花笑 はなえみ

          呼吸を大切に 呼吸を忘れないで と願っています

絵本 ぐりとぐらのかいすいよく

2015年09月08日 11時36分47秒 | 絵本
 今回は、「ぐりとぐらのかいすいよく」「ぐりとくらのえんそく」「ぐりとぐらのおきゃくさま」の3冊です。

  文 中川李枝子、絵 山脇百合子、福音館書店発行

 「ぐりぐら」は、幼児中心に作られたものです。
 おとなが心を傾けて魅入るものでもない内容だと思いますが、幼い頃に「ぐりぐら」と出会った人は、ノスタルジックになるのでしょうね。
 絵本って、そんな側面も併せ持っていますよね。

 この絵本の作者たちは、間の使い方がとても上手です。
 時間の描き方・・文でも絵でも、時間を描くのがうまいと思います。
 大胆なところと、繊細なところの使い分けがうまいです。
 それは、とても大切な、そして中々身に付けられない手法ですね。技術とでも言うのかな・・。
 それを、手法として捉え、方法を探して身に付け使えたら、大きな一歩になるかも、ね。

 フェルトペンなどの線画にアクリルで彩色したのかな・・?
 白の空間を上手に使っていて、色使いが多彩なのに見ていて疲れません。
 作者たちは、文と絵の取捨選択をはっきりと区別しているのかもしれませんね。

 
「ぐりとぐらのかいすいよく」 
 野ネズミのぐりとぐらが、海水浴場で遊んでいるところから始まる物語り。
 泳げない2匹は、海辺の砂と持ってきたおもちゃで遊んでる。
 そこへ、ビンが流れ着き、中には手紙と地図が入ってた。
 好奇心いっぱいの2匹は、海坊主の招待に応じ、浮き輪で海を渡った。
 海坊主の依頼を無事に果たしたかわりに、海坊主のダイナミックな泳ぎを見せてもらったり、泳ぎを教えてもらったりした2匹は、今度は浮き輪なしに帰って来た。
 夜、真珠色の光が、波の向こうにちらちらしてるのを、2匹は海辺で眺めていた。
 いつも、がんばる時も、楽しい時も、ぐりとぐらは一緒、なんですね。
 それにしても、海坊主の正体は、意外でした。

 
「ぐりとぐらのえんそく」
 リュックサックを背負ったぐりとぐらが、山や野原を歩いてる。
 おとなだって、親しい友だちとこんな遠足できたら楽しいに決まってる。
 お弁当をいっぱい詰めて、歌もいっぱい唄って、体操したり、かけっこしたり、ころんだり、いつも一緒。
 そして、ころんだついでに何かを見つけるのですが、今回は毛糸の端っこを見つけたのです。
 毛糸の玉をころがしていった先は、くまのお尻でした。
 くまのチョッキがほどけて、2匹の遊び場まで飛んできていたのですね。
 そよ風が吹く良い天気なので、くまはチョッキを脱いで、2匹と一緒に遊びました。
 3匹はいっぱい遊んだ後、2匹の持ってきたリュックにどっさり詰まっているお弁当やおやつを、お腹いっぱい食べたんですね。
 ぐりとぐらは、友だちをつくるのが、いつでもとても上手です。
 友だちをつくるのが上手、その答えは、もう絵本の中にありましたね。


 「おきゃくさま」
 雪合戦をして遊んでいた野ネズミのぐりとぐらが、大きくておかしな足跡を見つけたところから始まる物語り。
 「what?」「who?」「why?」「where?」などが、目印、標識、矢印のごとく文章で構成され繋がっている。
 ぐりとぐらの家の前まで続いていた足跡。2匹の家の中に誰かいる・・。
 恐る恐るでもなく、マントやマフラーをきちんとかけてから家の中を探索する2匹は可愛いですね。
 何故か、2匹の家の侵入者もくつろいでいる形跡があるんです。
 侵入者を追い詰めているうち、良い匂いがしてきた。それが、カステラの匂いと判明する。
 サンタクロースがケーキを作っていたんですね。
 その美味しい匂いにつられて2匹の友だちが集ってきました。
 何故、2匹の家にサンタクロースが?・・なんて問い詰めないでください。メルヘンなんですから。

絵本 絵本マボロシの鳥

2015年09月06日 13時49分03秒 | 絵本
 最近では、ここまで熱心に魅入った絵本は少ないように思います。
 ちょっと興奮気味、半徹夜してしまいました。
 絵本にしては長い40ページだったでしょうか・・。

 絵本マボロシの鳥 影絵 藤城清治、原作・文 太田光、講談社 2011年5月17日第1刷発行

 この制作コンビって、不思議です。
 どこでどうつながってこの作品が誕生したのかな?
 ほんとうに、世界は、だれかと、どこかで、つながっているんですよね。

 この絵本のテーマが、そのようなのです。
 そして、「つながり」の重要な役割りをしているのが、マボロシの鳥なのです。
 マボロシの鳥の存在理由、「使命」だと思えるんです。
 マボロシの鳥自身はそんなの微塵も感じさせるところはありませんがね。

 マボロシの鳥を通して、この鳥に関わった人たちは、他の人たち、だれかとつながっていることを感じさせられるのです。

 もしかしたら、マボロシの鳥って、きらきら輝く、とても肌触りの良い、そして、自由で清美で、人間が憧れて止まない魂の象徴なのかもしれないって、思うのです。

 わたしも、いつか、出会えるかなぁ。
 あまり期待せず、でも待ってみよう。


 この絵本のおわりに、「おことわり」が載っていました。

 「本書は、2010年に新潮社より刊行された短編小説集『マボロシの鳥』の表題作品を原作とし、絵本用に文章を短くするなど手を加えて、刊行したものです。」・・とね。