今回の記事では、中島義道という哲学者が2002年に書いた
「カイン 自分の『弱さ』に悩むきみへ」
という本を簡単に紹介します。
この本は私が高校生の頃に偶然、本屋で吸い寄せられるように見つけたものでした。
内容は自分の弱さに悩む、「T君」に対する手紙の形式をとって著者である中島義道が自分の半生を振り返りつつアドバイスを与える、というものです。
その内容は中高生活で人間関係に躓き、孤独であったことに悩んでいた私にかなり強く印象に残るものでした。
この本に書いてある具体的なアドバイスは全て、正直あまり参考にならないもの、というより参考にしてはならないものだと思っています。
そう思っているのですが、そうであっても、この本は名著と私は考えます。
その理由は、
「生きるのが苦しい(と感じている)者にとって、一筋の光たり得るから」
ということです。
筆者は、苦しみあえぎながらも、どうにか社会の中で生きる道を得ることができた。
そして、生きるのが苦しい人達が、自分の経験を参考にしてどうにか生きて欲しいという願いをもってこの本を書き上げています。
書いている内容だけをそのまま読めば結構反感を覚える人も多そうなこの本ですが、筆者が上記の願いを持って本書を書いていることを想えば、なかなかの名著です。
具体的な本の内容までは触れませんが、生きるのが苦しい若者(かつ書いてあるアドバイスをそのまま受け取らない人)は読む価値はあると思います。
特に、「あとがき」は未来への一筋の光となり得ると感じます。
さて最後に少し蛇足ではりますが、本書には親、特に母親に対する恨みつらみがかなり書かれています。
人によっては気分が悪くなるほどと思われます。
しかし、筆者は実は本音では大好きだったのでは…??とふと穿ってしまうところが一つだけあります。
それは、「あとがき」を記した日付として、母親が亡くなった日付を挙げていることです。
そのことだけから私が穿って考えるのは、筆者の中島義道は単に母のことが大好きなマザコンで、母からの愛情を欲していたんだろうな、ということでした。
ただ、逆の意味、つまりやっぱり母親を単に恨んでいるだけだ、とも取れる部分ではありますが。
では、このくらいで今回の本紹介は終わります。
読んで下さり、ありがとうございました。