無事終了いたしました。申し込みは北は北海道,南は沖縄から総勢80人超でどうなるかと思いました。参加実数も最大65名でしたが,何とかこなすことができました。参加された皆様には感謝申し上げます。
今回も技術的には途中でトラブルがあり反省するところも多々ありますが,内容的には本当に素晴らしいものでした。
まず17時からのカンファレンスに先立ち16時からZoomを立ち上げて,早めに入室して下さった方々とお話をする時間を持ちました。好き嫌いはあるかもしれませんが,まったく知らない間柄で匿名でのやり取りをするのが自分としては嫌なので,これは良かったと思っています。
1例目は,東邦大学総合診療科から当院に研修に来てくださっている繁田知之先生が「77歳女性の繰り返す頭痛,発熱」を提示してくれました。当初疑いはあっても確定できず,経時的に見て診断確定した再発性多発軟骨炎の症例でした。チャットを通じていろんなコメントがあり,それを拾っては私から直接コメントをお願いするという形でやってみましたが,意外に良かったと思います。(何度も振った学生さん,ゴメンナサイ)
小ネタ枠は,今回目玉の「大ネタ」でした。当院OBで現在は三井記念病院総合内科・膠原病リウマチ内科の増田卓也先生による『東洋医学の身体診察 「顔面気色診」「背候診」「原穴診」編』でした。
前半で,増田先生が東洋医学の身体診察(体表観察)についての概論,後半は増田先生が現在学んでいる鍼灸師(清明院院長)の竹下有先生による身体診察の紹介でした。増田先生をモデルにして一連の東洋医学的な診察をデモした動画だったのですが,これは圧巻でした。これまで興味があっても触れる機会がなかった東洋医学的な診察法を,直接目の当たりにして大変感銘を受けました。とても生半可な知識ではできないということもよく分かりました。まさに新しい世界を知った思いがします。流れるような熟練の診察術というのは,東洋西洋を問わず見ていて美しいと感じました。質疑応答のコーナーでは,問診である程度推論を立てておき,診察でそれを確認するというのは,和洋問わず同じだということにも感動しました。これを機会に竹下先生にも教えを乞う機会があればいいなと思いました。
2例目は松波総合病院総合内科の傍島卓也先生による「27歳女性 嘔吐」の提示でした。最終診断は「視神経脊髄炎および最後野症候群 Area postrema syndromeによる難治性嘔吐」 でしたが,私はまったく見当がつきませんでした(そもそもこの疾患概念を知りませんでした)。チャットで複数の参加者の皆さんが鑑別診断として挙げておられたのはさすがだと思いました。ただ何より感動したのは,傍島先生の診断にいたるまでの過程でした。先生もこの疾患についての知識は当初なかったそうです。しかし「頑固な嘔吐」の原因を解剖学的,病態生理的に絞り込んでゆき,病変の位置は延髄にあると当たりをつけ,最終的には文献的にたどりついたという論理的なアプローチは見事でした。内科医としてあるべき考え方のまさに「王道・ど真ん中」で感動を覚えました。一発診断は一見カッコいいけど,知らなくてもこのように理詰めで診断に迫ることこそ重要なのだと,改めて反省させられました。いやあ世の中には人知れず(実はすでに有名なのかもしれませんが)凄い先生がおられるものだと思いました。久々に大船GIMで「超新星」登場!!という感じで,今回の出会いに感謝です。
大船GIMもオンラインで3回目となり,少し慣れてきた部分とうまく行かない部分と半々でしょうか。通常であれば年間計画で日程を決めているのですが,今年はまだ決めておりません。例年だと8月後半ですが決まり次第またアナウンスさせていただきます。