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ケーブル会社とテレビ局

2010-11-01 12:19:00 | 日記
先月の半ばからケーブルビジョンというニューヨーク地区のケーブルテレビサービスからとフォックス局の番組が消えた。
要するに、放映権料の交渉がまとまらなかったと言うことだ。
利用者を人質に取った交渉戦術には批判も多いが、時々起こることだ。

最近では、シティバレエのオーケストラがストに入り、生演奏でなく録音で毎年恒例のくるみ割り人形を上演していたことを思い出す。
ブロードウェイでのストもまだ記憶に新しい。

今回の騒動が異質なのは、両社とも評判のよろしくない会社で、争い方が醜いこと。
まず、ケーブルビジョンはすべての業種をあわせても顧客サービスが最悪の会社といえる。
ニューヨーク近辺の多くの人が同意すると思う。
些細なことでは、顧客係に連絡する際は有料通話でなおかつ60秒ほどの宣伝を聞いた後でなければつながらない。
顧客に電話料金を払わせておいてCMを聞かせるという発想がすでに常識からかけ離れている。

サービスを頼むと、予約の仕方が特定の日の午前中か午後という枠の取り方になる。
午後のサービスを取ったとき、午後1時から5時まで待って誰も来ないので午後4時55分に電話すると(もちろんCMを聞くことになる)、まだ5分ありますからと言って取り合わない。
午後5時を過ぎると今度は連絡が付かなくなるという始末。
こういうすっぽかしを3回続けてくらうと、この会社の倫理はどうなっているのかと疑問に思う。

この状態はケーブル配信は1地区1社という仕組みからくる無競争のたまものだ。
どんなに不満でも他に選択肢がないのだから仕方がない。
それを良いことに、劣悪なサービスを提供し続けているケーブルビジョンは評判が悪くて当然だ。

フォックスの方は極右の論客を多く抱えているテレビ局で、番組の中でもそれが反映されている。
例えば人気番組だった「24」で活躍するジャック・バウアーは究極の "Utilitarian" である。
全体の利益のためには、個人の人権など存在しないというものだ。

さて今回は、結局フォックスの全面勝利に終わったが、ケーブルビジョンの争いぶりは見ていて情けなくなった。
まず、フォックスが10月16日に番組を引き上げると、やり方が不公正だとキャンペーンを張り、FCCに仲介しろと訴えた。
実際、FCCにはそんな権利がないにもか関わらずである。
次に、争っている間はテレビ番組を提供させ続けるようにと議会に訴えた。
もちろんそんなことが出来るはずもなく、何も起こらない。
そこで、今度は自社の新聞 News Day で、フォックスの番組を海賊版配信しているウェブサイトの紹介をするという有様。
特に最後のあがきでは、こういうサイトは違法ですと言いつつアクセスの仕方を公表している。
その要旨はケーブルビジョンで見られなくなった番組を視聴者がどうやって楽しんでいるかという記事だ。
しかも合法的な、衛星配信会社へのスイッチや有料サイトの紹介という選択肢には全く触れていない。
倫理上の問題は別として、この記事自体の合法性に疑問が残る。

論点はただひとつ。
フォックスは数曲をパッケージで販売している。
ケーブルビジョンはばら売りを要求した。

値段についてフォックスの主張は、他の配信会社と同じ値段だという。
ケーブルビジョンは。ABCやNBC等、他のテレビ局に比べて値段が高すぎるという。
両方とも事実である。
7局まとめ売りだから2局ばら売りよりは高い。
ケーブルビジョンは2局だけが欲しいのだから、パッケージ価格を2局分についてのみ計算するから割高だと主張する。

この交渉はどこで主張額石賀っているかがはっきりしているが特に不公正な交渉とも思えない。
ともかく、ケーブルビジョン側が折れて、番組配信が再開された。

ケーブルビジョンが発表してコメントから引用
"In the absence of any meaningful action from the FCC, Cablevision has agreed to pay Fox an unfair price for multiple channels of its programming, including many in which our customers have little or no interest,"
「FCCが何もしてくれないからケーブルビジョンはフォックスに対して法外な放映権料を支払うことに同意せざるを得なかった。その値段の中には、視聴者が興味を持っていない番組も含まれており不本意だ。」