一句鑑賞

匠と言うのでしょう。母の三味線を今夜出してみた。

棹にふれた瞬間の冷たく滑る指先の感覚に思わず指を離した。

ケースの中に本体だけではなくて縮緬で誂えた布で包まれております、三味の胴から糸巻きのあるヘッド(ギター用語?)まで形に合わせたものです。なんて言うんでしょうね・・・その縮緬がまた素晴らしい、たぶん戦前、池袋にいたころのものでしょう。若々しい生地です。

三絃を作る職人さん、皮を張る職人さん、また縮緬で三絃を包むような布カバー・・・ため息。

棹は黒檀だと思います、絃を受ける鼈甲の細工も繊細なものです。見ただけで震えがきます・・・

琴屋さんに持っていこうと検めているのですが、何十年と弾きこんできた母の命を感じて直ぐにケースに戻しました・・・断捨離なんてできません。

邦楽の世界では三絃といいますが、中棹の名品でしょう・・・一番弾きこんでいたものは皮が破れていますので張り替えの予定。弟が欲しがっております。彼は六段を三絃で暗譜で習っていて、母の琴と合わせたカセットテープが残っております。一周忌法要の時にテープを渡したら感激してました。

今夜、三弦のケースを開けただけでいろんなことが脳裏に去来します。

ケースのほかに撥のケースもありまして、たぶん象牙だなと思うものもありますが、専門家に見て頂こうと・・・

あぁ、ため息しか出ません。断捨離、進みません(-_-;)

「糸はね、人差し指の爪の先でねこう押さえて・・・」

などと母の話したことも思い出してしまいます。

 

三絃に下がる糸ありさみだるる

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