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密航者 / ジェイムズ・S・マレイ、ダレン・ウェアマウス

2025年01月09日 | 読んだ小説
                    


異常な連続小児惨殺事件の陪審員を務めた主人公の大学の女性心理学科長。
評議の結果、容疑者は無罪放免となり陪審員らは、被害者児童家族から恨まれ、マスコミや世間からも猛
バッシングを受けていた。 特に、それらの矢面に自ら立った主人公は、精神的に疲弊し気分のリフレッ
シュのために子供達と結婚予定の恋人と共に大西洋を渡るニューヨークとイギリス間の豪華客船の旅に出
る。 しかし、出航直後から不穏な気配を感じ、ついにその船内で、あのサイコパスなシリアルキラーの
連続小児惨殺犯と同じ手口の連続殺人事件が起こる。

主人公は、あの連続殺人犯が船に乗っていると確信して船内警備員や恋人に訴えるが信じてもらえない。
そして、シリアルキラーの魔の手が主人公の双子の子供に迫ってくる。 主人公は船内で家族を守る事が
できるのか。 話は単純明快にスピーディーに、ストレートに展開していく。

話のテンポがいいから読み易くて面白いのだが、その分、主人公家族や犯人の人物が描き切れてなくて
深みが足らないし、連続小児惨殺事件の裁判の暴露本で主人公を辛辣にバッシングした著者で、主人公
の敵みたいな男を、序盤で簡単に殺して早々に退場させてしまうなんて、せっかくこんなに美味しい設定
の人物なのに、もっと上手く使わないなんてもったいない。

そして、ラストで犯人に浴びせた主人公の最後の一言には驚かされたが、それなら何で記者会見を開いて
私が無罪の票を投じたと嘘の発表をしたのか。 陪審員で知り合っただけの軽い友人を救うために、自身
ばかりか何よりも一番大切なはずの双子の子供や恋人を犠牲にしたのか。 この主人公が家族を犠牲にし
て危険に晒したり、裁判の暴露本の出版発表会に乗り込んで暴れたり、船内で犯人を捜すために理性を
欠いた行動を取ったりと、主人公の異常行動の方もかなり目立っていて、とても心理学の専門家とは思え
なかった。 


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