目の前の席が空いて、そこに小さな男の子が座った。
小学校の4年くらい?塾の帰りなのかな。
色白だが頬はやわらかくて暖かそうで、なかなかの美形。
それに、いかにも賢そうな感じ。
このくらいの年齢で、もうかなり将来が見えるのか。
座るやいなや、体に比べてちょっと大きめなかばんに
頭を突っ込むようにして覗き込んで
漫画らしき本を取り出して
一心不乱に読みはじめた。
夢中になっているせいなのか、
口をパクパクと開いたり閉じたりしているのがかわいい。
疲れた顔の大人ばかりの電車の中で、
その子のところだけは、
新鮮な空気で満ちているようだった。
降りる駅に着いたら、その子も、
また、大きなかばんを覗き込んで、漫画をしっかりとしまい、
一緒にホームに降りて、そして、また、
一心不乱にホームの階段を駆け上がって、
こちらが登り終えたときには、
もうすっかり姿は見えなくなっていた。
駆けていった先では、きっと
優しそうなおかあさんの笑顔が待っているのだろう。
なんだか、久しぶりに、
とても気持ちの良いものを見た感じがした。
と同時に、こういうのが久しぶり、っていうのは
あまりいいことじゃないのかな、と思った。
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