手塚治虫公式サイトの紹介より→https://tezukaosamu.net/jp/manga/140.html
(表紙と紹介文、マンガは2ページだけ見られます)
2ページだけですが、かなり脚色されていますね。マンガは、原人の大男にして描いていますが、実際は中背で、発見されたときは餓死しそうに痩せこけ衰弱し、髪の毛はかなり短く焼き切られていました。(髪は死者を弔うときに焼き切る儀式的なもので、このときのイシは先に逝ってしまった人たちを思って髪を焼き切っていたと推測できます)
ウォーターマン教授(カルフォルニア大学の文化人類学者)は実際に初めてイシと意思疎通をした白人で、イシ発見の報を新聞で知り、電報を打って現地に駆けつけました。
マンガの紹介文には、「ウォーターマン教授はイシを原人と呼んで冷たく扱う」とありましたが、一般書にはもちろんそうした様子はありません。ウォーターマン教授はヤナ語のリストを1つずつ読み上げ、根気よくイシと通じ合おうとしていました。
教授が「シウィニ」という松を意味する言葉を発し、2人が座っていた木製寝台の枠を叩いて示したとき、”イシの目に理解の光が走り”2人が寝台を叩いて何度も「シウィニ、シウィニ、」と繰り返した場面は感動的です。イシはかなり久しぶりに人と会話できたことに興奮していたようです。
だからちょっと「原人」という言い方はなんだかなーとは思いますが、面白いマンガにするための手塚先生一流の脚色だからこれはこれで良いのでしょう。そして、「優しい知恵者だった」とあるように、ヤヒ族の性質・本質というものは伝わる話だったのではないかな、と予想しています。
児童書/岩波書店
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