「ウォークインクローゼットは、どこがいいかな?」
「寝室から入っていけるといいよね?」
「そうだね。そうすれば、客間からは一番離れているところにもなるしね」
「うん、クローゼットはプライベートな空間だから、そうしたい」
「では、寝室とバスルームの間のここにしよう」
「そうしたら、ベッドルームの右側の壁の方にも少し伸ばして、鍵カッコの形にしよう?」
「なるほど、そうすると上の辺と右の辺に分けられて、上をあなたの場所にして、右をわたしのスペースにできるね。そして、その間の角の部分には大きな姿見が置けるようにしよう」
「あ、それいいね」
「そうでしょう?」
「うん」
「そうだ、寝室からだけでなくて、この廊下からも入れるようにしてもいいかも」
「そうだね。ここに扉をつければ廊下からも出入りができるね」
「そうそう。そうすると、ほら、廊下を挟んで庭に突き出したサンルームがあるようになる。ここの一番奥のスペースは、完全にプライベートスペースになるでしょう?」
「たしかに、そうなるね」
「では、次はキッチンとダイニングだよ」
「うん」
「この間教えてくれたイメージだと、こんな感じになるけれど、どうだろう?」
「イメージ、そのままだよ。そう、こんな感じがいい」
「ならば、よかった」
「シンク周りは余裕をもたせて、コーナーを挟んでガステーブル、その下に大きなオーブン」
「そして、ここに大きなアイランド型の調理台だったよね?」
「そう。大きなの。天板は、木ではなくて石とかでもいいかな」
「大理石みたいな感じかな?」
「そうそう、とてもしんとした感じになるでしょう?」
「そうすると、きっとキッチン全体が白基調のイメージになりそうだね」
「白。そう。清潔で明るいイメージ。それで、シンクからガステーブルの壁は、水色。そこに、格子状の光だけを通すような大きなガラスをはめ込むの」
「そうすると、とても明るいキッチンになるね」
「海のそばの家には、とっても合うと思うの」
「うん、間違いないだろうね」
「でしょう?」
「ああ。そう思う」
「その調理台の前に、一度置いたら、もう二度と動かせないくらいの長いダイニングテーブルね」
「こんな感じだね?」
「そう、ここに、こんな感じ」
「そしてここに、さりげなく丈の高い観葉植物をいくつか置いて、その隣にはリビング」
「うん。リビング・ダイニングは、大きなものが置かれている感じの、風がゆっくり流れるような広い空間」
「風がゆっくり流れる、か」
「そう。ゆっくり、ゆったりできる空間。リビンクからエントランスまで、庭に面したところは、大きなガラス扉にして、それと同じ長さのテラスにどこからでも出られるの」
「この辺に、二つハンモックを掛けるのだよね?」
「そう。並んで掛けて、私はそこで本を読みながらうたた寝するの」
「海を見ながらのお昼寝だね」
「気持ちいいだろうね?」
「そうだね。光る波と潮風で、最高のお昼寝ができるだろうね。では、そのときわたしは、週末の夕食の支度を静かにすることにしよう」
「週末、たまに作ってくれるの?」
「ああ、それもいいでしょう?」
「うん。それで、私は目覚めて、途中から手伝う」
「そうしてもらおうかな。週末は、わたしが料理長で、あなたがアシスタントだ」
「なんでも、仰せつかります」
「では、こき使わせていただきます」
「はい、なんなりと」
「あはは、なんだか裏がありそうで、逆に怖そうだ」
「ふふふ、そうです。きっと、たいそうな裏があります」
「やっぱり、そうか。だったら、あまり調子に乗らずに、慎ましやかにお願いをすることにしよう」
「一気に、弱気ね」
「そう、一気に弱気。それで、ふたりで作った料理を、庭のテーブルでたくさんの小さなキャンドルに照らされながら、ゆっくり食べよう」
「うん、すてき。キャンドル越しの海ね」
「そうだね。静かな波音がBGMだ」
「静かで、ゆっくりした時間ね」
「たくさん、話ができる時間だ」
「たくさん、お話をしましょうね」
「ああ」
(つづく)
「寝室から入っていけるといいよね?」
「そうだね。そうすれば、客間からは一番離れているところにもなるしね」
「うん、クローゼットはプライベートな空間だから、そうしたい」
「では、寝室とバスルームの間のここにしよう」
「そうしたら、ベッドルームの右側の壁の方にも少し伸ばして、鍵カッコの形にしよう?」
「なるほど、そうすると上の辺と右の辺に分けられて、上をあなたの場所にして、右をわたしのスペースにできるね。そして、その間の角の部分には大きな姿見が置けるようにしよう」
「あ、それいいね」
「そうでしょう?」
「うん」
「そうだ、寝室からだけでなくて、この廊下からも入れるようにしてもいいかも」
「そうだね。ここに扉をつければ廊下からも出入りができるね」
「そうそう。そうすると、ほら、廊下を挟んで庭に突き出したサンルームがあるようになる。ここの一番奥のスペースは、完全にプライベートスペースになるでしょう?」
「たしかに、そうなるね」
「では、次はキッチンとダイニングだよ」
「うん」
「この間教えてくれたイメージだと、こんな感じになるけれど、どうだろう?」
「イメージ、そのままだよ。そう、こんな感じがいい」
「ならば、よかった」
「シンク周りは余裕をもたせて、コーナーを挟んでガステーブル、その下に大きなオーブン」
「そして、ここに大きなアイランド型の調理台だったよね?」
「そう。大きなの。天板は、木ではなくて石とかでもいいかな」
「大理石みたいな感じかな?」
「そうそう、とてもしんとした感じになるでしょう?」
「そうすると、きっとキッチン全体が白基調のイメージになりそうだね」
「白。そう。清潔で明るいイメージ。それで、シンクからガステーブルの壁は、水色。そこに、格子状の光だけを通すような大きなガラスをはめ込むの」
「そうすると、とても明るいキッチンになるね」
「海のそばの家には、とっても合うと思うの」
「うん、間違いないだろうね」
「でしょう?」
「ああ。そう思う」
「その調理台の前に、一度置いたら、もう二度と動かせないくらいの長いダイニングテーブルね」
「こんな感じだね?」
「そう、ここに、こんな感じ」
「そしてここに、さりげなく丈の高い観葉植物をいくつか置いて、その隣にはリビング」
「うん。リビング・ダイニングは、大きなものが置かれている感じの、風がゆっくり流れるような広い空間」
「風がゆっくり流れる、か」
「そう。ゆっくり、ゆったりできる空間。リビンクからエントランスまで、庭に面したところは、大きなガラス扉にして、それと同じ長さのテラスにどこからでも出られるの」
「この辺に、二つハンモックを掛けるのだよね?」
「そう。並んで掛けて、私はそこで本を読みながらうたた寝するの」
「海を見ながらのお昼寝だね」
「気持ちいいだろうね?」
「そうだね。光る波と潮風で、最高のお昼寝ができるだろうね。では、そのときわたしは、週末の夕食の支度を静かにすることにしよう」
「週末、たまに作ってくれるの?」
「ああ、それもいいでしょう?」
「うん。それで、私は目覚めて、途中から手伝う」
「そうしてもらおうかな。週末は、わたしが料理長で、あなたがアシスタントだ」
「なんでも、仰せつかります」
「では、こき使わせていただきます」
「はい、なんなりと」
「あはは、なんだか裏がありそうで、逆に怖そうだ」
「ふふふ、そうです。きっと、たいそうな裏があります」
「やっぱり、そうか。だったら、あまり調子に乗らずに、慎ましやかにお願いをすることにしよう」
「一気に、弱気ね」
「そう、一気に弱気。それで、ふたりで作った料理を、庭のテーブルでたくさんの小さなキャンドルに照らされながら、ゆっくり食べよう」
「うん、すてき。キャンドル越しの海ね」
「そうだね。静かな波音がBGMだ」
「静かで、ゆっくりした時間ね」
「たくさん、話ができる時間だ」
「たくさん、お話をしましょうね」
「ああ」
(つづく)