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私の愛機は8cmMARK-X

進化するアイピース

2月4日、早朝と夕方の富士二態


この日例年になく早く吹いたという春一番の夜。
日中に比べ夕方には風も止み幾分穏やかに。 シリウス伴星に挑みつつとりあえずシ―イングチェックのため8cmをベランダへ移動、夜7時。

 amazonで注文したアメリカンサイズへの変換アダプター(24.5mm => 31.7mm)がようやく届き(おそらく中国からか配送に1週間以上)、五藤製Or.9mmと高橋製Or.5mmも久しぶりに戦力復帰。結果的にその見え味を最近のアイピースと比較することになった。

並べてみると、最近の接眼レンズの筐体が如何に大型化しているかわかる。
アイレンズ(眼レンズ)径が大きくなって,アイレリーフもビクセンは20mm、SVbonyは13mmと覗きやすい。
五藤製Or9mmは、8cmで見た際に特に土星の輪のシャープな見え味、木星の縞模様のコントラストなど他と比べ群を抜いて良く見えた印象のあるレンズだった。ただこのレンズはレンズ群の反射か吸収により青の透過率が悪いのだ思う、多少黄色みがかる。見掛視界は今回比較する意味で調べたところ35度+か。

高橋製Or5mmは中学生か高校生だったか、当時Orタイプでは最も焦点距離の短い接眼レンズだったと思う(SR4mmはあったかも)。高倍率で惑星を観たくて購入したもの。ワクワクしながら最初に見た対象は木星か、土星か。その印象は確かに拡大率は大きくなったものの、切れ味、コントラストともこんなものかと高橋製にやや残念に思った記憶がある。同焦点のアイピースを取り揃えて比較する余裕もなく、高倍率になった分、仕方のない現象なのかとも思っていた。見掛け視界は40度程度。アイレリーフはほぼ0で、眼をアイピースにくっつけないと全視界を見渡せない。

本日のシ―イングは、春一番まださめやらずとリゲルの伴星はどのアイピース、倍率においても全く見えない。夜半まで待って状況が改善することを期待。

続いてM42中心部に移動。
M42はその日の空の状況だけでなく、光学系評価においても絶好の対象物で、淡いガスのグラデーションはコントラスト、抜けの良さを。トラペジウムで分解能、ピントの出方、色収差による滲み、集光力を(非常にシ―イングが良い夜にはトラペジウムの四つ星にディフラクションリングが認められる)。更に周辺の明るい星々で色収差を、と一つの視野でおよそ全てが評価が出来る、見ていて飽きない素晴らしい天体だ。
7時半頃、M42を突き刺すように視野内に流星が横切る。月のない透明度の良い晩だけに、これを撮影した天文マニアがどこかにいると信じている。

M42でOr9mmとSVbony9mmを、Or5mmとNLV6mmを比較してみた。
結果は明らかに最近のアイピースに軍配があがった。あれだけ優秀だと思っていたOr9mmもSVbony(セット価格で1つ3,000円程度の廉価アイピース)と比較するとその視界の狭さ、コントラスト、シャープネス/ピントの出方等見劣りした。大型レンズをふんだんに使用したレンズ設計(広視野)、素材、マルチコート等最近のレンズの優秀さを改めて知った。

Or5mmとNLV6mmも同様で、視界の背景の抜け、コントラスト、シャープネスとも6mmと大きな差が認められた。更に残念ながらOr5mmは非常にピントの山が捕まえにくく、当時の印象は高倍率故の問題だけではなかったようだ。大切な自慢の一品ながら残念だ。小さなレンズ群の加工精度によるものなのか、設計そのものに原因があるのものかはわからない。

M42でしばらく時間を費やすもシ―イングの改善が見られない。シリウスに向けるもリゲルの伴星が見えない事には言わずもがな、である。
結局11時まで望遠鏡、接眼レンズとも放置しておいたが、この日のシ―イングは改善せず。シリウスは南中ながらリゲルは西に傾きだした。
冷え切った接眼レンズ群ともども本日は撤収。
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