花笑 はなえみ

          呼吸を大切に 呼吸を忘れないで と願っています

実技書 デザイナーのための精密デッサン

2015年08月29日 13時46分55秒 | 本棚
 今朝起きてからずっと読み続けている本は実技書ね。

 デザイナーのための精密デッサン
 多摩美術大学教授松本英一郎/助手深澤順子
 アトリエ出版社 1983月6月発行 

 本、読むだけならそんな何日もかからない。
 だけど、本、それは読むだけのものではないよね。

 わたし事だけど、ややこしい本は、さらっと目を通して、解る部分だけ拾い読みして、他の解らない大部分は捨て去ってきた。ずっと、ずーっと今までそうしてきた。
 でも、導いてくれる人がいない今は、そんなこと、そんな方法では先へ進めないね。

 一冊の本のなかの一片の言葉、一片の文章を理解するために・・短いワンフレーズ、ワンセンテンスを知ろうと一所懸命他の資料をあさる。それが学び。それも学びですね。

 まるで本と格闘してるみたい。本を書いた人と、本を世に送り出した方々の情熱みたいな何か、とね。

 この実技書は28年位前に買った初版。買った当時の熱い感情が少し思い出されました。

 実技書って読むだけじゃ知識だけだけど、その先があるんですよね。実技書に書かれていることをやってみて、試してみて本の価値を知ることができる。

 代価以下のものになるか代価以上のものになるか、わたし自身にしか分からないこと。わたし自身がするかしないか、ですね。

 わたしの出費、当時としても安くはなかった一冊だから尚更ですよ。

絵本 ペットになりたいねずみ

2015年08月26日 14時43分06秒 | 絵本
 ペットになりたいねずみ
 ローレン・チャイルド作 木坂涼訳
 フレーベル館発行 2003年3月第1刷


 絵本の裏表紙に書かれている文章です。

 よる、スナックがしの ねぶくろに はいって

   うえを みあげると、

 たくさんの まどが あったかそうで、

         いいなあって おもうんだ。

  だれかの ペットになって あいされて くらせたら

    どんなに すてきだろう。


 たのしくて、それでいて、

   むねが キュンとなる

 ねずみの おはなし。
 

 絵本製作の手法がコラージュのようです。
 描くというより切り絵貼り絵などと組み合わせた複雑な手法で製作されているように見えます。

 幼児から大人まで楽しめる本として作られたようですが、たとえ、ひらがなとカタカナで書かれているとはいえ、お子様に楽しめる内容かどうかは解りません。
 
 都会的センス、ユーモアにあふれたおしゃれなデザインと内容の絵本です。

 大人の女性におすすめしたい一冊です。

ファンタジー 指輪物語

2015年08月25日 10時21分04秒 | ひとり言

 指輪物語。旅の仲間上下巻、二つの塔上下巻、王の帰還上下巻の全6巻。評論社発行、瀬田貞二・田中明子共訳。

 ファンタジーなのに読み終えて後、滅茶苦茶疲れました。

 目に見えない何か・・例えば、私自身のなかに潜んでいる悪、善、醜、美、偽、真、欲、清、賎、貴、寂、栄、堕、信、滅、諦、願、闇、光、託、累、祈などという類のものと激しく格闘した感じです。
 この本を読まれたみなさんは如何だったのか、できれば感想など伺いたいところです。

 キャストはそれぞれ何かしら、どこかしら象徴的ですし、時間的には長くはないけれど空間的にはけっこう壮大です。
 つまり短い時間のなかを、あっちこっちへ引きずり回されたみたいな感じなんですね。

 大勢の登場人物のなかでも特に惹きつけられた人物は、ガンダルフ、フロド、サム、の三人です。

 ガンダルフ、まるで、神の代行者のようです。
 フロド、この高みにまでこられる者は人間の壁を超えた存在なのかもしれません。神とは申しませんが。崇高なる者ですよね。
 サム、理想の生活者。大多数の人々に、ほっとした安らぎを感じさせるのではないでしょうか。危なくなりそうなときには、現実の世界に引き戻してくれますものね。


 わたしってば、神様も、悪魔も、仙人も、賢者も、魔法使いも、知らないけれど、何もかも見通せる者になった気分になりかけててちょっとあぶない状態・・でも、作者って、自ら作り出した世界の神様みたいな存在だから、作者の側に寄り添えばそうなるでしょうよ。


 大いなる経験を共有した旅の仲間たちは、目的がすっかり成就されると最後にはそれぞれの生活に戻っていくのが当たり前ですが、その生活の内容は旅路の前の、苦しみや辛さを知らなかった前とは決して同じではないのです。

 人生が想像もしなかった方向へ、愛しい者たちから離れ歩まなければならない者もいるのです。
 知る者と知らざる者の違いって、見た目には分からないけれどどこか異なっていますよね。
 そんな人、近くにいやしませんかね。


 ただ、どうぞ、生きとし生ける者がしあわせでありますように。

 いかなる者でも、いかなる所に住まう者でも。
 生きとし生ける者に、慈悲と叡智が宿りますように願って止みません。
 そして、いかなる者でも、いかなる所に住まう者でも、慈悲と叡智を実行なさいますように。
 これが、わたしが導き出した人の心が進化する道筋の方程式です。
 無数にある方程式のひとつに過ぎず、使われることは多くはないように思えますが、はじめは一歩からです。
 応援してほしく思います。

 ふつうの生活、日々の生活のなかから学び、そんななかから慈悲と叡智が芽生え、育ち始めた慈悲と叡智を使い、少しずつ世界を広げて、世界のためにはたらく、ってそんなに大それたことではないように思います。
 とてもシンプルで分かりやすくはありませんか。
 
 これはひとり言ですけど、だれかに聞いてほしいひとり言です。
 そして祈りです。


華のあるひと バイロン卿

2015年08月19日 10時20分04秒 | 本棚

 ジョージ・ゴードン・バイロン 1788-1824


 1月22日、ロンドンに生まれ、大伯父のバイロン卿の後を継 いで10歳で第6代バイロン卿となりました。
 彼の自由奔放な生き方とその魂は、彼が生きた当時の英国キリスト教社会とは相容れないものでした。
 詩人として広く知られていますが、ギリシャの独立に多大な費用を投じ、5年後の独立をみないまま客死しています。
 美貌の貴公子バイロン卿は36歳という若さで没しましたが、その名は不滅、みたいです。

 んん・・10代の折手にしたバイロン詩集のいずれに惹かれたか忘れてしまいましが、歳月を経た現在、より瑞々しく伝わってくるのは一体何故なのでしょうか、解りません。

 今回は下記の1篇を載せてみました。


 「あるひとに」

1

さあ、今こそ潮風にふるえて
船はまっしろい帆をひろげる
しなる帆柱のうえで鳴りひびいているのは
吹きつのる嵐の叫ぶ歌だ
今こそ私は祖国を捨てる
ただひとりのひとを恋するために

2

今でも私が昔の私であったなら
今でもみんな昔のままであったなら
あつい心であこがれたあのひとの胸に
今でも私の心がとまれるものなら
見知らぬ国へなどどうしてゆこう
それもひとりのひとを恋するために

3

もう長い間あの瞳をみない
私によろこびや悲しみをあたえたあの瞳を
二度とそういうことを思うまいと
心に誓ったのもむなしい
このアルビオンの島を去っても
私が愛するのはただひとりのひとであるから

4

つれもなく、ひとり空とぶ鳥のように
私の心はさびしいかぎり
どこを眺めても、いつまで眺めても
なつかしい微笑みもうれしい姿もない
人なかにいても私はたったひとり
それもひとりのひとを恋するために

5

まっしろい波のしぶきを越え
私はいま知らない土地をたずねてゆく
まことでなかった美しい顔を忘れる日まで
私の心は休めるひまもなく
暗い胸の思いも消えはしない
ただひとりのひとをいつまでも恋するために

6

どんなに貧しくあわれな人でも
どこかであたたかく迎えられて
友情や恋のやさしい心にもめぐまれ
よろこびや悲しみを共にすることもある
けれどもこの私には友人も恋びともない
ただひとりのひとを恋するために

7

私はゆく、私がどこへゆこうと
私のために泣くような瞳はない
たとえ私がどんなに求めようと
やさしい心に逢うことはないだろう
私を捨てたおまえさえ、私をあわれと思わないだろう
ただおまえだけを私が恋しているのに

8

やさしい心のひとならば
過ぎ去った日の楽しい夢を追って
泣いて崩れることもあるだろう
けれども私の心は深い痛みにもたえて
昔とおなじく強く波打っている
ただひとりのひとを恋いつづけながら

9

ひとりのひとを深く恋するものは
世間の眼などに姿をさらしてはならない
おまえは知っている、昔の恋がどうして破れたかを
そして私は知っている、私がどんなに悲しいかを
この世に生きて、こんなにも長く
こんなにもひとりのひとを恋いしたものはいない

10

別なひとに心をひかれることもあった
おまえに似た美しいひとみをみて
おなじ思いを告げようともした
けれども何かが私を強くひきとめて
ふたつの恋をさせなかった
ただひとりのひとを恋するために

11
ためらいながらも、もう一度おまえに瞳をおくり
別れの言葉をつげて幸福を祈りたい
けれども今波のうえをさまよってゆく私のために
おまえの瞳がぬれたりするするのは望まない
故郷も青春も希望も去ったが
恋だけは去らないで、ひとりのひとを恋いつづける

 

 「あるひとに」は訳文(金園社版)のまま掲載(10:ひとみ)させていただきました。22歳から24歳の時に作られたもので「チャイルド・ハロルド」(あるいは「貴公子ハロルドの巡礼」)に収められています。
 アルビオンの島、とは英国の古い呼び名とのことです。

 実際バイロン卿が永久に英国を去ったのは1816年、29歳の時でした。

 有名な「魔弾の射手」の作曲者、カール・マリア・フォン・ウェーバー卿(1786年11月18日-1826年6月5日)もバイロン卿と同じ時代を生きていますが、彼らの道筋は互いに交差しなかったのでしょうか。
 ちなみに、ウェーバー卿はロンドンで客死しています。 

 かの時代は、かの社会は、彼らを突き動かす何かがあった時代だったのでしょうか。 

 彼らが生きた時代の日本。欧米の急速な近代化とともに日本は各国から開国を迫られ刻々と幕末が近づいてきた時代ですね。


参考資料

 対訳バイロン詩集 イギリス詩人選(8)
 笠原順路/カサハラヨリミチ編
 岩波文庫 2009年2月17日第1刷発行
 
 バイロン詩集
 阿部瓊夫訳(アベタマオと読むのでしょうか?)
 金園社発行 1967年7月1日発行


わくわくする予感、インスピレーションによる本の選び方

2015年08月14日 07時59分22秒 | 本棚

 装丁や題名を手掛かりに、手当たり次第ページを繰って、普段気になっていることや、心に響いてくる言葉や挿絵などと出会えるまで、何冊でも探していく方法で見たいもの読みたいものを選んでいることが多いです。

 今回の作品に共通する多彩な表現と読みやすい訳文は原作が優れているからでしょうね。
 子供たちだけに読ませておくには勿体ないくらい作者の品格が感じられ、スリリングで面白かった2冊です。

  1949年にデビューしたジョアンはスペインを代表する児童文学者。スペインでは子供だけでなく大人にまで読まれている実力派作家。
 謎解きや仕掛けに富んだ独創的なファンタジーや冒険小説を数多く発表しているそうです。

 イスカンダル~ 1999年12月31日初版発行
 アドリア海~   1995年5月31日初版発行
 徳間書店 ジョアン・マヌエル・ジズベルト作 宇野和美訳


(1)イスカンダルと伝説の庭園
 短編ファンタジー。
 アラビアの王が栄華を誇っていた時代の物語。
 世継ぎに恵まれなかった王が当代随一の建築士イスカンダルに依頼した仕事は世界一美しい庭園を造ること。
 盲目の占い師ソスの謎かけのような言葉をイスカンダルは気にも止めず庭園造りに没頭していた。

 わくわく感というより、深い呼吸にも似た溜め息とぞくぞくする感じ、言葉・・文章が詩が宝石のよう、でした。


(2)アドリア海の奇跡
 短編ファンタジー。
 みなしごの少年とヨーロッパ一の錬金術師との出会い。物語はハンガリーに統一されていた頃の15世紀末のクロアチアから始まります。
 秘密の使いと結末。この本を読み終えたら錬金術師のイメージが変わっているかもしれませんね。

 この作品は、地理が苦手な方はヨーロッパの地図を用意しておいてもいいと思いますよ。もちろん地図がなくてもわくわくします。



  んん・・わたしの手元にある聖書は・・多分3回目のもの。
  手離しても手離しても、何処からか誰からかいただいてしまう縁。
  であれば、1冊は手元に置いておくしかありませんよね。
  他人には聞いたことないけど、こういうことって普通によくあることなんでしょうか、ね。