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五島列島にある中学校に、産休補助教員として勤務する事になった若くて美人の音楽教師は合唱部の
顧問になり、女子部員と男子部員の軋轢とかある中、共にNHKの合唱コンクールを目指す事になる。
それを女子生徒と男子生徒の2人の目を通して描かれている。
読んでいて気になった所がいくつかあって、生徒の名前が全員何故かカタカナ表記である事。
文中で簡単な漢字なのに結構沢山ひらがなで書かれている事。
産休に入る教師と産休補助の女性教師は、中学時代からの友人同士なのだが、学校内で生徒らの前でも
タメ口だし下の名前で呼び合っている事。 産休補助の女性教師が何故だか男口調で喋る事。
そして、それらより何より一番気になったのが、1人の生徒の兄が知的障害者なのだが、その知的障害の
兄にも人生や思いがあるはずなのに、知的障害特有の動作言動を、只の作中の道具としてだけ利用してい
るという差別には気になったと云うより驚かされた。
大事なコンクールの本番直前、ある事が原因でピアノ伴奏の産休補助教師が酷く動揺し、それが部員全員
に波及していくとか、そんなのまったくもって教師失格だし、こんな未熟な教師に指導される部員達も
可哀そうだなと思った。 そして、昔の名作の「二十四の瞳」的な島の学校を舞台にした感動小説を今風
に書いてみたという感じでもなく、そんなに面白くもないし大した感動もない。 特に先の心ない障害者
差別と1人のイケてないぼっちの男子生徒が、ある事がキッカケで女子からモテモテになるとかいう展開
は全然いらなかった。 でも、ぼっち生徒の自分が生まれてきた理由、生きる理由がハッキリ分かってい
るのって生きるのが楽なのかなぁ、それとも不自由なのかなぁ。