※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■
「犯人」がループ存在だとしたら?
筆者-初出●Townmemory -(2009/05/31(Sun) 04:27:05)
http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25973&no=0 (ミラー)
[Ep4当時に執筆されました]
●再掲にあたっての筆者注
ひとつの発想からいくつかの疑問がラインでつながる、という典型的な推理の流れです。ゲーム盤の勝利条件がガラッとひっくり返ってしまいました。まさに「チェス盤を返す」……。
以下が本文です。
☆
みなさん、こんにちは。
今日も些細なことを書きに参りました。
ちょっとしたことに気付いたので、聞いてくださいな。
ひぐらしのネタバレをします。そしてネタバレ改行はしません。文字のドラッグ伏せもしませんので、よろしくお願いします。
ep2のTIPSで、譲治をExecute表示にすると、こんなコトが書いてあるんです。
「ひょっとしたら、彼らが第二の晩だったかもしれない」
冗談というか、推測っぽく書いてあるんですが、これって、本当にそうだったんじゃないか、というのが、今回の話の発端です。
「彼ら」と書いてあるのは、もちろん譲治と紗音のコンビのこと(でしょう)。
ep2では、「抉りて殺せ」シリーズとして殺された譲治と紗音。
でも、本来の計画では、「寄り添う2人」として殺されるはずだったんじゃないか。
その可能性はけっこう前から感じていたんですが、標的が変更された理由がうまく説明できないので、とりあえずほっておいたんです。
が、ある仮定を持ち出すことで、きれいに説明できることに気付きました。
*
で、唐突ですが、ループ記憶についての話から始めたいと思います。
公式掲示板の過去ログを読んでいて、どのスレッドだったか忘れたんですけど、
「ループ記憶を持ったキャラは今回いるのかいないのか」
という議論を見ました。
ループ記憶……。
「ひぐらし」の古手梨花が持っていた、あの特殊能力ですね。
前回のゲームの記憶と経験を持ったまま、次のゲームの「駒」として登場できる。
「前のゲームではこんなふうに殺されたから、今回はこういう行動を取れば殺されずにすむんじゃないか」
という発想ができる特権的なキャラクター。
前回の梨花ちゃまのようなキャラは、「うみねこ」にいるのか。いないのか。
私はその議論を見ながら、
「私は“いない”と思うね」
と考えていました。
留弗夫のループっぽい意味深なセリフは別の意味。紗音と嘉音のループ的発言は幻想シーン。そう見るのが妥当だな、という立場でした。
でも、仮に、
「もし、絶対“いる”と仮定するならば、いちばんループ記憶存在っぽいのは誰か」
と考えてみたら、ピーンと思いついて、いくつかの現象に、ぴったり当てはまった。ラインがつながった。
もし「うみねこ」にループ記憶キャラがいるとすれば、それは「犯人」で間違いない。
「犯人」がループ記憶を持つとしたら、
ep2の不審な殺し方や、
譲治に対しての
「ひょっとしたら、彼らが第二の晩だったかもしれない」
とかが、説明できてしまう。
さてご存じの通り、私は連続殺人の犯人を8割がた「朱志香」で見てますから、以後、だいたいそのイメージで書きます。
けど、べつに議論としては、朱志香じゃなくても全部成り立ちますから、お好きな犯人をイメージして読んでいただければ大丈夫です。
*
「犯人はループ存在」という立場から、「譲治は実は第二の晩で殺されるはずだった」を説明します。
犯人は「寄り添う2人」で譲治と紗音を殺すつもりだったが、事情があってそれができなくなり、代わりに朱志香と嘉音を殺すことにした。
その事情とはなんだろう。
譲治と紗音を第2の晩に殺すことで発生するのは、「嘉音反乱イベント」です。
犯人は、これを回避するために、「譲治と紗音を殺す」という計画を中止した。と考える。
この前提に立ったとき、
「犯人は、“紗音を先に殺すと嘉音反乱イベントが発生する”ことを知っていなければならない」
「何らかの事情で最初から知ってた」
と考えることもできます。
けど、
「ep1でそういうルールが判明したので、急遽、それを回避するために計画変更を余儀なくされた」
と考えるほうが、自然では?
つまり、犯人はループ記憶を持っており、ep1の経験をふまえて、紗音殺しを回避した。紗音殺しを回避した結果、紗音とコンビになる譲治も殺せないことになった。よって、本来は「譲治は実は第二の晩で殺されるはずだった」が、そうでないパターンが選ばれた。
嘉音は、ep1の反乱イベントで、「これは金蔵が決めたルールでも、魔女が決めたルールでもなく、ぼくが決めたルールだ」と言っています。
この発言を採用するなら、嘉音反乱イベントは、「魔女側も知らなかった隠しイベント」である可能性がある。
もし、そうだとするなら、
犯人はep2の段階で嘉音反乱イベントの存在を知っていたのだから、
・犯人はループ記憶を持っている。
・ゲームは順番通りep1→ep2の順に発生した。
この二つは確実に言えることになります。
ついでに、不確定ながら、蓋然的にこれもキメウチしてしまいましょう。
・ep1が、犯人にとっても、最初に経験したゲームである。
この仮定をすると、ep2に残っていた謎はいっきに解けてくる。
一個、謎を残したまま放置してたんです。
駒の動きその5・盤面(II)
「ep2の厨房。5人の使用人のうち、犯人が南條と熊沢だけを殺した(他は殺さなかった)理由とは?」
その理由とは、「紗音を殺したくなかった」。
より正確には、「譲治が生きていて紗音が死ぬ、という状況をつくりたくなかった」。
ループ記憶を仮定するなら、こんな想像ができます。
犯人は、ep1で、「紗音を亡くして悲痛と絶望のうちに追いやられた譲治」の姿を、見ています。
犯人はそれが、いたたまれなかった。
そのいたたまれなさは、2ndゲームでも、なまなましく残ってる。
ep2、あの時点では譲治はまだ客間にいます。
ということは、この時点で使用人5人を皆殺しにした場合、もう一度、譲治が泣き叫び、怒り狂い、すべての希望を失う姿を見なければならなくなります。
それを、見たくなかった。二度と見たくない。
だから、殺そうとしたけど、殺せない。
ep1で、「金蔵」の死を、中盤で公開してしまった理由も、たぶん同じではないでしょうか。
金蔵の死は、公開しないほうが犯人には断然有利なのです。生存者が常に、「金蔵犯人説」をうたぐってくれますからね。
でも、公開せざるをえなかった。
その理由は、「紗音を亡くして悲痛と絶望のうちに追いやられた譲治」がかわいそうで、あまりにも痛々しくて、彼を殺すことなんて無理になってしまったからではないでしょうか。
「金蔵を殺さない(死を発覚させない)」という選択肢を選んだ場合、犯人は消去法で、譲治を殺すしかないのです。本来ならその計画だった。でも、感情的にそれができなくなってしまった。
こうした推測をOKとするなら、犯人は、愛とか同情にあふれた、とても人間的な人物、というプロファイリングになってしまいます。
いいのか?
いいんだと思います。
夏妃の部屋で、犯人は譲治と紗音を襲い、とどめを差します。
殺すんなら、この2人は同時に殺すしかない。そうでなければ、残された一方を犯人は殺せなくなってしまうから。
そして譲治と紗音の最期のシーン。死を覚悟して、紗音は、最期の言葉として譲治に「愛してる」と言ってもらおうとします。
譲治は言おうとします。
犯人は言いおわらないうちに、まるで「言わせない」とでもいうかのように、譲治を殺害します。
まるで、「おまえたちの最期の望みなんて叶えさせねえよ、あっはっは!」という無慈悲と残酷の表現のように見えます。
もちろん、魔法が出てくるところですから、幻想シーンとして考慮外に置いてもいい。
けれど、「それに類する展開がほんとにあった」と考えるとしたら。
「愛してる」を言わせなかったのは、無慈悲だからではなく、その言葉を聞いてしまったがさいご、もう、犯人はこの2人を殺せない。
だから、断じてそれを耳にする前に、とどめを差さなければならなかった。
*
そして、犯人がそういう性格の人物だとして、ループ記憶を持っているのだとしたら、とんでもないことになります。
こんなひどいことがあっていいものかとすら思う。
犯人は、ニューゲームが始まるたびに、最低13人を、自分の手で殺害しつづけなければならないのです。
2ゲームだったら26人。3ゲームめには39人。4ゲーム終了時には理論上、52人殺しの経験者ということになります。津山三十人殺しなんてメではない。
ループ記憶がなければ、13人で打ち止めだったのに、記憶があるとすれば、「人殺しの記憶と感触」が、どんどん加算されていく。
人間を1人殺す、ということにかかるエネルギーや意志の力は、ちょっと想像しただけでも、尋常じゃない。
恐怖にあげる悲鳴、苦痛にあげる怒号、なぜこんなことをするのかというなじり、殺さないでと訴える哀願、そのすべてを耳に入れたあげく、そのすべてをしりぞけなければならない意志。
痛みにのたうちまわる虫みたいな人の姿。どくどくと流れ出して服を真っ赤に染め上げる血。そのなまぐさい匂い。やがて動かなくなる人間。ガラス玉みたいになった目。そのようにしたのは自分の手だという愕然。
さっきまで生きていた、まだなまあたたかい死体をかつぐ。運ぶ。隠蔽する。顔を耕す。裂ける皮膚の感触。露出する赤くて生々しい筋肉繊維。
腹を割く。臓物がおどりでる。思わず吐きそうになる臓物臭。そこにお菓子を詰める。手がドロ色の体液まみれになる。臓物臭・お菓子・臓物臭・お菓子。
そんなのが1ゲームあたり13回。
次のゲームが始まれば、また13回。
それで決着がつかなければ、さらに13回。
こんな経験は1回でじゅうぶんだ! もうたくさんだ。
もううんざりだ。もうしたくない。そろそろ勘弁してくれ。
しかし戦人は勘弁しない。ニヤリと笑って指をさし、「ベアトリーチェ、もう1ゲームだ!」。
だとしたら、いったい、ゲーム感覚で「もう1ゲームだ!」と言っているのは、どちらなんだろう。人の死というものに鈍感なのは、どっちなんだ?
そんな迷宮が発生してしまいました。
だから、ベアトリーチェの、こんな発言につながるのではないのか。
「もう妾の負けでいいではないか……」
「……殺して」
「もう死なせて……」
エピソードが進むにつれて、とくに3とか4で顕著ですが、「残酷度」がどんどん下がっていきます。
1や2の残酷さが、「魔女を意識させる」ためなのか、「ラムダデルタに面白いからそうしろと強要された」のかわかりませんが、後半になるに従って、それができなくなってくる。心がすりきれて、とてもそんなことまでできない精神状態になってきている。
そう考えると、説明できるのです。
*
ということは。
ep1の「????」で、ベルンカステルが語りかけている謎の相手。
画面のむこうからこっちに向けて、いろいろ同情っぽいことをおっしゃってくれますね。
あれって、「戦人」や「プレイヤー」に向けたものではなく、「13人も殺したあまりのショックに膝をかかえている犯人の心」に語りかけたものである、そういう可能性が出てきますね。
「あなたは、ラムダの世界に囚われていたころの私にそっくりなの」
なんてことを言いつつ、しかし、「あなた」の境遇は自分のよりずっとひどい、なんてことを言う。そして、
「こんな末路を百回もやられたら、百年を待たずして心が殺されてしまうわ」
……それは確かにそうなるだろう、ということが、より深く納得できる気がするのです。
ひぐらしの梨花は、ただ自分が殺されるだけだった。けれど「うみねこ」の犯人は、自分で13人を殺し続けなければいけないのです。
さらに論を進めるのなら、おそらく、「13人を自ら手に掛けたあと、自殺しなければならない」。(このへん以前別の書き込みで考察しました)
これは確実に梨花よりひどい……。
そして、もうひとつ考えられること。
小冊子「ラムダデルタ卿による回想記」というものがあります。
これに、
「私は神になりたいから、私の努力が、絶対に叶うという保証を下さい」
と言い出す「少女」のエピソードが出てきます。
この「少女」、ふつうに考えれば鷹野三四です。そう思ってました。
でも実は、そう思わせるトリックであって、この「少女」って古手梨花のことなんじゃないの? という可能性が出てきました。
「ラムダデルタ卿による回想記」の後半に出てくる、「自分を魔女にして下さい」と言い出したのは、今回の「うみねこ」の犯人でいいと思います。
その願いをラムダデルタが叶えた結果、ベアトリーチェという「魔女」が生まれているわけです。
ここでの「魔女」は、ラムダデルタやベルンカステルを「魔女」と呼ぶときの「魔女」です。赤字で喋るドレスベアトリーチェのことだと思って下さい。
つまりですね。
●「うみねこ」の魔女誕生
「ラムダデルタ」が、「犯人」の「願いを叶えた」結果、「ベアトリーチェ」が生まれる。
こういうことですよね?
で。
ベルンカステルは、ep1で、「ひぐらし」の事件のことを匂わせたうえで、
「私はそこから生まれた魔女」
だと言っています。
ってことは、
●「ひぐらし」の魔女誕生
「ラムダデルタ」が、「誰か」の「願いを叶えた」結果、「ベルンカステル」が生まれる。
という等式は、かなり想定してもいいんじゃないだろうか。
だとしたら、この式の「誰か」は、古手梨花です。他は考えられない。
そう考えると、
「何回でも、最初からニューゲームを始められる」というベルンカステルの力、あるいは古手梨花の特殊能力は、言い方を変えれば、「努力が絶対に叶うという保証」であるといっても、そうおかしくないんです。
私は東方のSTGを、イージーモードでしかクリアできませんけど、「絶対クリアしてやる!」と決意したなら、たぶん、何年後かにはルナティックをノーミスクリアできると思いますよ。
でもそれは、何回もニューゲームを始めて反復練習できるからで。1回しかプレイできないという条件だったらまず絶対無理です。
つまり、何回でもニューゲームを始めて良いという能力があって、それを使って努力したら、「ルナティックをノーミスクリア」という目標は「絶対に叶う」と、ほぼ断言できます。
ならば、ラムダとベルンの関係は以下のようになりますね。
・ラムダデルタは、気に入った人間の願いを叶えるかわりに、その人間をゲーム盤に閉じこめていじめる、という遊びをしている。
・ひぐらしのときには、梨花を閉じこめていじめて遊んでいた。
・ところが梨花はこのゲーム盤の勝利条件を満たすことに成功。ゲーム盤を引き裂いて外に飛び出してきた。
・自由になった梨花は、ラムダの与えた能力はそのまま持っており、事実上ラムダより強くなってしまった。
・ラムダとしてはシャクにさわる。だからなんとかしてもう一回閉じこめてやりたい。
だとしたら。
「このゲーム盤に勝利しなければならない」のは、「戦人」ではなく、「犯人」です。
犯人はなんとかして、自分の勝利条件を探し出して、それを満たし、
囚われの身から、自分を解放しなければならない。
ループ記憶説を採用するなら。
このゲーム盤の勝利条件は、「戦人が生還する」ことではなく。
「犯人が、二度と殺人を犯さなくていい、自分も死なないでいい」という結末を見つけること。
そういうことになります。
意外な展開になってきませんか?
■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■
■関連記事
●ループ説・カケラ世界関連
「犯人」がループ存在だとしたら?
ループ犯人から見た「駒の動き」
カケラ世界1・ep1が最初に起こった
カケラ世界2・ep2~4を実在させる方法
カケラ世界3・上位戦人の正体
カケラ世界4・魔女の後見と、平行世界
カケラ世界5・すべてが正解になる
カケラ世界6・ラムダデルタの正体
カケラ世界補遺・神々のお人形遊びとTIPSの謎
「犯人」がループ存在だとしたら?
筆者-初出●Townmemory -(2009/05/31(Sun) 04:27:05)
http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25973&no=0 (ミラー)
[Ep4当時に執筆されました]
●再掲にあたっての筆者注
ひとつの発想からいくつかの疑問がラインでつながる、という典型的な推理の流れです。ゲーム盤の勝利条件がガラッとひっくり返ってしまいました。まさに「チェス盤を返す」……。
以下が本文です。
☆
みなさん、こんにちは。
今日も些細なことを書きに参りました。
ちょっとしたことに気付いたので、聞いてくださいな。
ひぐらしのネタバレをします。そしてネタバレ改行はしません。文字のドラッグ伏せもしませんので、よろしくお願いします。
ep2のTIPSで、譲治をExecute表示にすると、こんなコトが書いてあるんです。
「ひょっとしたら、彼らが第二の晩だったかもしれない」
冗談というか、推測っぽく書いてあるんですが、これって、本当にそうだったんじゃないか、というのが、今回の話の発端です。
「彼ら」と書いてあるのは、もちろん譲治と紗音のコンビのこと(でしょう)。
ep2では、「抉りて殺せ」シリーズとして殺された譲治と紗音。
でも、本来の計画では、「寄り添う2人」として殺されるはずだったんじゃないか。
その可能性はけっこう前から感じていたんですが、標的が変更された理由がうまく説明できないので、とりあえずほっておいたんです。
が、ある仮定を持ち出すことで、きれいに説明できることに気付きました。
*
で、唐突ですが、ループ記憶についての話から始めたいと思います。
公式掲示板の過去ログを読んでいて、どのスレッドだったか忘れたんですけど、
「ループ記憶を持ったキャラは今回いるのかいないのか」
という議論を見ました。
ループ記憶……。
「ひぐらし」の古手梨花が持っていた、あの特殊能力ですね。
前回のゲームの記憶と経験を持ったまま、次のゲームの「駒」として登場できる。
「前のゲームではこんなふうに殺されたから、今回はこういう行動を取れば殺されずにすむんじゃないか」
という発想ができる特権的なキャラクター。
前回の梨花ちゃまのようなキャラは、「うみねこ」にいるのか。いないのか。
私はその議論を見ながら、
「私は“いない”と思うね」
と考えていました。
留弗夫のループっぽい意味深なセリフは別の意味。紗音と嘉音のループ的発言は幻想シーン。そう見るのが妥当だな、という立場でした。
でも、仮に、
「もし、絶対“いる”と仮定するならば、いちばんループ記憶存在っぽいのは誰か」
と考えてみたら、ピーンと思いついて、いくつかの現象に、ぴったり当てはまった。ラインがつながった。
もし「うみねこ」にループ記憶キャラがいるとすれば、それは「犯人」で間違いない。
「犯人」がループ記憶を持つとしたら、
ep2の不審な殺し方や、
譲治に対しての
「ひょっとしたら、彼らが第二の晩だったかもしれない」
とかが、説明できてしまう。
さてご存じの通り、私は連続殺人の犯人を8割がた「朱志香」で見てますから、以後、だいたいそのイメージで書きます。
けど、べつに議論としては、朱志香じゃなくても全部成り立ちますから、お好きな犯人をイメージして読んでいただければ大丈夫です。
*
「犯人はループ存在」という立場から、「譲治は実は第二の晩で殺されるはずだった」を説明します。
犯人は「寄り添う2人」で譲治と紗音を殺すつもりだったが、事情があってそれができなくなり、代わりに朱志香と嘉音を殺すことにした。
その事情とはなんだろう。
譲治と紗音を第2の晩に殺すことで発生するのは、「嘉音反乱イベント」です。
犯人は、これを回避するために、「譲治と紗音を殺す」という計画を中止した。と考える。
この前提に立ったとき、
「犯人は、“紗音を先に殺すと嘉音反乱イベントが発生する”ことを知っていなければならない」
「何らかの事情で最初から知ってた」
と考えることもできます。
けど、
「ep1でそういうルールが判明したので、急遽、それを回避するために計画変更を余儀なくされた」
と考えるほうが、自然では?
つまり、犯人はループ記憶を持っており、ep1の経験をふまえて、紗音殺しを回避した。紗音殺しを回避した結果、紗音とコンビになる譲治も殺せないことになった。よって、本来は「譲治は実は第二の晩で殺されるはずだった」が、そうでないパターンが選ばれた。
嘉音は、ep1の反乱イベントで、「これは金蔵が決めたルールでも、魔女が決めたルールでもなく、ぼくが決めたルールだ」と言っています。
この発言を採用するなら、嘉音反乱イベントは、「魔女側も知らなかった隠しイベント」である可能性がある。
もし、そうだとするなら、
犯人はep2の段階で嘉音反乱イベントの存在を知っていたのだから、
・犯人はループ記憶を持っている。
・ゲームは順番通りep1→ep2の順に発生した。
この二つは確実に言えることになります。
ついでに、不確定ながら、蓋然的にこれもキメウチしてしまいましょう。
・ep1が、犯人にとっても、最初に経験したゲームである。
この仮定をすると、ep2に残っていた謎はいっきに解けてくる。
一個、謎を残したまま放置してたんです。
駒の動きその5・盤面(II)
「ep2の厨房。5人の使用人のうち、犯人が南條と熊沢だけを殺した(他は殺さなかった)理由とは?」
その理由とは、「紗音を殺したくなかった」。
より正確には、「譲治が生きていて紗音が死ぬ、という状況をつくりたくなかった」。
ループ記憶を仮定するなら、こんな想像ができます。
犯人は、ep1で、「紗音を亡くして悲痛と絶望のうちに追いやられた譲治」の姿を、見ています。
犯人はそれが、いたたまれなかった。
そのいたたまれなさは、2ndゲームでも、なまなましく残ってる。
ep2、あの時点では譲治はまだ客間にいます。
ということは、この時点で使用人5人を皆殺しにした場合、もう一度、譲治が泣き叫び、怒り狂い、すべての希望を失う姿を見なければならなくなります。
それを、見たくなかった。二度と見たくない。
だから、殺そうとしたけど、殺せない。
ep1で、「金蔵」の死を、中盤で公開してしまった理由も、たぶん同じではないでしょうか。
金蔵の死は、公開しないほうが犯人には断然有利なのです。生存者が常に、「金蔵犯人説」をうたぐってくれますからね。
でも、公開せざるをえなかった。
その理由は、「紗音を亡くして悲痛と絶望のうちに追いやられた譲治」がかわいそうで、あまりにも痛々しくて、彼を殺すことなんて無理になってしまったからではないでしょうか。
「金蔵を殺さない(死を発覚させない)」という選択肢を選んだ場合、犯人は消去法で、譲治を殺すしかないのです。本来ならその計画だった。でも、感情的にそれができなくなってしまった。
こうした推測をOKとするなら、犯人は、愛とか同情にあふれた、とても人間的な人物、というプロファイリングになってしまいます。
いいのか?
いいんだと思います。
夏妃の部屋で、犯人は譲治と紗音を襲い、とどめを差します。
殺すんなら、この2人は同時に殺すしかない。そうでなければ、残された一方を犯人は殺せなくなってしまうから。
そして譲治と紗音の最期のシーン。死を覚悟して、紗音は、最期の言葉として譲治に「愛してる」と言ってもらおうとします。
譲治は言おうとします。
犯人は言いおわらないうちに、まるで「言わせない」とでもいうかのように、譲治を殺害します。
まるで、「おまえたちの最期の望みなんて叶えさせねえよ、あっはっは!」という無慈悲と残酷の表現のように見えます。
もちろん、魔法が出てくるところですから、幻想シーンとして考慮外に置いてもいい。
けれど、「それに類する展開がほんとにあった」と考えるとしたら。
「愛してる」を言わせなかったのは、無慈悲だからではなく、その言葉を聞いてしまったがさいご、もう、犯人はこの2人を殺せない。
だから、断じてそれを耳にする前に、とどめを差さなければならなかった。
*
そして、犯人がそういう性格の人物だとして、ループ記憶を持っているのだとしたら、とんでもないことになります。
こんなひどいことがあっていいものかとすら思う。
犯人は、ニューゲームが始まるたびに、最低13人を、自分の手で殺害しつづけなければならないのです。
2ゲームだったら26人。3ゲームめには39人。4ゲーム終了時には理論上、52人殺しの経験者ということになります。津山三十人殺しなんてメではない。
ループ記憶がなければ、13人で打ち止めだったのに、記憶があるとすれば、「人殺しの記憶と感触」が、どんどん加算されていく。
人間を1人殺す、ということにかかるエネルギーや意志の力は、ちょっと想像しただけでも、尋常じゃない。
恐怖にあげる悲鳴、苦痛にあげる怒号、なぜこんなことをするのかというなじり、殺さないでと訴える哀願、そのすべてを耳に入れたあげく、そのすべてをしりぞけなければならない意志。
痛みにのたうちまわる虫みたいな人の姿。どくどくと流れ出して服を真っ赤に染め上げる血。そのなまぐさい匂い。やがて動かなくなる人間。ガラス玉みたいになった目。そのようにしたのは自分の手だという愕然。
さっきまで生きていた、まだなまあたたかい死体をかつぐ。運ぶ。隠蔽する。顔を耕す。裂ける皮膚の感触。露出する赤くて生々しい筋肉繊維。
腹を割く。臓物がおどりでる。思わず吐きそうになる臓物臭。そこにお菓子を詰める。手がドロ色の体液まみれになる。臓物臭・お菓子・臓物臭・お菓子。
そんなのが1ゲームあたり13回。
次のゲームが始まれば、また13回。
それで決着がつかなければ、さらに13回。
こんな経験は1回でじゅうぶんだ! もうたくさんだ。
もううんざりだ。もうしたくない。そろそろ勘弁してくれ。
しかし戦人は勘弁しない。ニヤリと笑って指をさし、「ベアトリーチェ、もう1ゲームだ!」。
だとしたら、いったい、ゲーム感覚で「もう1ゲームだ!」と言っているのは、どちらなんだろう。人の死というものに鈍感なのは、どっちなんだ?
そんな迷宮が発生してしまいました。
だから、ベアトリーチェの、こんな発言につながるのではないのか。
「もう妾の負けでいいではないか……」
「……殺して」
「もう死なせて……」
エピソードが進むにつれて、とくに3とか4で顕著ですが、「残酷度」がどんどん下がっていきます。
1や2の残酷さが、「魔女を意識させる」ためなのか、「ラムダデルタに面白いからそうしろと強要された」のかわかりませんが、後半になるに従って、それができなくなってくる。心がすりきれて、とてもそんなことまでできない精神状態になってきている。
そう考えると、説明できるのです。
*
ということは。
ep1の「????」で、ベルンカステルが語りかけている謎の相手。
画面のむこうからこっちに向けて、いろいろ同情っぽいことをおっしゃってくれますね。
あれって、「戦人」や「プレイヤー」に向けたものではなく、「13人も殺したあまりのショックに膝をかかえている犯人の心」に語りかけたものである、そういう可能性が出てきますね。
「あなたは、ラムダの世界に囚われていたころの私にそっくりなの」
なんてことを言いつつ、しかし、「あなた」の境遇は自分のよりずっとひどい、なんてことを言う。そして、
「こんな末路を百回もやられたら、百年を待たずして心が殺されてしまうわ」
……それは確かにそうなるだろう、ということが、より深く納得できる気がするのです。
ひぐらしの梨花は、ただ自分が殺されるだけだった。けれど「うみねこ」の犯人は、自分で13人を殺し続けなければいけないのです。
さらに論を進めるのなら、おそらく、「13人を自ら手に掛けたあと、自殺しなければならない」。(このへん以前別の書き込みで考察しました)
これは確実に梨花よりひどい……。
そして、もうひとつ考えられること。
小冊子「ラムダデルタ卿による回想記」というものがあります。
これに、
「私は神になりたいから、私の努力が、絶対に叶うという保証を下さい」
と言い出す「少女」のエピソードが出てきます。
この「少女」、ふつうに考えれば鷹野三四です。そう思ってました。
でも実は、そう思わせるトリックであって、この「少女」って古手梨花のことなんじゃないの? という可能性が出てきました。
「ラムダデルタ卿による回想記」の後半に出てくる、「自分を魔女にして下さい」と言い出したのは、今回の「うみねこ」の犯人でいいと思います。
その願いをラムダデルタが叶えた結果、ベアトリーチェという「魔女」が生まれているわけです。
ここでの「魔女」は、ラムダデルタやベルンカステルを「魔女」と呼ぶときの「魔女」です。赤字で喋るドレスベアトリーチェのことだと思って下さい。
つまりですね。
●「うみねこ」の魔女誕生
「ラムダデルタ」が、「犯人」の「願いを叶えた」結果、「ベアトリーチェ」が生まれる。
こういうことですよね?
で。
ベルンカステルは、ep1で、「ひぐらし」の事件のことを匂わせたうえで、
「私はそこから生まれた魔女」
だと言っています。
ってことは、
●「ひぐらし」の魔女誕生
「ラムダデルタ」が、「誰か」の「願いを叶えた」結果、「ベルンカステル」が生まれる。
という等式は、かなり想定してもいいんじゃないだろうか。
だとしたら、この式の「誰か」は、古手梨花です。他は考えられない。
そう考えると、
「何回でも、最初からニューゲームを始められる」というベルンカステルの力、あるいは古手梨花の特殊能力は、言い方を変えれば、「努力が絶対に叶うという保証」であるといっても、そうおかしくないんです。
私は東方のSTGを、イージーモードでしかクリアできませんけど、「絶対クリアしてやる!」と決意したなら、たぶん、何年後かにはルナティックをノーミスクリアできると思いますよ。
でもそれは、何回もニューゲームを始めて反復練習できるからで。1回しかプレイできないという条件だったらまず絶対無理です。
つまり、何回でもニューゲームを始めて良いという能力があって、それを使って努力したら、「ルナティックをノーミスクリア」という目標は「絶対に叶う」と、ほぼ断言できます。
ならば、ラムダとベルンの関係は以下のようになりますね。
・ラムダデルタは、気に入った人間の願いを叶えるかわりに、その人間をゲーム盤に閉じこめていじめる、という遊びをしている。
・ひぐらしのときには、梨花を閉じこめていじめて遊んでいた。
・ところが梨花はこのゲーム盤の勝利条件を満たすことに成功。ゲーム盤を引き裂いて外に飛び出してきた。
・自由になった梨花は、ラムダの与えた能力はそのまま持っており、事実上ラムダより強くなってしまった。
・ラムダとしてはシャクにさわる。だからなんとかしてもう一回閉じこめてやりたい。
だとしたら。
「このゲーム盤に勝利しなければならない」のは、「戦人」ではなく、「犯人」です。
犯人はなんとかして、自分の勝利条件を探し出して、それを満たし、
囚われの身から、自分を解放しなければならない。
ループ記憶説を採用するなら。
このゲーム盤の勝利条件は、「戦人が生還する」ことではなく。
「犯人が、二度と殺人を犯さなくていい、自分も死なないでいい」という結末を見つけること。
そういうことになります。
意外な展開になってきませんか?
■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■
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●ループ説・カケラ世界関連
「犯人」がループ存在だとしたら?
ループ犯人から見た「駒の動き」
カケラ世界1・ep1が最初に起こった
カケラ世界2・ep2~4を実在させる方法
カケラ世界3・上位戦人の正体
カケラ世界4・魔女の後見と、平行世界
カケラ世界5・すべてが正解になる
カケラ世界6・ラムダデルタの正体
カケラ世界補遺・神々のお人形遊びとTIPSの謎
ただ、『この犯人=ループであり、ラムダによって魔女になった』部分にはすこし気になるところがありますね。
■2つの目的が 相反している?
仮説だと、ベアトは、ベルンと同じループ力を手に入れた。そして、ラムダからベルンと同じようなゲーム盤を与えられた。
1、魔女を信じ込ませるようにプレイするという仮?の勝利条件
2,誰も死なない結末を自分で作り出すという真?の勝利条件。とありますよね。
2を満たすなら、誰も殺さないでバルトへの信じさせ方を必死に考えるはずですし、1が仮だから、本当の勝利条件でないなら、バルトに構う必要がほとんどなくなるかと・・。
といったベアトの目的や、行動にいろいろ矛盾がでてきますよ。2つの勝利条件が、相反してるのが、原因かと。
1は、本編中で確定してるルールなので、ループでいくのなら2を、1と、ベアトの今までの振る舞いとすりあわせる必要がありますね。
とはいえ、以下の発言を考えると
・ベルンとラムダ曰く、ベアトは絶対に勝てないわ(ep4の????にて)
・ラムダ曰く、三人はジャンケンみたいなモノよ(ep1,2の????にて)
誰かのループ自体は有るのかもしれませんが、
=犯人=ベアトにはならないと思います。
また、1の勝利条件は戦人を対戦相手とみなしたとき。2の勝利条件はラムダデルタを対戦相手とみなしたときのものなので、ラムダが怖ければそもそもそうは差さない。それでもOKですね。
魔女同士の会話において、
・三人の能力が違うこと。『例えるなら、ジャンケンの ベルンはチョキ ベアトはグー ラムダはパーね。』
・ベアトは絶対に勝てないという発言があった
以上から、
・ループという能力はベルンと同一になるため、違うのではないかと
・ループだと正解に導けるかもしれないのに、二人から絶対に勝てないと宣言される理由がわからないということです。
よって、ループ説は、本編にそぐわない点があるという指摘です。
それが迷惑ということは、ありません。
ただ、自分好みの結論を、私の頭脳から引き出そうとなさっておられるな、という気配は感じますね。たぶんそういう意識はないのでしょうけれど。そこは疑問に思います。
現状、ループ説は、とくに本編と齟齬をきたしてはいないと考えています。
それを説明するのは簡単なんですが、ちょっとご自分で考えてみませんか。
あなたの考えの中で、どういう条件があるせいで、「そぐわな」くなっているのか。
どういう条件が加われば、「そぐう」ようになるのか。
その条件を存在させるには、どうしたらいいのか、です。
キーとしては「能力と制約の混同(分けて考える)」「同一人物なのか別人なのか」ですが、このキーを使わなくても解けるでしょう。
これが解けたら私の思考をトレースできたということ。前提と結論が与えられているのだから、どういう道を通ったらいいのかは分析できるはずです。仮説を精錬するためには必須の能力でしょう。
本編の内容と照らし合わせても、筋が通っている部分が多々あり、感動しました。
特にこのループ説は中世の魔女裁判のような、そんな気配がどことなく漂っているようにも感じました。
魔女は死ねば無罪。でも生きているから有罪。
裁判の方法が、つまりは親族を何度でも手に掛けなければならないということ。
ひぐらし の賽殺し編にて、梨花・ベルンカステルが絶望・魔女ベルンのように、心が欠けてしまうのも理解できます。
今回はそれよりも明らかに酷ですね……。
親族を殺しているのは犯人ですが、その人物の心を殺しているのは戦人の方ではないのかと……。
ある意味、それも戦人の罪ですね。
何を書いているのか混乱してきましたが、キト氏の説よりもTownmemory氏の説の方が、私は好きですね。
人の数だけ答えがある猫箱なのですから、キト氏が議論でTownmemory氏から同じ答えを引き出そうとしてもダメですよ。
自分の信じる答えこそ、この物語の真実です。
戦人の言葉を借りて言いますと”全然駄目”なのだと思いますよ。
与えられた問題文の情報で、導ける真実は1つである。だから、お互いが、お互いの説の検証をしあう(矛盾してないか指摘し合う)ことで、より1つの真実に近い仮説を作り上げられるのではないか。と思っていました。
だから、【お互いが、自分の仮説の気づきにくい点をお互いに、それぞれ指摘しあう方がいいだろう。】
これが、私の意図でした。しかし、そうですね、真実は1つという誤解に基づいていましたね。自分の信じる答えこそ・・・真実ですね。
例えるなら、
人々が自由に、チェスをしている中で、私はある人のチェスの1手を、隣から指摘し、こっちのがいい手だと思う。それについてどうですか? と勝手に割り込んだ無粋者でしたね。
そういう、あるのかさえわからない至高の1手を考えるチェスの楽しみ方をする人は少数ですよね。
第三者のReiさんから見ても、上の例のように見えていたようなので、恥ずかしい限りです。
ご指摘通り、『自分の中で』で、仮説を精錬する、その思考プロセスの練習をするようにします。それでは重複しますが、どうも有り難うございました。
上記の誤解に基づいた、以前のいくつかの書き込みの処遇についてです。
制作者の意図しない=本ページの利用目的にそぐわない書き込みの、数々を、そうすると行ってしまったことになります。運営上支障があるかと思いますので、その書き込みの扱いの判断は、(元よりそうですが・・)全てお任せします。
それでは、補足でした。
失礼いたします。
これだけの文章量、まとめて読んだら大変だったでしょう。お疲れさまです。ありがとうございます。
魔女裁判、いわれてみれば、そんな気配が感じられます。
あと、拷問というのは、相手が屈してくれないと、たちまち「する側」が拷問を受けているのと同じになってしまうのだなという感じもしました。
金蔵もたぶん、ベアトリーチェ(オリジナル)を閉じこめたあと、言うことを聞かせるためにいろいろなことをやらかしたと思うのですが、ベアトリーチェががんとして言うことをきかなかったがために、「おお、どうして私を受け入れてくれないのだ、よよよ」状態になってしまったのだなあという……それが、なんか、急に納得がいきました。
金蔵は強要してる側だったのに、いつのまにか哀れみを乞う側になっているという、そのことが腑に落ちた感じがしました。
●キトさんへ
至高の手というのは、ひとつしか存在しないものじゃないですよ。
十個とか、百個とか、千個とか、無限個の「至高の手」が、存在しています。
なぜなら、「何が至高であるか」を決めるのが、無数の人間のひとりひとりだからです。
でも、私がほんとにいいたいのは、それとは別のことです。
「至高」とか、そんなに重要ですか?
右代宮絵羽が我が子を愛するのは、譲治が「優れた人間だから」ですか?
夏妃や楼座は、自分の娘が、ちょっと自分の理想とほど遠いからといって、娘を守ることに手を抜いたと思いますか?
ちがうと思いますよ。
絵羽はもし、譲治の頭が悪くて性格が悪かったとしても、同じだけの愛をそそいでいたと思いますよ。
だって、彼女たちにとっては、どんな出来だったとしても、自分だけの息子や娘であるのだから。
それと同じで。
あなたが自分の頭脳で考えて出した仮説は、たとえ満足な仕上がりでなかったとしても、あなただけの大切なものではないですか。
それは、他人に考えさせた自分好みの結論、なんかよりも、ずっと貴重なあなただけの財産です。黄金があるとしたら、それが黄金です。それより貴重なものなんて思い当たらない。
あなた、これまでこの場で、いくつか有望なひらめきを出してきた。それを、どっかの鳥みたいに、別の鳥の巣にタマゴをうみつけて一緒に育てさせるような真似をしちゃ、せっかく生まれてきた発想がかわいそうだ。
自分の頭脳から生まれてきたものをもっと大事にしてあげてほしいです。お互いの子供のことを注意しあうなんて、そのずっと先のことです。
真実が1つ。至高が1つ。この認識は、『今回の誤り』にかぎったことではなく、どんな場合でも普遍的にそういうものである。と伝えたかったのだと、感じました。
つまり、【自分で考えること。それ自体がすばらしい。】ということですよね。考えたことを子供に例える表現からも、どれほどそう思っているか伝わってきました。
ただ・・・・・じゃあ今から、新しい行動に移せるかというと、そこまで簡単なものではないので、すこし時間はかかると思いますが、努力していきます。それでは。いろいろとお世話になりました。
それが存在するのなら犯人はどこへ向かっているのでしょうか?
ループ記憶が被害者側に存在するのなら「生還→ループの先へ」という目的がはっきりしますが、
加害者側にループ記憶が存在するのなら「皆殺し→ループ」という具合に先に進めないような気がするのですが
となると加害者側にはもっと他の目的があるのではないでしょうか?
わかりにくい日本語でごめんなさい。