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アラスカ戦線 / ハンス=オットー・マイスナー

2025年01月23日 | 読んだ小説
                    


第2次世界大戦中、アリューシャン列島の端にあるアッツ島を占領した日本軍は、島に飛行場を作り
アッツ島を拠点にアメリカ北西部の都市を爆撃する計画を進めていた。 しかし、飛行経路のアラスカの
気象が障害となるため、精鋭部隊をアラスカに送り込み気象情報を通信し始める。 その日本軍を発見し
阻止する為にアメリカ軍は、狩猟に長けた精鋭部隊をアラスカに送り込む。 過酷を極める極寒の大自然
の中で知力と体力を尽くした両陣営の決死の攻防を描いたサバイバル小説。

物語の主人公の日本の気象観測隊の指揮官である日高大尉と、アメリカの偵察隊のリーダーである
アラン・マックルイアの2人が、それぞれアラスカに向かうまでの事もしっかり描かれていて、普通、
物語の本筋の前フリが長いとダレてしまう事も多いが、骨太な作品のわりには読み易いために逆に期待を
そそられて良かった。 

アメリカの偵察隊は、日本の観測隊を発見し奇襲をかけるが、戦果は日本側の辛勝で、両陣営に死者、
負傷者を出し、観測隊は通信と滞在に安定した土地を求めてアラスカを彷徨い、偵察隊は少数精鋭で観測
隊を追う事になる。 観測隊の日高大尉は、途中でアラスカ原住民の少女アラトナを助け、アラトナは
日高大尉の妻として観測隊に同行する。 このアラトナは、本作の原題にもなっている。

やがて観測隊は、野生動物に襲われたり原住民の攻撃で部下を失い日高大尉とアラトナだけになり、
偵察隊もマックルイアが只一人で観測隊を追い、日高とマックルイアの2人は最後に接触する・・・。
極限の極寒の地で死力を尽くして戦った日高とマックルイアは、お互いを認め尊敬し合い後年に渡って
深い友情の絆で結ばれる事になるが、この物語の最高殊勲選手MVPはアラトナだと云えるのかもしれな
い。 そのアラトナの存在と共に、この互いに殺し合った者同士が後年の友になる所が、張り詰めて殺伐
とした悲壮感漂う物語の中で最後に爽快感を生んで素晴らしい最高の冒険サバイバル小説だ。

非常に面白い作品なのだが只一つ不満なのが、巻頭にアッツ島とアラスカの地図が掲載されていないため
に小説だけ読んでいたら物語の舞台であるアラスカでの日本の観測隊の位置がまるで分からない。 私も
途中でネットでアッツ島を捜してみて、アッツ島はアラスカに近いものだと思っていたが、ずい分と日本
に近い所にある島だと分かって驚いた。(カムチャッカ半島のちょっと隣ぐらい)


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