私がこの言葉を始めて聞いたのは会社員時代で、土木部の部長が「ビオトープ管理士」という資格を会社で初めて取ったときにですね。ざっくりいうと、生物・植物が住みやすい環境に整えるのが目的らしいです。
で、今日読んだのは 凪良ゆう『神様のビオトープ』講談社タイガ文庫
ライトノベルのくくりなのかな?とても読みやすかったですが、随所に刺さる言葉が出てきてなかなかに感動しました。
幽霊の夫「鹿野くん」と暮らす未亡人の「うる波」は、他人から見てどんなに異常でも、それを飲み込んで脆くて平凡で幸せな日々を生きています。
他人から見れば狂気じみた「異常な愛情」でも、本人にとっては真実の愛であり、他人が「常識」や「正義」を振りかざしてどうこうできるものじゃない。ということを、ロボットを親友として愛する少年や、少女しか愛せない青年など、様々な「異常」のバリエーションを示しながら誠実に訴えかける小説でした。
自分が異常な愛情のなかに棲むうる波は、図らずも接する異常な愛に溺れる人達の心を、共感はできないことがあっても決して否定はできない。そういう立場から描く構造がとても上手いと思います。フィクションであり「つくりばなし」なんですが、気持ちの動きは普遍的で、フィクションだからこそ伝えられることを描いているんだなあと。
結婚や子供を持つのが常識でなくなった時代、なにが自分にとっての幸せなのか惑う多くの人たちの心に響く物語だろうと感じました。
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タイトルとこの話を結びつけるとすれば、人間が人間の都合で変えてしまった世界を、個々の生物がありのままに暮らせる環境に改善していく(して欲しい)という意味なのかなぁ、と想像しました。
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全然余談ですが、幽霊の夫「鹿野くん」は高橋一生、うる波は上野樹里か深津絵里で想像して読んでました。(若い設定なので歳が違うけど)深夜ドラマにして欲しい~。
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