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馬花 116 ゲートボール 老年1組

2024-11-14 01:24:00 | HAMIRU



よっし!

4番ゲート通過!



「どうだ、えっちゃん」



「まあ、ね。たまたまでしょ」

「また、そんなこと言って!」

「私の方が上手」

「なんで素直に褒めれないんだ!いつも」

「だってこの前の試合だって'みき'のミスで負けたでしょう」

「今、いい打撃したんだから。ほら、ナイス打撃とか言ったっていいじゃないか!」

「ナイス打撃って、ジジくさい」

「クソ!45年連れ添って、それか!」

「あゝ、よく45年も続いたわ」

「こっちのセリフだ!」



「おやおや、また"つえとみき"が喧嘩してるじゃない」

「つえーみきー、喧嘩はやめときんしゃい!」


'みき'がウタとハタに気付いて手招きする


"つえとみき"

"ウタとハタ"


この4人はゲートボールチームの仲間だ

2組の夫婦


「ねぇ、ウタ。'みき'ったらいい打撃した時だけ、褒めろみたいなこと言うのよ」

「あら、めんどくさい」

「そうでしょ」

おばあさま2人の本日最初の会話

「おい、俺に聞こえてるぞ!」

「アッハッハ!」

ハタが大きな声で笑う


「"つえとみき"はいつも喧嘩してるのう」

「ねぇ、ウタとハタはなんでそんなに仲がいいの?」

「かあちゃんのおかげじゃよ、いつもニコニコ笑ってくれてるからじゃ」



「私がブスってしてるみたいじゃない」



「そんなこと言ってねぇべ。のう、かあちゃん」

「'つえ'は素直じゃないだけよ。私は'つえ'の良いところ、いーっぱい知ってるわ」

'みき'が口を挟む

「72にもなって素直じゃないって、困ったもんだな」

「'みき'のせいでしょう」

「なに!」


「はいはい、喧嘩は終わりよ」


ウタが場を収めた



喧嘩の絶えない老年2人と



仲良しの老年2人


FRIENDS


「さあ、練習練習!」


4人は来年3月に予定されているゲートボール大会に向けて定期的に練習をしている

ゲートボールは5人で1チームを編成する

もう1人メンバーがいるが、今日は来ていない


ショット!


「はあはあ、ごめんなさい、ちょっと休むわ」

「かあちゃん、大丈夫け」

ハタが心配そうにウタに声を掛ける

「年だね、疲れやすい」

「かあちゃん」

'つえ'が近寄る

「ウタ大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫。ちょっと休めば大丈夫だから」

'みき'も寄ってきて四角形の輪を描く


「検査しような、かあちゃん」

「大丈夫だよ、大袈裟だよ。お父さん」

「検査するのかい?ウタ」

「一応だよ、先生が勧めるから。お父さんが勝手にお願いしますって言うものだから」

「かあちゃん、だって心配だべ」

「あそこか?ハミルクリニック」

「そうだべ、俺も背中のしこり取ってもらうんだ」

「俺と'つえ'も掛かってるぞ」


4人ともハミルクリニックの患者だった


ウタがいつもの微笑みを浮かべる

「嫌だね、私たちは病院ばかりだね」

'みき'が肩を落とす

「糖尿だよ、俺は」

ハタは悲しそうな面持ちだ

「死んだらいかんぞう。誰も逝ったら、ワシが許さんぞぉ」

'つえ'

「死ぬんだよ、みんな・・・私たちは、すぐだよ」





「おもしろい看護師さんいるべ」

「あはは、ファイトちゃん」

「なんか不思議な子だな」

「あの子に会いたくなるのよね」


うん





熟練看護師のアユミが一度サロコの声を制御しようとしたことがある

通常病院は静かな空間であることが望ましし、患者によっては負担が掛かるかもしれない

アユミがサロコの「ファイト」を抑えるように進言をしようとした時、


患者が笑ってたんだ


クリニックでやたらファイト!を繰り返す新人看護師


半ば患者も呆れてるのかもしれない、失笑かもしれないし。


でも、笑ってるんだよ


-アユミは忠告をやめた-


病院でみんなが笑えたら、



美しいでしよ


咲けよ、

サロコ

なあ、365

咲かせろよ、



馬花




ゲートボールチーム

ありがとう。

 

 

 



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