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個性的な殺し屋たちが東北新幹線に乗り合わせ、東京から盛岡へ向かうなかで繰り広げられるドタバタ殺人エンタメ劇。めちゃめちゃ面白かったので寝不足になりながら二〜三日で読み切ってしまった。私としては早いほう。
幼い息子に瀕死の重症を負わせた相手への復讐に燃える元殺し屋の木村、機関車トーマス好きの檸檬と小説好きの蜜柑という殺し屋コンビ、王子様のような風貌で悪魔そのものの中学生、王子慧。生まれてこのかた運が悪いという殺し屋の天道(てんとう)虫。そして『グラスホッパー』(結局オーディオブックで先に聴いた)に登場した鈴木と槿(あさがお)なども出演している。
それぞれの視点でテンポよく話が進み、列車のスピード感とエピソードの進行が同じような感覚になっていたような。
とくにぐっと引き込まれたのは檸檬と蜜柑の場面で、怖い殺し屋なんだけどどこかユーモラスで愉快なキャラクターたちだった。檸檬のトーマス好きぶりは後半のクライマックスまで生きていてニヤリ。ふたりの最初のピンチでは「わあ!」と声をあげて驚いてしまった。さいごもそこはかとない情愛が見えてよかった。
王子は、こんな中学生いないよな、嫌だな、と思いつつ目が離せない展開を作ってくるのもコイツであった。こう言っちゃなんだけど、しんそこ死んでいいわこの子〜と軽々と思わされてしまった。
作者のワザにまんまとやられたというかその手に乗るのが楽しい小説であった。
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