桂枝雀の大好きな噺のひとつである「夏の医者」のマクラで,いろんな医者のことが出てくる。で,なぜ腕の悪い医者のことを「ヤブ医者」というか?
世の中に風邪が蔓延すると有名な先生は,混雑してなかなか診てもらうのは難しくなる。そこへいくと「腕の悪い医者」は空いている。で,「まあ風邪位でかかるぶんには,大丈夫だろうと,風邪くらいでかかる程度ならエライ目にあわされることもなかろう・・」と。風邪の時だけにかかる,風で動く,風で動くから薮,で,ヤブ医者だそうである。それでも「ヤブ医者」になったら立派なものだそうで,ヤブに育つ前はタケノコなので「タケノコ医者」,ヤブの下にあるのが「土手医者」。これからヤブの方へ飛んで向かおうとする「スズメ医者」,どんな症状にでも葛根湯しか出さない,「葛根湯医者」,何でもかんでも手遅れにする「手遅れじゃな医者」・・・いろいろあるものである。
今シーズンはインフルエンザなどで寝込んで2回も外来を休んでしまった。直後の外来で,何人かの患者さんから帰り間際に「先生,お大事時に・・・」なんて言われてしまう始末。「こんな自分のカゼも治せないヤブ医者に出してもらったクスリだと,効きそうにないですよね~」なんていうと,皆さん笑ってくれた。ま,ヤブの前のタケノコ医者くらいかな・・・・