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セブン / 浅暮三文

2024年11月18日 | 読んだ小説
                    

☆☆
秋葉原のラブホで女子高生が、首を絞められた後に非常階段で首を吊った状態で発見される。
事件を捜査する帰国子女の主人公は、組織で群れない、長い物に巻かれない美貌の女性刑事で、そんな女
性刑事は小説やTVドラマなどでも世の中に履いて捨てるほどあると思う。 そんなどこにでもあるような
使い古された主人公のキャラの作品で、作者がどのように同系他作との違いを見せて面白く料理するのか
に注目して読んだ。

読み始めると名前が七で愛称がセブンの女性刑事が、生まれつきなのか、子供の頃に火事で両親を亡くし
た精神的ショックが原因なのか、人の心を上手く理解する事が苦手な発達障害のような感じの人物だとい
う事が分かる。 そして、独りの部屋で飼い始めたばかりのフクロウに事件を相談する妙な癖がある。
この辺が、同系他作とは少しだけ違う今回の主人公の個性なんだろうか。(ちょっとショボイかも)
それからセブンの相棒のベテラン刑事の意味不明な例え話は、余計に分かりにくくするだけでいらない。

何で犯人と思われる被害者の同伴者の人物は、女子高生を絞殺するだけでなく、これ見よがしに非常階段
に吊るさないといけないのか。 そして、最初からロープを準備していて計画的な犯行のようだが、
何故かホテルの監視カメラに自分が映るのを避けようとはしていない不可解な行動を取っていた。
そして、被害者の女子高生は、秋葉原で風俗のアルバイトをしていた事が分かる。 更に、犯行のほぼ同
時刻に事件現場のラブホの部屋の隣の部屋を1人で利用していた監視カメラに映る謎の女子高生とは。
セブンらが捜査を進めていく中で、犯人と思われる同伴者の人物を特定できたが、その人物が何者かに殺
害されてしまう。 セブンらは、殺害された男に女子高生を紹介した謎の人物を追う事になる。 

その謎の人物がラブホの隣の部屋を利用したティアラと名乗る女子高生と思われたが、後にティアラが
自殺した時の遺書を書いたのは本人なのか、ティアラに成りすました真犯人なのかどっちなんだろうか。 
もし本人なら女装している時が本当の自分だと言っているのに、秋葉原の女子高生のプチカリスマになっ
ていた彼女が、遺書に本当の女の子に生まれたかったと、自分が男である事を信者らにカミングアウトす
るはずがない。 そして真犯人が、ティアラに化けて即席の女装をしてラブホの監視カメラに映っている
が、女装は所詮、女装した男でしかなく誰が見ても女性ではない。 ましてや初めての女装で上手く女に
化けられるはずがない。 何かセブン以上に作者の方が人の心や物事を上手く理解できてない気がする。 

作者は、文章にそつがなくなかなか上手いと思ったが、最初からTVの連続刑事ドラマとして映像化される
事を狙っているのがミエミエな主人公のキャラや主人公の両親が火事で死んだ事故の真相とか、ドラマの
最終回まで持ち越しそうな謎もあり、連続ドラマとしてはセオリー通りなのかもしれないが、私が読みた
いのは、刑事ドラマのシナリオの様なものではなく小説なのだが。


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