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湯川教授が登場するガリレオシリーズの第9作目
食堂の常連客から愛されていた店の看板娘が失踪してから3年後、他県の屋敷の焼け跡から白骨遺体となっ
て発見される。 犯人として1人の男が浮かび上がっていたが、その男は23年前にも女子児童を誘拐し殺害
した犯人として検挙されたが黙秘を続け、裁判で証拠不十分として無罪となっていた。
そして、今回もまた証拠不十分として釈放されてしまう。
その男が食堂に現れ遺族である両親を挑発し、両親と食堂の常連客らの怒りが爆発する。
その後、町の一大イベントのパレードの日に、その男が何者かに殺害される。
それは、両親や食堂の常連客、知人ら町の人グルの犯行なんだろうか。
それを警察捜査に協力する湯川教授が解き明かすといったお馴染みの内容。
最初から町の人らの犯行らしいというのは、ミステリー小説的に真相は何かもっと捻りがありそうだし、
そもそも、町の人が非常に大切にしている毎年恒例のパレードに乗じて、そんな町の誇りのパレードを
汚すような事するかなぁという思いもあった。 そして、誰からも愛される天使のような天真爛漫な食堂
の娘というのも、娘のちょっとした発言や行動から何となく少し違和感を覚えていたりもした。
最後に真相が明らかになって思ったのは、やっぱり食堂の娘の本質はそうだったのかという事と、
こんな大掛かりで面倒な犯行を行うぐらいなら、23年前に殺害された女子児童の伯父が、どうせもう
自分なんかどうなったっていいと思っていたんだから、もっと前に犯人を普通に殺して復讐すれば良かっ
たのにと思った。 それでも食堂の娘の悲劇が完全になくなる訳ではないかもしれないが・・・。
作品的には面白かったけど、食堂の娘が失踪した経緯を、娘の師の妻が関係していると湯川教授が、
どうやって推理したのか何も説明がされてなくて片手落ちだし、バレッタの血痕有無だけで食堂の娘を
殺害した犯人を完全に断定はできないと思うが。