■二階の窓を少し開けてくれてるのね。
だから朝早くから外に出れるの。パパはまだ寝てるわ。
今日も晴れそうね。ん?
何あの猫、私を見てるわ。ちょっと行ってみよ。
(屋根から木に飛び移り下に降りる)
一緒に昆虫を探すのも楽しいわね。名前はタロちゃんっていうのね?
でもずいぶん太っちゃって、食べ過ぎよ。私についてこれないじゃない。
(30分経過)
えっ?
どうしたの、停まって何見てるの?ああ猫を抱えて散歩してる人ね?
あの人朝早くから猫散歩?それに見たとこ若い人間じゃない。でも見かけない仔猫ね?
わっ、尻尾を持ったわ、何すんの?(ブンブン振り回している。
道路に叩きつけ、鈍い音が響く)
…ぐったりしてる…(川へ投げる)えーーーーーーっ!
「しっ、川の中の仔猫を覗いてるね。やばいよ、あの人間。(汗)」
(タバコを吸い始め川の中を見ている)
わずかに微笑んでない?タロちゃん。怖いよ~なんなの?あいつ。
(吸殻を仔猫めがけ投げる)
きっと死んでるよあの子。あっ、あいつ歩き出した。
この時私たちも道路と並行して庭の中を歩いたのが間違いだった。
人間はふと止まりこちらを見て私たちと目があった。
私たちは動けずに見ていたら、あいつは腰を曲げて凝視しだした。
「まずいよ、タロちゃん、あっ、こっちに歩いてくる。」他人の庭に平気で入り
一歩一歩私たちに近づいてくる。
3m近づいたところで、「タロちゃんこっち!」と私たちはダッシュで家の裏の方に回り込む。
裏に回ると顔を出し確認する。「ふー、こないわ、でも油断は禁物よ」
私たちも殺されかねなかった。しばらく静寂が続く、息を殺し、聞き耳をたてる。
まだ人間たちの活動時間ではないから他に人は見ない。
草や土を踏む音が聞こえ、見るとニヤニヤしながらこちらに向かってくるあいつ。
私たちは息ぴったりに走り出していた。逆から裏に回り、近づいてきたのだ。
走りながらタロちゃんは「どこに行くよ、みぃちゃん」
「こっちよ、あの木の下に隠れよう」(ツツジの下に潜り込む)
歩いてくる足が見える、表情はわからないが、キョロキョロと探しているらしかった。
一旦は道路に出て周りを見ている。道路から歩いてくると私たちが丸見えになる。
「来ないで」
しゃがんで見回している。
こちらを見つけニヤ~として近づいてくる( ̄∀ ̄)
ツツジから飛び出し、再び家の裏に向かう。私一人なら木に登り、
二階の窓から中に入ることはできるが、タロちゃんの体では無理なのでそれはできない。
また来たわ。手に2mくらいの竹を持っている。
叩くためというより鋭い切り口で刺すって感じね。猫の串刺し?(TT)
結局私たちは裏を通り1周し表玄関の方に戻る。
「まだ来るよ、みぃちゃんー」
「そこに以前飼ってたらしいわんちゃんの犬小屋があるわ、こっちきて」
あいつも表の方に出てくる。キョロキョロと探してるわ。
(早くパパ起きてきてよーー泣)この時の時刻は5:15分
「死にたくないよ~、まだ1歳だよ私」
玄関を覗き込んでる、
「あっ、今度こっち見てるよ、不気味丸出しで近づいてくる。見つかった?え~ん」
犬小屋の前に立ち覗き込む、30秒同じ姿勢。
犬小屋は屋根と脇に板で二重の犬小屋になってるため中は薄暗い。
「……」
いないことを確認したのか道路へ向かい歩いていく。
実は私達は犬小屋の中ではなく犬小屋と壁の間に潜り込んでいたのだ。
見つかる可能性は低かった。
しかし私たちはその後も怖くてその場を離れることができず、30分以上は
そこにいただろうか。
あいつは完全にこの敷地から離れて行ったようだった。
「なんなの、あいつ、この近所の人間かなぁ?怖くて外で
遊べないよ」
「みぃちゃん、僕いったん帰るね」
タロちゃんは再び家の裏へ消えていった。
私は玄関は鍵が掛かっているため、脇の木に登り二階の窓から入った。
パパの扉をカリカリと引っかき、ミャーミャーというとドアを開けてくれた。
パパはまた布団に入ると寝ぼけ眼で私の頭をグリグリしている。
「やめてよ~」
でもなんかホッとしてパパと二度寝を始めたわ。
疲れた朝だったzzzzzzzz
2軒向こうのタロちゃんと裏のうちのタマちゃん