ハミルSTORY

映画ノート・お絵描き・お話し

馬花 91 灰色の雲

2024-08-31 21:20:00 | HAMIRU
「先生さようなら」
「みなさんさようなら」

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「ウサポ行くよ!」

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「ポっ!」

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放課後

3年生のアユラとウサポは4年生のユーリに会いに行く
無論ウサポの目的はユーリをミコルENへ連れ帰ることだ
アユラはウサポの狙いは存ぜぬが、少女ながら、
ただウサポのユーリに会いたいという要望に応えた

下駄箱で上履きがスニーカーに変わり、左手にグラウンドを感じる

「ユーリ!」
「アユラ!」
「ちょっと待って!」
「はいはい」
「ウサポ!ユーリだよ」
「ぴょんぴょん」

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アユラはユーリの隣に立つ
2人の年は一つ違いだが、上下関係はなくBABYの頃からの誼は尊く姉妹の様な間柄だ

アユラが響く
「ウサポ!早く!」
ウサポは四つ脚の動きが乱れている
「ぜいぜい」
「なんでウサギが遅いのよ!」
「持久力ないの」
「亀に負けちゃうよ!」
「それは言わないでポ」

ようやくたどり着いた兎をユーリは物珍しそうに見つめた

「ウサギじゃん」
ユーリはこの上なく的確な言葉を差した

「ユーリ今日からクラスメイトのウサポ」
アユラは両名とも知り合いであるという優位性がもたらす"得意気"を徐にしてウサポとユーリの間を取り持った
「ゼイゼイ、ウサポだよ。ユーリちゃん」
「う、うん。ウサポよろしく」
「うん宜しくポ。」
親睦の門出のシルシとして耳を畳んで挨拶をするウサポ。人のお辞儀と同種の礼儀だ

「ウサポがユーリに会いたいって言うからね」
「そうなの?」
「うん、そうなの。ユーリちゃんは幸せ?」
「えっ」
ユーリは少し訝しげな表情を見せて、頬の赤みを少し醒ました
「なんでそんなこと聞くのよ」
「ユーリは幸せに決まってんじゃん。妹のユリリもいるんだよ!」
アユラは口を挟まずにはいられない。女の子だった
「ううん、ちょっとね。ごめんポ」
右耳を畳む
「うん」
少し顔つきが歪むユーリ
呼応して6月の曇天が深さを増して、ユーリの代わりに涙を溢す準備を始めた

「幸せって言えば幸せだけど」
「なんでよユーリ、幸せだよ。私たちは。そうでしょユーリ」
「アユラは'パパ'がいるし」
「えっ、ユーリだってユリリいるじゃん」
「うん。そうだよ。ユリリはもちろんメッチャ大好きだし。でも・・・・」

ユーリは親を知らない。
生まれた時点でハミルENに置かれた。
母のミコルは、父のユメシャがオーナーのハミルENに娘を託したカラダ。

誰一人として仲間が存在しない男に、唯一の光でその存在を照らすことを、思った。
想ってしまった。

そして父のユメシャもまた、ユーリが自身の娘であるという事実は打ち明けられていないから。
それどころか、あの酔い潰れた「交番での再会」以降は連絡は途絶えているから。

夢者は己の娘がこの世界に存在していること、すら知らない。オレハヒトリダ

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(
パパ?ママ?
わたしは生まれてからこのことばを言ったことがありません。
みんなにとっては当然のように口を突くそのことばをわたしは言ったことがないのです。

だって、ね
いったところでそこに投影される姿は影でしかないのですから

あこがれのことば

・・・・

ぱまぱま

これだけは、赦してください
)

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ウサポの左耳に一筋の水滴が落ちた
不意の冷たさは二本の前脚を大地から引き離した
ぴょん
跳ねた体躯が反射的に言葉を飛び出させた

「ねぇ、2人とも。
ウチに遊びに来ない、ポ?」

曇天の雲は一滴のみ降らせて
そこから先は

泣かなかった

馬花 90 安寧秩序

2024-08-28 23:36:00 | HAMIRU

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「はい、保安の授業始めるわよ」

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保安官 SHERIFF

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H小学校では保安の授業を取り入れている。
その文字の通り安全を保つことを示す言葉だ。
亜米利加においては保安官が民の安心を保つ職として勇躍している。
WALKING DEADの元保安官の彼は、人とゾンビの狭間で安寧を獲得するために躍動した。

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日本においては「保安」とは日常の中で口にすることはさほど多くないのではなかろうか。
しかし子供達にとっては、防犯ブザーの携帯や親御によるGPSでの位置管理などは紛れもない保安である。

或いは財産や金銭の管理などにおいても保安として定義されており、この資本主義の浮世にあたっては財産を保持する能力も当然、保安である。

実は親は子に小遣いを与えるが、銀行や証券などの知識は子供には伝えぬことが概ね普通だ。
自ら進んで知識を蓄える意志のある才子は良いが、気づいたら世の仕組みや金銭の流れ・管理などに無知のまま大人にならぬよう

「保安」の授業を時間割に咲かせた

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アユラは保安の授業を聞きながらニヤニヤしていた。普通の可愛らしい小学生にとって授業の時間というのは、"空想に最適の時間"、だから。

彼女は空想ではなく追想していた

先だって6/5の彼女の9回目の誕生日に2つ年上のルチカがプレゼントしてくれたシロツメクサが花装飾された冠だった。

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アユラは生涯の相手を"決めている"

9歳はその小さな体で大きな決断を

決着させた


「ユーリ!」
「アユラ!」
「ちょっと待って」
「はいはい」
「ウサポ!ユーリだよ」
「ぴょんぴょん」

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保安

子供たちは齢を重ね、中学生から高校生へ、そして待望の大人になっていく

あの子とは親友だよ
あの子には近寄らないほうが

友が知らぬ世界に導いくれることも、その逆も
友と共に灯したその世界は美しいですか、それとも

友人の選定も、悲しいかな、保安である


馬花 89 何組だっけ

2024-08-26 22:46:00 | HAMIRU
3年2組
君は何組だった

2023年の入梅の頃だった
ミコルENから送り込まれたウサポは
H sistersの2人の情報を引き出すために
ハミルENのアユラに接触した
給食を平らげて昼休みに突入した時分だった

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ウサポ

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アユラちゃん

「ウサポって男なの女なの」
「女よ」
「ふーん、好きな子いるの」
「えっ、わからないポ」
「わからないってなによ」
「恥ずかしいポ」
「ふーん」
「アユラちゃんは?」
「私はルチカ、決まってるから」
「そう。あ、あのアユラちゃん」
「なにウサポ」
「4年生のユリリってお友達だよね」
「ユリリ?当たり前じゃん。私たちは一つだもん」
「うん?」
「ユリリは天然ってやつかな。あとはおしゃべりであわてんぼう、独り言多いし」
「そう」

ウサポはミコルENにユリリとユーリを
連れて行くことが使命だ
HANAから指示されたのはそれだけで、姉のユーリがミコルの娘だという事実においては理解の外だった
上官の命から詳細を聞かされず、自身の行動の整合性がアヤフヤになることがあるが、上官のHANAもミコルの指示を受けたに過ぎず、H sistersをミコルENへ導く意図を認識してなかったのである。
つまり実行隊は命は受けたが、何のために、わからない。
ただ忠実だった。
プロタゴ軍団は忠実だ

「ちょっと話せるかなポ?」
「いいけど、別に。じゃあ放課後会う?」
「うん」

昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、担任のイトキョが教室へ入ってきた

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「はい、保安の授業始めるわよ」



#アユラ
#ウサポ
#イトキョ

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馬花 87 馬花 5年生ルチカ

2024-08-21 22:36:00 | HAMIRU
馬花 87

ミコルENからH小学校へ生徒が送り込まれる

H sistersを引き込むために

ハミルENの子供達への接触が始まった


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うう
ルチカ
君は美しいね
な、涙が止まらない


サクラ

赤の涙は男の涙
青の涙は女の涙
どっちが欲しい


どちらもいらないよ

どうしてなのよ

僕は

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