家族の分け前 / 森 浩美

人間誰だって生きていれば、家庭の中、社会の中で、些細な事から重大な事まで、
いろんな問題や悩みを抱えているものだ。

この短編集は、どれもそんな問題を抱えている人達の日常の苦悩を描いたものだけど、
物語のラストはアンハッピーなままで終らずに、家族の絆などによる小さくても明日への希望が
示されていてホッとするとてもいい作品だ。

それから、あとがきで作者の言葉を読んだけど、この作者は小説家という自分の職業に真摯に向き合い、
誠実に一生懸命取り組んでいるみたいで、とても好感の持てる素敵な人だなと思った。
そんな作者の、真面目で温かい人柄が作品にも滲み出ている。