大きなトラウマを背負わされてしまったけど、もう死んでしまった人間や
性欲の鬼と噂されていた祖父の過去を洗い出したってそれがいったい何になると
いうのだろう。 そんなことをしたって事実は何も変わることはないし、兄妹それ
ぞれのトラウマがなくなるわけでもない。
バカな父親のことを心底恨み、それを生きる力に変えてトラウマと上手く折り合いを
つけながら懸命に生きていくしかないと思うのだが・・・。
最後の方で兄妹もそのことに気がついたみたいだけど、何か心晴れやかにハッピー
エンドで終わるというのはちょっと違う気がする。 異常な父親に異常に育てられた
兄妹は一生トラウマから逃れることなどできないと思うし、そんな人間が幸せになど
なれるはずはないと思う。


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