天皇陛下のご幼少の頃、書道をお教えなさったのが桑原翆邦先生でした。その門下である友人の内田藍亭(らんてい)先生に、以前「夢」と言う字を揮毫していただき、今回は「初夢」を気楽にお願いしてしました。
元日の夜すなわち1月1日〜2日にかけて見る夢を初夢とするのが一般的のようですが、私は過去においても、初夢は覚えていません。今年こそ良い夢を見たいものです。
すると、お送りいただいたのは「漢字5書体」加工紙・大色紙サイズです。
届いたものを開封しましたら、ご丁寧に各書体の説明文も同封されていました。
しかも5書体もです。
使用された文房四寶です。お使いになった、筆・墨・硯・紙のことです。
○筆:「靜藍古法・中」清秘蔵製
○墨:「出藍・固形5丁型」古梅園製
○硯:「坑仔巖・6吋」
○紙:「加工紙・大色紙サイズ」
「初 夢」
篆書体(金文・きんぶん)
〇篆書体(金文・きんぶん)。
約2500年前?の書体です。殷の国が滅び、周の国の時代になると、人々の活躍をたたえた内容を青銅器に鋳込んだり刻んだりするようになりました。金属に鋳込まれたり刻まれた文字を「金文」といいます。
隷書体(れいしょ)
〇隷書体(れいしょ)は約2000年前の書体です。
漢という国が中国を支配するようになると、物事を細かくきちんと記録することが必要になってきました。文字を毎日書かなければならない役人にとっては「篆書」は複雑で実用的ではなかったので、簡略化して書きやすい書体が考案されました。更に、立碑が盛んになり石碑用の銘石体としても実用化が進みます。それが「隷書」です。
草書体(そうしょ)
〇草書体(そうしょ)約2200年前(諸説あり)。
草書の発生もかなり早く、篆書、隷書の簡略から生まれた書体です。草書は文字としてのわかりやすさよりも、「書く速さ」を優先した実用性を追求した字体です。崩し方には王羲之を中心とした法則があり、バランスや筆づかいが大切な要素になっているため「芸術性」が認められることも多くあります。多くはこの草書を好まれ、飾っている方々も多いのでしょう。
行書体(ぎょうしょ)
〇行書体(ぎょうしょ)の発生も紀元を遡ります。行書は、草書をもう少し整えて書いた書体です。
楷書体(かいしょ)
〇楷書体(かいしょ)は読みやすく、正確に伝わる字体のため「楷書ではっきりとお書きください」という注意書きをよく見かけます。篆・隷書から草・行書、更に楷書へと変遷していきますが、唐の時代に完成した書体です。はっきりと整理された点画の表現や折れ曲がり方が特徴です。現在では、この楷書がもっとも広く流通している書体です。
更に楷書へと変遷していきますが、唐の時代に完成した書体です。はっきりと整理された点画の表現や折れ曲がり方が特徴です。現在では、この楷書がもっとも広く流通している書体です。
また、内田藍亭著の「古典にみる臨書研究(中国編)」発行所 東都考古社の図書もいただきました。
本書は大学で学ぶ、臨書の意味や方法など学書として作成されたものですが、「あとがき」には「筆の動き」(リズムや抑揚など)も古典から汲み取る必要があるとしています。
これらの説明は、昼飲みしながらお聞きしたものです。
身の周りは、拙ブログも含めてデジタル環境に囲まれています。忙しい世の中、あえて心を落ち着かせて、墨を擦り白い紙に筆で無限大に広がる書の世界観を感じるのも良い機会かと思いました。
yuki76
先生のプロフィール
内田藍亭(らんてい)uchida rantei (本名 征志)
1971年生まれ。富山県出身。 静藍社 主宰
武蔵野美術大学大学院特別指導講師
二松學舎大学文学部講師
三越カルチャーサロン講師
書宗院参与理事
全日本書芸文化院運営総務
墨華書道研究会同人
その他 著書多数
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