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花日和 Hana-biyori

小説『グラスホッパー』を聴いて

『グラスホッパー』伊坂 幸太郎(角川文庫)

オーディオブックで聴きました。朗読は原島 梢。”殺し屋シリーズ”3部作の1つめで、『マリアビートル』を読む前に聞き終わっていました。女性の声なので女性のパートはいいけれどドスの効いた殺し屋のときは、どうしても虚勢を張っているように感じてしまうのが難でしたね。でも内容はすごく面白かったです。

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あらすじ> 

闇社会の大物、寺原の長男に妻を殺された鈴木は、寺原が経営するやばい会社に潜入し復讐の機会をうかがっていた。ところが寺原長男は鈴木の目の前で「押し屋」と呼ばれる殺し屋に殺害されてしまう。すぐに押し屋を追跡した鈴木だが、意外すぎる押し屋の家の様子に戸惑い、組織への報告を引き伸ばすが……。その他、一般人でも容赦なく殺す「蝉」と指示役の岩西、自殺させ屋の「鯨」など個性的で業の深い殺し屋たちが登場し、それぞれの視点から物語が展開する。

途中緩急もありながら、最後まで畳み掛けるように展開するところが面白い。どこか頭のネジが飛んでしまっている殺し屋たちの緊張感や心理描写が、意外と細かくて読み応えがあった。

特によかったのは「蝉」が操り人形のように生きている男の映画を見て、自分はそうじゃないとイキリ立つところや、殺人の仕事に遅れてしまう展開。「押し屋」は一人称視点がなかったけれど、それだけに不気味な緊張感があった。

大群になったバッタが凶暴化することと、都会の人間が狂気に蝕まれるという話はどこかリアリティがあり、一番まともだったはずの鈴木がおかしくなりかけていることを示唆するラストにはハッっとさせられた。

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